感想 |
舞台はバンクーバーに程近いコクウィットラムという市で、カナダ連邦警察官の3人が主人公という警察小説(というかスリラー?)です。で、物語はというと・・・。
主人公はクレイグ・ノーラン(父親も警官で直接の上司)、アシュリン・ハート(男性の視線を一身に集めてしまう美女)、テイン(ネイティブ系カナダ人。無愛想で周りとの軋轢を恐れないが正義感の強い男)という3人の刑事で、クレイグは連続レイプ事件を担当し、アシュリンは連続放火事件を担当、そしてテインは連続少女誘拐事件を担当していた。そんなある日、新たな少女誘拐事件が発生するんだけど、同じ日に放火事件も発生。その放火事件現場で数日前に行方不明になっていた少女の遺体が発見される。そんでもって放火当日には必ず消防士の妻か恋人が自宅で何者かにレイプされていたのだ。事件に関連性があると分った3人は1年ぶりで顔を揃え、協力して事件に当たる事になるのだが・・・という展開です。で、この作品の特徴ともいえるのですが〜場面が切り替わるのが早いんですよね。その描写の短さが、ちょっと、他の作家では例がないってくらい頻繁に切り替わるのですよね。早い時は1ページ弱で登場人物と視点が変わるので、慣れるまでは苦戦しました(笑)。そんでもって、びっくりするくらい登場人物が多いのですよね。被害者の少女たちとレイプの被害者たち(そして、それぞれの家族たち)、そんでもって消防士たちにその彼女、刑事たちとそれぞれの相棒や上司まで入り乱れるので、翻訳ミステリしか読まない私でも、イリイリするほどの(?)目まぐるしさでした(笑)。作者は、作品にスピード感を与える為に採った手法なんだろうけど、ちょっとやり過ぎだなという印象です。ただし、登場人物は全員が魅力的で、実際にこんな刑事っているんじゃないかと思わせるような何かがありますので、描写法と数え切れないほどの登場人物を我慢できれば(ゑ)充分に楽しめるミステリに仕上がっていると思います。この作品はシリーズ化されているそうなので(そんでもって、作中で触れられている、過去の大事件ってのも描かれているらしい)、是非とも次作を読ませて欲しいと思います。(P.J.トレイシーも出てませんしね。待ってます)
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