奪取

真保 裕一 作家紹介&作品紹介
作家名 真保 裕一  
生年月日 1961年5月24日
生誕地  東京  
処女作  連鎖(江戸川乱歩賞受賞)
デビュー年 1991年
公式サイト

作家紹介

91年、「連鎖」で江戸川乱歩賞を受賞。
96年、「ホワイトアウト」で吉川英治新人文学賞を受賞。
97年、「奪取」で日本推理作家協会賞&山本周五郎賞受賞。
デビュー当時からD・フランシスファンじゃないかと睨んでいたら、当たりだった。 漢字二文字の『小役人シリーズ』を見た時、フランシスを意識しているのでは?と思ったのだ。 真保氏はフランシス作品の後書きも記されている。 両者の間には似た匂いがあるように感じる。
真保氏は非常に巧いし、人気もあるのに売れすぎが原因か、直木賞は未だとっていない。 一体、どういう選考基準なのか文○春秋社に殴り込みに行きたい気分だ。

奪取 講談社文庫 初版1999年5月
あらすじ 一千二百六十万円。友人の雅人がヤクザの街金にはめられて作った借金を返すため、大胆な偽札造りを二人で実行しようとする道郎・22歳。パソコンや機械に詳しい彼ならではのアイデアで、大金入手まであと一歩と迫ったが…。日本推理作家協会賞と山本周五郎賞をW受賞した。
 
感想 これが真保氏にノックアウトされた記念すべき作品。今は結構洒落た(?)文体になった真保氏だがこの作品はちと違う。ジャンルは冒険小説というか青春物というかエンタメ作品か悩むけれど、非常に面白いので何でも良いのだよね。真保作品の9割を読んでいるが未だに一番お気に入りの作品だ。
主人公道郎は友人がヤクザにはめられて出来た借金を返す為、偽札を作る事を決意する。で、一週間と言う期限にも係わらず何とかしようとするのだよ。この時点での目標はATMの読み取り装置をだます事だから、見た目にはバレバレの偽札だ。ここから諸々あって友人の雅人は警察に御用となる・・・がここからが本番だ。 復讐の為、そして最初は友人の借金返済の為にはじめた偽札作りに魅了され、知り合った謎の印刷工”じじい”と本格的な偽札作りに挑戦する事になる。この”じじい”が良いんだよね。真保氏は人物造形も巧い。明るい冒険物(?)なので、いつものハードボイルドな真保氏の作品が苦手な方にこそお薦めしたい。
真保氏の得意技だが、作品中にこれでもかと言うほど印刷&偽札作りに関する薀蓄(知識)が出てくる。これがまた楽しいんだよねー。役に立たない知識でも、知らない事なら何でも吸収したい薀蓄好きに是非!お薦めしたい作品だ。トムソーヤの冒険を読んだ時のドキドキ感とボニー&クライド(映画)を観た時のハラハラ感を味わえた。 文庫だと上下巻で1000P近いのだが、一気読み出来た。ラストも真保氏らしいしめ方で、やるなお主っ!と唸った。またこういうの書いてくれないかなー。(でも、エピローグは要らなかったかも・・・)
 



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