殺す女


ウェイン・バーカム(Wayne Barcomb)作家略歴&著作の感想
作家名 ウェイン・バーカム(Wayne Barcomb)
生年月日 ???年
生誕地  ???
処女作  『Blood Tide』
デビュー年 2003年
公式サイト http://www.waynebarcomb.com/

作家略歴

長く大学教科書の出版社のCEOを務めた後、フルタイムの作家に転身。地方の小出版社から刊行したBlood Tide(2003年)、Undercurrent(2006年)の好評を受け、大手出版社であるセント・マーティンズから『殺す女』を刊行。ベテラン編集者であった妻Susan Nelle Barcomb と二人三脚での執筆を続けている。フロリダ州サラソタ在住

Series(シリーズ物)
Frank Russo(フランク・ルッソ刑事シリーズ)
1. The Hunted (2009)『殺す女』
Novels
All Are Naked (2002)
Blood Tide (2003)
Undercurrent (2006)


殺す女
(The Hunted)
早川書房文庫 初版2010年3月10日
あらすじ  少女の目の前で、父は母を殺した―ワインボトルを局部に挿入し頭を床に叩きつけて。見てはならないものを見てしまった少女は美しく成長した21年後、ワインボトルを用いて次々と男を殺し、死体を辱めることに快楽を見出すようになった…。一方、この連続殺人事件を追う刑事フランクは犯人が女だという確信を深めていく。彼が出会う美女たちの中に“殺す女”がいるのか?痛切な愛と暴力に彩られたサイコ・サスペンス。

 
感想  サイコ・サスペンスとありますが、そんなに怖くはありません(笑)。これ、早川から出ているんですけど、Rっぽい雰囲気も無きにしも非ずという雰囲気を持った作品(ヴィレッジブックスっぽい作品)なんですよね。知らずに読んだなら筆者は女性かなと勘違いしてしまうかも。だもんで、きっと女性読者向けの作品なんじゃないかなと思われます。早川も女性読者を掴もうと躍起?(笑)。で、物語はというと・・・
酔った男が自宅で自分の妻の局部にワインボトルを突っ込み、妻の頭を床に叩き付け殺してしまうのだが、幼い娘が一部始終を見ていた。男は娘にこれは事故だからと言い含め、警察を呼ぶ。男は刑事に妻の死は事故だと、事故の一部始終を見ていた娘が証人だと供述するが、娘はあっさりと「お父さんがお母さんを殺した」と真実を述べ父親は刑務所へ。そして、21年後のニューヨーク。頭部への激しい暴行の果てに、ワインボトルを被害者男性の肛門に突っ込まれているという連続殺人事件が起こる。市警きっての敏腕二世刑事フランク・ルッソは現場の状況から犯人は女なんじゃないか?と推測するが、証拠が多い割には決定的な物証がなく捜査は難航。そのころ、服役を終えた妻殺しの男は娘を探すべく街へと・・・という展開です。多視点で物語は進んでいくんですけど、犯人の描写には「彼女」が使われていて、だもんで読者には犯人は誰なのかなと考えつつ読まされるという趣向のミステリです。が、ミステリを読みなれている人なら引っ掛からない仕掛けも多いんですよね(笑)。なので〜犯人捜しに重きを置かずさらっと読んで欲しい作品です。正直に言うと、惜しいな、もうちょっとだなという印象なんですよね。割と物語はうまく纏まっていて読ませるんですけど、読者をミスディレクションしようとした分、読者に犯人が分かってしまったという点がね〜惜しいです(笑)。それと、導入部がよかったので、もうちょっと母を殺された少女の描写があっても良かったのかな。この後、邦訳されるならば読んでみたいなと思います。



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