| 用語 | 意味 |
あ |
アガサ賞 |
アガサ・クリスティーの名を冠した賞で、過度の流血や暴力描写の無い明るいミステリー(コージーミステリー)が受賞対象となる。 |
アンソロジー |
色々な作家の短篇を集め、一冊にまとめた幕の内弁当的な短編集。 |
安楽椅子探偵 |
安楽椅子探偵=アームチェア ディテクティプ。犯行現場に出て行かず、安楽椅子に座り事件の関係者の証言を元に推理し事件を解決する探偵の事。古典ではクリスティーの「お婆ちゃん探偵ミス マープル」が代表作。 |
医学スリラー |
医学に関係する内容が材になっているサスペンス、スリラーの事。医者の資格を持った作家が多い。マイケル・クライトンやロビン・クックが日本では有名。 |
インダストリアル スリラー |
企業内幕物を指す。(Industrial Thriller) |
EQMM |
エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジンの略。 |
MWA |
アメリカ探偵作家クラブの略。MWA賞=エドガー(アラン・ポー)賞。最優秀長篇賞、処女長篇賞、ペーパーバック賞、短篇賞等、色々な部門あり。 |
オカルト |
霊魂や魔術などの超自然的な世界を描いたもの。 |
か |
書き下ろし |
本を上梓するために新たに執筆する事。雑誌や新聞などに未発表の作品を単行本化、文庫本化する事。 |
コージー ミステリー("cozy" mystery) |
過度の流血や暴力描写の無いミステリを指す。日本ではクレイグ・ライス、リリアン・ジャクスン・ブラウン、シャーロット・マクラウド等が有名。 |
警察小説 |
その名の通り、警察官が主人公だったり警察署内が舞台の作品。日本で人気のある作家はエド・マクベインやイアン・ランキン。 |
さ |
サイキック物 |
超能力を扱った作品の事。 |
サイコ サスペンス(Psycho) |
英語では精神,心理,霊魂の意だが日本では精神異常、異常心理の世界を描いた作品を指す事が多い。ヒッチコック監督の「サイコ」から広まった言葉。 |
CWA |
イギリス推理作家協会の略。CWA賞=ゴールドダガー賞、シルバーダガー賞、エリス・ピーターズ賞(歴史ミステリー)等がある。 |
上梓 |
本を出版する事。梓(あずさ)の木を版木に用いた事が語源。 |
新本格作家 |
日本では一時期、神の如き探偵が出る探偵小説は軽視されていた。社会派が全盛だったのだが、それ以降に本格推理
小説を書く若手の作家が出てきて彼らの事を新本格作家と呼ぶようになった。日本で最初に「自分は新本格作家だ」と名乗ったのは
社会派の始祖と言われる松本清張氏(1966年)。欧米では新本格作家とは本格黄金時代(1920〜30年代)以降の英国本格作家の事。 |
スピン |
ハードカバー(単行本)の上部に付いている紐の栞(しおり)の事。まれに新潮文庫のように文庫にもある。余談だが昔は創元推理文庫にも付いていた。 |
スラプスティック(slapstick comedy) |
どたばた喜劇物の事。ドナルド・E・ウエストレイクの『ドートマンダー シリーズ』が代表格。 |
スリラー(Thriller) |
ハラハラ ドキドキする小説を指す。日本ではサスペンスと呼ばれる事が多い(洋物ではスリラー)。 |
ジュブナイル |
児童向け、少年少女向け小説の意。 |
装丁 |
本を綴じて、表紙・扉・カバー・外箱などをつけ、意匠を加えて本としての体裁を飾り整えること。その意匠。装本。 |
た |
テクノ スリラー |
科学的な技術などを材にしたミステリーやサスペンス。日本ではSFに分類される。例・テクノ スリラーの父(マイケル・クライトンの事) |
ダイイング メッセージ |
死に際に残されたメッセージ(犯人を示唆するような内容)。最初に使ったのはクイーンだがその後、色んな作家が使っている。作家の独りよがりが多く、読後に激怒する事が多いのが特徴か?。 |
DNA鑑定 |
ヒトの細胞中にあるDNAの塩基配列を分析することで個人を識別する方法で、バラバラ死体や顔のない死体というトリックを事実上使用不可能にした。この科学の進歩により多数の新本格作家がオカルトへの転向を余儀無くされた。 |
トラミス(トラベルミステリ) |
観光地を舞台にしたり、交通機関で主人公が動き回る物。本屋よりもキオスクで見かける事が多いJRタイアップ(?)ミステリー。同意語=旅情ミステリー。 |
な |
ノワール |
暗黒小説、犯罪小説、ピカレスク小説を指す。暗黒街などを舞台にした陰惨なハードボイルド風犯罪小説。ジェイムズ・エルロイが日本では有名。 |
ニューロティック (サスペンス、スリラー) |
異常心理描写のあるスリラー(神経症的なの意)。サイコ サスペンスとごっちゃにされるが、似て非なるものだとおもう。代表作家はマーガレット・ミラー、リチャード・ニーリィ。 |
ノンジャンル |
ミステリだと思って読んだら妖怪が出てきたり恋愛物だったりで、肩透かしを食らった読者の怒りを抑える為に出来た新しいジャンル。
今までのカテゴリから逸脱した本をカタカナで誤魔化そうとした版元と評論家の造語。同意語=ボーダーレス。 |
は |
版元 |
出版社、出版元を指す。江戸時代の瓦版は版型で刷られていたそうでその名残。 |
ハードボイルド |
感情を抑えた行動的な主人公が登場し、情緒表現を抑えた描写の探偵小説の一ジャンル。ダシール・ハメットなどがその代表的な作家。 |
ピカレスク小説 |
悪漢小説、悪者小説の意。 |
PWA |
アメリカ私立探偵作家クラブの略。この団体のシェイマス賞は小説の主人公が私立探偵の場合のみノミネート対象となる。主人公が警察官や国家公務員の場合不可で弁護士等の民間人はOK等の厳しい(?)選考基準がある。 |
フーダニット (Whodunit・Who done it?) |
「犯人は誰だ?」。いわゆる犯人当て、犯人探しが内容の大筋である本格推理小説の事。他にハウダニット(方法は?)やホワイダニット(なんで?動機の事)がある。 |
プロット |
ストーリーの筋立、構成の事。 |
変格 |
本格推理小説の対義語。オカルトの要素を含む物を変格と呼ぶ。戦前、戦後の探偵作家がよく使っていた言葉。 |
ホラー |
恐怖小説、怪奇小説の事。(Horror fiction)例・「キング・オブ・ホラー」でスティーヴン・キングを指す。 |
ホラー ジャパネスク |
幽霊や妖怪など日本古来の怪奇現象を材にする小説のジャンル。代表作家は宮部みゆき、京極夏彦 等。 |
本格 |
本格推理小説の意。これについては諸説あるので差し控える。横溝正史氏曰く「本格探偵小説=伏線の文学」だそうです。 |
本格黄金時代 |
1920年代〜1930年代を指す。クイーン、クリスティー、カーが全盛だった時代。 |
冒険小説 |
主人公の冒険を内容とする小説。日本ではスパイ物も含まれる。 |
ま |
メフィスト |
本格からオカルトまで何でもありのエンタメ系雑誌(サイズはA5版)。版元は講談社。 |
メフィスト賞 |
上記の雑誌でジャンルを問わず一般公募した作品で版元の社員が一人でも強力に推し(独断と偏見?)、雑誌に掲載されればメフィスト賞受賞となる。ただの掲載されましたで賞。随時受け付けで締め切りも無し。ココから出た人には色物作家が多く、マニアなファンが多い。 |
ら |
リーガル物(Legal) |
法廷シーンのある、法律に関わる小説を指す。 |