感想 |
これが真保氏にノックアウトされた記念すべき作品。今は結構洒落た(?)文体になった真保氏だがこの作品はちと違う。ジャンルは冒険小説というか青春物というかエンタメ作品か悩むけれど、非常に面白いので何でも良いのだよね。真保作品の9割を読んでいるが未だに一番お気に入りの作品だ。
主人公道郎は友人がヤクザにはめられて出来た借金を返す為、偽札を作る事を決意する。で、一週間と言う期限にも係わらず何とかしようとするのだよ。この時点での目標はATMの読み取り装置をだます事だから、見た目にはバレバレの偽札だ。ここから諸々あって友人の雅人は警察に御用となる・・・がここからが本番だ。
復讐の為、そして最初は友人の借金返済の為にはじめた偽札作りに魅了され、知り合った謎の印刷工”じじい”と本格的な偽札作りに挑戦する事になる。この”じじい”が良いんだよね。真保氏は人物造形も巧い。明るい冒険物(?)なので、いつものハードボイルドな真保氏の作品が苦手な方にこそお薦めしたい。
真保氏の得意技だが、作品中にこれでもかと言うほど印刷&偽札作りに関する薀蓄(知識)が出てくる。これがまた楽しいんだよねー。役に立たない知識でも、知らない事なら何でも吸収したい薀蓄好きに是非!お薦めしたい作品だ。トムソーヤの冒険を読んだ時のドキドキ感とボニー&クライド(映画)を観た時のハラハラ感を味わえた。
文庫だと上下巻で1000P近いのだが、一気読み出来た。ラストも真保氏らしいしめ方で、やるなお主っ!と唸った。またこういうの書いてくれないかなー。(でも、エピローグは要らなかったかも・・・)
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