マグマがおかしい
マグマの急性腎不全発覚からちょっとしてから、私は実家に住む事になった。別にマグマの具合が悪かったのが理由ではないのだけれど、 実家に寄生(帰省じゃないよ)だ。マグマの病院通いは月に二回、その度に検査をして数値が悪ければ点滴開始という状態だった。 病院に連れて行くのは私の役目だったので、連れて行く度にマグマに嫌われる私。病院に行った日から四、五日は避けて通られる。 あと吐いた時も病院行きだった。6キロ弱あった体重も3キロ台に減り、高い所にも上がれなくなり目に見えて衰えていく。 そんなある日・・・。
 マグマがお風呂場に水を飲みに行っている姿を眺めているとおかしな事に気が付いた。お風呂に入るときにドアの所の段差を 超えるわけだが、その段差の10センチくらい手前で足を高く上げ、段差を超えるような素振りを見せたのだ。 ひょっとして・・・・・目が見えていないのか?!と驚愕した。慌てて家族に報告するが『大丈夫よ、見えているよ。家の中を ちゃんと歩いているやんけ』と一笑に付される。でも私が見た光景は間違いないしと、それからマグマを注意して見ていた。 すると目が見えないらしい素振りが多い事に気が付く。キッチンのテーブルの足に頭がぶつかってから方向転換をしたり、 いつも餌を貰いたい時に座る位置がずれていたり、寝起きにとんでもない方向に向かって歩き出し、網戸にぶつかってからそこが 窓辺だと気が付いてみたり。家族に訴えても信用されないので、通院の時に医者に聞いてみた。すると医者はペンライトで マグマの目を覗き込み『大丈夫。反応していますから見えているでしょう』と言う。覗いただけで判るのかよっ!ぼけっ!っと 言いたかったが言えないのですごすごと家に帰り医者の言葉を家族に報告すると『ほら、あんたの考えすぎよっ』と言われた。

 餌の横にはちゃんと飲み水を用意しているのに、その水をマグマが飲む事はなかった。マグマは必ずお風呂場に行きお風呂の バケツに入っている水を飲みたがるのだ。仕方ないのでバケツはマグマの水飲み専用となり、猫が水を飲みに行く度に家族が 立ってドアを開けてやりに行く事になる。家族が留守のときはしようがないので餌場の水を飲んでいたようだ。 これが不思議でしようがなかったのだが、後に意味がわかった。猫は地べたに置いた水や餌を食べていると吐きやすいのだそうだ。 立ったまま水を飲む事が楽だと自分で分かっていたんだろうな。もっと早く分かっていたら餌も水も台に乗せてあげたのに、ごめん。



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