T・J・マグレガー名義
トリシュ ジェーンシュッツ名義
トリシュ ジェーンシュッツ マグレガー(TRISH JANESHUTZ MACGREGOR)作家略歴&著作の感想 |
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作家名 | T・J・マグレガー(TRISH JANESHUTZ MACGREGOR) 別名義 トリシュ・ジェーンシュッツ(TRISH JANESHUTZ) アリスン・ドレイク |
生年月日 | ???年 |
生誕地 | ヴェネズエラ カラカス生まれ |
処女作 | IN SHADOW |
デビュー年 | 1985年 |
公式サイト | http://www.booktalk.com/TJMacGregor/ |
闇に抱かれた女 (DARK FIELDS) |
東京創元社 文庫 | 初版1992年3月27日 |
あらすじ | 彼女は作家、しかも男ばかりを狙う連続殺人鬼。女性私立探偵クィンの恋人もまた、犠性者のひとりだった。犯人はわたしが探す。そう言い張るクィンに、殺人課刑事マクレアリは手を焼いていた。そんな彼らの前に新たな殺人事件が…。捜査が暴く人間の隠された顔、顔、顔。そして、最後に現われたあまりにも意外な殺人鬼の素顔とは。
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感想 | 友人のNさまが『サイコサスペンスを読み始める切っ掛けになった作家はマグレガー』だと伺って読んでみたのですが、なかなか面白い作品です(笑)。ストーリーはそう大した事が無い(失礼)のですが、登場人物が良いのですよね〜。それに、シリーズの第一作にしては手馴れているなという印象を受けました。読後に知った事ですが、このマグレガー名義の前にはジェーンシュッツ名義で一冊上梓していて、そして作家の前はライターだったと知って、なるほど〜〜書き慣れているハズだなと頷けます。 恋人のグラントを殺された私立探偵クィンは、担当刑事のマクレアリに止められつつも犯人探しを始めるのだけれど、恋人グラントには、クィンの知らない第二の顔があったのですよね。グラントには女性関係は多数あるし、仕事も良からぬ事を行っていたので容疑者は多い・・・で、犯人は誰?というストーリーです。あんまり凝ってないでしょ?(笑)。読んでいたら、作者が読者に対して『ミス ディレクション(誤誘導)』している箇所がハッキリ分かっちゃうのですよ。なので(ミステリを読みなれた読者なら)誤誘導されれば、逆を考えてしまうでしょうから、物語り半ばで『こいつが、犯人だな』と分かってしまうと思います。ですが!謎解き以外だけで、充分読めるほど人物造詣が良いですね〜。亡き恋人の真実の姿を知り、苦悩するクィンと、同僚刑事との恋に終わりが見えている上に刑事という職に限界を感じ苦悩する殺人課刑事マクレアリ、この二人の絡みだけでも充分愉しめます。そして、終わり方が良いのですよ(笑)。この終わり方についてはネタバレになるので書けませんが、読後感が良いのも次を読んでみたいと思わせる一因かもしれません。ルヘイン著『パトリック&アンジー シリーズ』やマクダーミド著『キャロル&トニー シリーズ』等の、キャラ立ちした作品を好まれる方にお薦めです。謎解き自体を愉しみたい方には、不向きかも〜。 ![]() ![]() |
銀幕に踊る死 (KILL FLASH) |
東京創元社 文庫 | 初版1992年5月29日 |
あらすじ | 飛ぶ鳥を落とす勢いの映画プロデューサー、ギル。彼のもとに、ある日一本のビデオテープが送られてきた。そしてそこには、数日前に焼き殺されたある俳優の断末魔の姿が、生々しく映しだされていたのだ。誰が、何のために?そうだ、幼なじみのマクレアリに調査を頼もう。いま彼は夫婦で私立探偵事務所を開いている…。甦る過去の怨念。クィン&マクレアリ・シリーズ第2弾。
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感想 | 前作の『闇に抱かれた女』で知り合ったクィンとマクレアリが本作では夫婦になっています。で、マクレアリは警察を辞し、クィンと一緒に探偵社を経営しているのですよね。その探偵事務所に殺人事件の調査の依頼が舞い込みます。依頼人はマクレアリの幼馴染みのギル。犯人は誰?・・・という展開です。今回もストーリーは簡単です(笑)。マクレアリが、幼馴染みだと、全てを知っていると思っていた親友ギルには隠れた顔があり、その隠れた顔というか性癖が事件の鍵になっているのですよね。犯人も200頁も読めば分かっちゃうので、謎解き自体を愉しまれる方には物足りないと思います。本シリーズは、はっきり言ってクィンとマクレアリの関係がどうなるのか?という事に興味のない方には退屈かもしれません(笑)。謎解きは二の次で、作中人物の言動や会話を愉しむ方向けでしょう。
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密のような殺意 (DEATH SWEET) |
東京創元社 文庫 | 初版1992年7月24日 |
あらすじ | 男は、殺しの芸術をつくりあげた。女にたっぷり恐怖を味わわせ、体に粉砂糖をふりかけ、そして切りきざむ。しかも犠性者は、星座によって選ばれるのだ。―ある被害者の親族から依頼され、クィンとマクレアリは連続殺人事件の調査に乗りだした。だが男はそれに気づき、二人の身辺を徘徊しはじめる。悲劇が夫婦に襲いかかろうとしていた。クィン&マクレアリ・シリーズ第三弾。
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感想 | うーーーん。3作品連続でマグレガーの作品を読んでいるのですが・・・3作品とも出だしの100頁から200頁の間に、犯人が予想できてしまうのだよね〜(笑)。まぁ、私の場合は、犯人探しに重点を置くミステリは苦手で、登場人物の心の動きなんかを細やかに描写してある作品を好んで読むので、愉しんで読んでいるのですが、万人向けじゃない気がします。 血の繋がっていない妹(継母の連れ子)を殺されたロス・ヤングは、その犯人探しをクィンとマクレアリに依頼する。調査に取り掛かったクィン&マクレアリは、この殺人事件の犯人は他にも多数の女性を殺害していたことを知り、必死で調査を続けるが・・・というストーリーです。本作では、マクレアリが過去に付き合っていたという女性が登場します。で、マクレアリは調査の為と称して、その女性と行動を共にするんですよね〜。で、クィンとマクレアリの夫婦関係がギクシャクしてくるワケですよ(笑)。何となくロマンス系作品を読んでいるような恥ずかしい(笑)展開の中、事件の核心に迫るクィンとマクレアリに危険が迫り〜〜という内容で、この作品もマクレアリ夫婦の関係はどうなるのか?という点に重点が置かれた作品です。ただ一つ思うのは、この作家は惨殺シーンの描写が巧いですね。読んでいて鳥肌が立ちます。より過激なサイコを読みたい方にお薦めしたいです。 ![]() ![]() |
凍てついた絆 (ON ICE) |
東京創元社 文庫 | 初版1992年9月25日 |
あらすじ | 男が目覚めたとき、かたわらには女の惨殺死体がころがっていた。いったいおれは…、おれは誰なんだ。ここで何をしているんだ。しかも男は記憶喪失に陥っていた。殺人容疑で警察に連行される男。やがて彼の前に妻と名乗る女性が現われた。わたしはクィン、あなたは夫のマクレアリなのよ。過去は失われ、いままた夫婦の絆も断ち切られようとしていた。クィン&マクレアリ・シリーズ第四弾。
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感想 | がはは〜〜〜。私はミステリで一番好きなネタは記憶喪失なのですよね〜(笑)。私は誰?ココはドコ?って展開が好きなので、この作品は今までの作品の中で一番楽しめました。 モーテルの1室で目覚めた『私』は愕然とする、目の前には警官が、隣のベッドには女の死体が。警官に名前を問われるが自分の名前が思い出せない『私』。殺人容疑で連行された『私』は見知らぬ女と対面する。彼女はの名はクィンといい『私』の妻だと言う・・・。マクレアリは記憶喪失になり事件に巻き込まれるのですよね。何らかの捜査の過程で事件に巻き込まれたのだろうけれど、その時、クィンは旅行に出ていて、マクレアリがどんな捜査を行っていたのかが分からないのですよ。夫の無実を証明する為には、真犯人を探し出さないといけないという事で、調査に乗り出すクィン。必死で糸口を掴もうとするクィンだが、殺人容疑を晴らしたからといって、20歳からの記憶を綺麗サッパリ失くしているマクレアリとの夫婦生活はどうなるのか?というストーリーなんですが、面白いです。犯人はね、いつものようにすぐに分かっちゃうんだけど、それ以外の部分が良いですね〜。記憶を失くす前は我慢出来たクィンの過食症やずぼらぶりに怒るマクレアリが笑えます。 ![]() ![]() |
秘めやかな宴 (SPREE) |
東京創元社 文庫 | 初版1994年5月20日 |
あらすじ | キャットが殺された。喉を切り裂かれ、手首を切断されて。マクレアリがもっともかわいがっていた末の妹。ずば抜けた才能と天性の明るさで、舞台女優としての道を着々と歩んでいたのに…。悲しみと怒りを胸に秘めて調査を始めた夫のもとへ、クィンも幼い娘をかかえて駆けつけた。だが事件は、兄も知らない妹の、秘められた素顔まであぶりだしてしまった。シリーズ第七弾。
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感想 | 2作品が手に入らなくて飛ばして読んでいるために思うのかもしれませんが、この作家は成長していますね(偉そうな(汗)。シリーズ第一作から第四作まで、プロットがちょっと弱いなぁ、謎解きに重点を置いて読む方には向かないだろうなと思う事が多かったのですが、シリーズ半ばからちょっとづつ修正されて来ているようです。それと、ミステリという枠に囚われずに自分の好きな分野をストーリーに生かすという事をこの作品からやっていますね。マグレガーは、元々心霊現象や超能力などの不思議系(?)が好きな作家みたいだけど、この作品にもちょっとだけそういう要素を組み込んでいて、作家が楽しんで書いたんじゃないか?という印象を受けました。この作品からサイコ色が薄れてきているのも、その所為かもですね。
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別な肌 (STORM SURGE) |
東京創元社 文庫 | 初版1997年6月27日 |
あらすじ | かつては犯罪心理学者として名を馳せ、クィンにとって恩師も同然の人物が殺された。謎めいた二枚の写真を彼女に残して。最近は、あるリゾート開発会社の土地買収に対し激しい抗議運動をしていたらしい。どうやら事件の鍵か。クィンは一歳四カ月の愛娘ミッシェルを姉に預け、この会社に秘書としてもぐりこむことにするが……
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感想 | クィンにとって恩師同然の男が射殺された。手掛かりはクィンに送られてきた二枚の写真だけ。恩師の仇を討つために潜入捜査を開始するクィンとマクレアリだが、クィンは暗殺者のターゲットとなり・・・というストーリーです。本作もサイコではありません。作者もサイコを書く気力がなくなって来たのでしょうかね?。で、ここまで6作品を読んできて思うのですが、このシリーズは別にミステリじゃなくても良かったんじゃないでしょうか?(笑)。謎解きを追いながら読むというよりは、クィンとマクレアリが夫婦としてどうなっていくのかという点のほうに重点が置かれている気がするのですよね。犯人探しはオマケで、夫婦関係、人間関係、親と子の関係等を作者は書きたがっているような気がします。
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震える青 (BLUE PEARL) |
東京創元社 文庫 | 初版1998年6月19日 |
あらすじ | ジョギングをしていたマクレアリが狙撃された。一命はとりとめたものの、彼は重度の障害を負ってしまう。ある女性の殺害事件の調査をしていた矢先だった。女の夫は謎めいた心霊治療家だ。この男が鍵か。不安と絶望のなか、クィンは新しいスタッフの元追跡屋タークとともに事件を追うが、その背後で巨悪の策謀が渦巻いていることをまだ知る由もない…シリーズ第九弾。
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感想 | マクレアリ ファンのワタクシには許せないストーリーでした!。冒頭でマクレアリがいきなり銃撃され、あわや半身不随かっ?!という状況になるのですよ!!!。この作者、そろそろシリーズを終わらせたいと思っているのではないでしょうか?(笑)。といいつつ、本作がシリーズの中で、一番楽しんで読めたので良かったんですけどね。 クィンに内緒で、殺人課刑事の調査の手伝いをしていたマクレアリが狙撃され、命だけは落とさずに済んだんだけど重度の障害を負ってしまう。マクレアリの調査を阻止しようとする何者かに撃たれたのだろうと、クィンはマクレアリの捜査を代わりに続行する事になる。が、怪しげな心霊治療家や透視能力者が事件に絡んで・・・というストーリーで、『秘めやかな宴』から加味されてきた『不思議色』が濃い作品です。心霊治療家の嫁を殺害した犯人は誰か?という単純なストーリーで、その犯人も簡単に分かってしまうんだけど、妙に楽しめた作品です。 ![]() ![]() |
トリシュ ジェーンシュッツ(TRISH JANESHUTZ)名義の感想 |
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霊能者狩り (HIDDEN LAKE) |
東京創元社 文庫 | 初版1991年7月26日 |
あらすじ | 湖のほとりにひっそり佇む町、ヒドゥンレイク。二百人以上もの霊能者が暮らすこの町で、ある夜一人の女性霊能者が惨殺された。だが、たまたまその犯行現場を透視していた一人の霊能者がいた。強力な思念に邪魔をされ、殺害犯の正体は分からない。そう、犯人もまた霊能者だったのだ。やがて第二の殺人が起こる。霊能者を憎悪する霊能者とは誰なのか?。
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感想 | こういう不思議系ミステリの感想を書くなんてヤボですよね(笑)。被害者は霊能者、犯人も霊能者、警察官まで霊能者、登場人物の殆どが霊能者という不思議な作品なのですが、ストーリーはミステリ仕立てなのですよね。ノンジャンル作品というかボーダーレス作品といった方が正解でしょうか?。テレパシー有り、予知有り、透視有り、念動力有り、幽体離脱、臨死体験、交霊、などなど何でもありの状況の中、なぜか犯人だけが分からない(笑)。で、犯人は誰か?というストーリーです。これを読んで面白いといえるかどうかは、単に好みの問題だと思います。 |