マグマ あと一月
2003年6月末だったかな。イスの上に上がって寝ていたマグマの鼻先に私の手を差し出したら私と分かったのか、体を起こしお座りをし手を踏み踏みして喜んでくれる。何だか嬉しくて嫌がるかなと思ったが抱き上げてみた。実家に戻ってかなりの月日が経っていたが元々、抱かれるのが苦手な猫だったので一度も抱き上げた事は無かったのだ。で、抱かれたマグマは大人しくしていて拍子抜けする。元気な頃だったら暴れて逃げていたんだよね。気を良くした私はマグマを抱いてベランダに出たのだがその時、かすかに猫が喉を鳴らす音が聞こえたんだよね。マグマは我が家の母上にベッタリで母以外の人間に触られて喉を鳴らす事など一度も無かったのでとても驚きだった。あぁ、やっと家族だとマグマが認めてくれたんだなぁと不覚にも涙が出た。この後、一度も抱く事無く逝ってしまうとは思いもしなかった。
 


7月に入ってすぐ、マグマが餌を全く食べなくなった。丸一日、何も口にしないし胃液のようなものを二、三度吐くので嫌な予感がして病院へ連れて行く。診察室に入るとすぐに検査をしてもらったのだが、医者は『かなり数値が悪化しています』という。入院させて点滴を打ちますか?と聞かれ私は悩んだ。他所の人間を極端に嫌うマグマを病院に預ける事は逆に本人にとって悪い結果を呼ぶんじゃないかと心配したんだよね。一緒に行っていた母上は『預けよう、これで持ち直してくれるならやってみよう』と言うのでそのまま入院となった。これが生きているマグマを見る最後になる。
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