感想 |
サイコ・サスペンスとありますが、そんなに怖くはありません(笑)。これ、早川から出ているんですけど、Rっぽい雰囲気も無きにしも非ずという雰囲気を持った作品(ヴィレッジブックスっぽい作品)なんですよね。知らずに読んだなら筆者は女性かなと勘違いしてしまうかも。だもんで、きっと女性読者向けの作品なんじゃないかなと思われます。早川も女性読者を掴もうと躍起?(笑)。で、物語はというと・・・
酔った男が自宅で自分の妻の局部にワインボトルを突っ込み、妻の頭を床に叩き付け殺してしまうのだが、幼い娘が一部始終を見ていた。男は娘にこれは事故だからと言い含め、警察を呼ぶ。男は刑事に妻の死は事故だと、事故の一部始終を見ていた娘が証人だと供述するが、娘はあっさりと「お父さんがお母さんを殺した」と真実を述べ父親は刑務所へ。そして、21年後のニューヨーク。頭部への激しい暴行の果てに、ワインボトルを被害者男性の肛門に突っ込まれているという連続殺人事件が起こる。市警きっての敏腕二世刑事フランク・ルッソは現場の状況から犯人は女なんじゃないか?と推測するが、証拠が多い割には決定的な物証がなく捜査は難航。そのころ、服役を終えた妻殺しの男は娘を探すべく街へと・・・という展開です。多視点で物語は進んでいくんですけど、犯人の描写には「彼女」が使われていて、だもんで読者には犯人は誰なのかなと考えつつ読まされるという趣向のミステリです。が、ミステリを読みなれている人なら引っ掛からない仕掛けも多いんですよね(笑)。なので〜犯人捜しに重きを置かずさらっと読んで欲しい作品です。正直に言うと、惜しいな、もうちょっとだなという印象なんですよね。割と物語はうまく纏まっていて読ませるんですけど、読者をミスディレクションしようとした分、読者に犯人が分かってしまったという点がね〜惜しいです(笑)。それと、導入部がよかったので、もうちょっと母を殺された少女の描写があっても良かったのかな。この後、邦訳されるならば読んでみたいなと思います。
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