家中に心張り棒
我が家の妹は猫が自室に入るのを非常に嫌った。ブランドのバッグで爪をとがれたり、布団が毛だらけになる事を嫌ったのだ(彼女はアトピーなので。私もだが)。 なので外出時には必ず猫が入らぬようドアをキッチリ閉めて出かけていた。
で、ある日。
妹が激怒している。どうしたのかと問うと『マグマがあたしのコーチのバッグで爪を研いだ上に、枕を毛だらけにしとるっ!誰が入れたとよっ!』とおかんむりだ。 私も母も妹の部屋は開けていないし、父も違うという。『あんた、自分で閉めるのを忘れとったっちゃない?』と言われ不満げな妹。で、その日は犯人が分らぬまま終った。
で、またまたある日、マグマが妹の部屋に入ってベッドの上で寝ていた事があった。この日も誰も妹の部屋に入っておらずどうやって入ったのか家族で揉めた。 ひょっとして自分で開けて入ったのじゃないかと私が言うと家族は笑う。妹の部屋は引き戸で(横にスライドさせるクローゼットみたいな入り口なのだ)猫が開けられるなんてと一笑に付された。

で・・・張り込みをしたんだよね。絶対にマグマが自分でドアを開けていると確信した私は、見ていると開けないと思ったので妹の部屋の入り口に背を向けて座り込んだ。 何度も張り込みをしたが現場を押さえる事が出来ず諦めかけたのだが、その時は突然やって来た。ふと妹の部屋の入り口を見るとマグマがドアに向かいお座りしている。慌てて体を隠し、遠くから観察すると・・・。 お座りしたマグマはまるで芸者が部屋に入るように座ったまま手を伸ばし、ドアに手を掛け”ヨイショっ”っと、いとも簡単に自分が入れるだけドアをスライドさせ妹の部屋に入って行った。 この技は家族がいる時に披露される事はなかった。いつも誰も見ていない時を狙ってするので、きっと本人も勝手に入っちゃいけないと分っていたのだろう。この日から我が家の網戸や窓には 心張り棒(つっかい棒)が使われ、マグマが勝手に外に出て行かぬよう厳戒態勢がとられた。が、その後、ドアノブを回す技も手に入れたマグマ。 ひょいっと立ち上がってドアノブに手を掛け、簡単に開けるようになったんだよね。
猫って案外頭が良いのだと感心した事件だった。

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