放火 コクウィットラム連邦警察署ファイル


サンドラ・ラタン(Sandra Ruttan)作家略歴&著作の感想
作家名 サンドラ・ラタン(Sandra Ruttan)
生年月日 1971年
生誕地  カナダ
処女作  『Suspicious Circumstances』
デビュー年 2007年
公式サイト http://www.sandraruttan.com/

作家略歴

 1971年カラダ生まれ。13歳で新聞にコラム欄を持ち、早熟な文才を発揮。オンラインマガジン誌を創設し、プロと新人作家に発表の場を提供、犯罪小説の書評で健筆をふるう。自身も小説家として活躍。パートナー、二人の子供たちとともにアメリカ、メリーランド州在住。

Novels
Suspicious Circumstances (2007)
What Burns Within (2008)『放火 コクウィットラム連邦警察署ファイル』
The Frailty of Flesh (2008)
Lullaby for the Nameless (2009)


放火 コクウィットラム連邦警察署ファイル
集英社文庫 初版2010年6月30日
あらすじ  バンクーバー近郊で連続事件が同時発生。誘拐された少女が続けて放火現場で発見され、レイプ被害者はみな消防士の妻か恋人で、放火当日、自宅で襲われていた。ある事件の痛手から互いに連絡を断っていたノーラン、ハート、テインの3刑事は、町の暗部と過去の闇、警察内部の腐敗が絡みあう中、再度ともに難事件に立ち向かう。

 
感想  舞台はバンクーバーに程近いコクウィットラムという市で、カナダ連邦警察官の3人が主人公という警察小説(というかスリラー?)です。で、物語はというと・・・。
 主人公はクレイグ・ノーラン(父親も警官で直接の上司)、アシュリン・ハート(男性の視線を一身に集めてしまう美女)、テイン(ネイティブ系カナダ人。無愛想で周りとの軋轢を恐れないが正義感の強い男)という3人の刑事で、クレイグは連続レイプ事件を担当し、アシュリンは連続放火事件を担当、そしてテインは連続少女誘拐事件を担当していた。そんなある日、新たな少女誘拐事件が発生するんだけど、同じ日に放火事件も発生。その放火事件現場で数日前に行方不明になっていた少女の遺体が発見される。そんでもって放火当日には必ず消防士の妻か恋人が自宅で何者かにレイプされていたのだ。事件に関連性があると分った3人は1年ぶりで顔を揃え、協力して事件に当たる事になるのだが・・・という展開です。で、この作品の特徴ともいえるのですが〜場面が切り替わるのが早いんですよね。その描写の短さが、ちょっと、他の作家では例がないってくらい頻繁に切り替わるのですよね。早い時は1ページ弱で登場人物と視点が変わるので、慣れるまでは苦戦しました(笑)。そんでもって、びっくりするくらい登場人物が多いのですよね。被害者の少女たちとレイプの被害者たち(そして、それぞれの家族たち)、そんでもって消防士たちにその彼女、刑事たちとそれぞれの相棒や上司まで入り乱れるので、翻訳ミステリしか読まない私でも、イリイリするほどの(?)目まぐるしさでした(笑)。作者は、作品にスピード感を与える為に採った手法なんだろうけど、ちょっとやり過ぎだなという印象です。ただし、登場人物は全員が魅力的で、実際にこんな刑事っているんじゃないかと思わせるような何かがありますので、描写法と数え切れないほどの登場人物を我慢できれば(ゑ)充分に楽しめるミステリに仕上がっていると思います。この作品はシリーズ化されているそうなので(そんでもって、作中で触れられている、過去の大事件ってのも描かれているらしい)、是非とも次作を読ませて欲しいと思います。(P.J.トレイシーも出てませんしね。待ってます)



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