サイモン・カーニック(Simon Kernick)作家略歴&著作の感想 |
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作家名 | サイモン・カーニック(Simon Kernick) |
生年月日 | 1966年 |
生誕地 | 英国ロンドン |
処女作 | 『The Business of Dying』 |
デビュー年 | 2002年 |
公式サイト | http://www.simonkernick.com/ |
殺す警官 (The Business of Dying) |
新潮文庫 | 初版2002年9月1日 |
あらすじ | 副業で殺しを請け負う敏腕刑事デニス。とはいっても、標的は悪人だけだ。今回の依頼では3人の麻薬ディーラーを射殺した。ところが、翌朝の報道で被害者が罪もない一般人だったと知る。やがて自分に酷似した犯人のモンタージュ写真が新聞に載り、そもそも依頼が罠だったのではと疑うが…。極悪にして正義漢というアンチヒーロー登場!。
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感想 | 主人公のデニス・ミルンは敏腕刑事なんですが〜押収したヤクを横流ししたりする悪徳警官なんだよね。だけど、実は裏ではもっと酷い事をやっていて、闇社会に暗躍する実業家から殺しを請け負う職業殺し屋(?)なんですよね。相手が悪党の場合に限り仕事を引き受けるんだけど、それにしたって、そこで金を受け取るわけだから悪人なわけです。で、デニスはいつものように仕事を引き受け、3人の麻薬密売人を射殺するんだけど、実は殺した3人は全員とも真っ当な堅気の人間だったんだよね。3人を撃ち殺した現場を見た目撃者が思いのほか出来の良いモンタージュ写真を作成し、公表されたもんだから・・・という展開の物語です。ジャンルわけするならノワールなんだろうけど、デニスは昼間は真面目な警官なので、18歳の女の子が惨殺されるという事件を真面目に捜査しているので、警察小説でもあるんですよね。デニスは悪人で堕落しきっていて、このままだと悪事が明るみに出るのは必至という場面でもわりと前向きで(?)、暗いノワールを読んでいるといった感じはありません(笑)。手放しでは誉められない作品だけど〜プロットが乱暴なのに目をつぶれば、わりと楽しめた作品です。勢いに任せてドドドーっと書いたというような若書きが目立つ作品ですが、この主人公が魅力的なので、その部分で読まされたという感じです。この作品、第2作も描かれているので、是非とも読んでみたいなと思います(が、2002年から8年経っても出ていないトコを見るともう出ないのかも?(汗))。
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ノンストップ! (Relentless) |
文春文庫 | 初版2010年6月10日 |
あらすじ | 電話の向こうで親友が殺された。死に際に僕の住所を殺人者に告げて。その瞬間から僕は謎の集団に追われはじめた。逃げろ!だが妻はオフィスに血痕を残して消え、警察は無実の殺人で僕を追う。走れ、逃げろ、妻子を救え!平凡な営業マンの決死の疾走24時間。
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感想 | もうね、主人公であり物語の語り手であるトム・メロンがね、いやな男なんですよね(笑)。そんでもって、事件に巻き込まれる切っ掛けを作るトムの嫁もまた更にいやな女なんですよね〜(爆)。主人公夫婦は、妻の二重不倫(?)が原因で、暗殺者集団に追われる身となり、挙句に幼い子供まで人質に取られるという展開なんですが、二人ともが巻き込まれるべくして巻き込まれたという内容なもんで、これっぽっちも同情できず・・・。だもんで、読み進むかどうしようか悩んだのですが、読んで正解でした。主人公以外の登場人物がわりと魅力的で、なかなか読ませるんですよ。特に良い感じだったのは、妻を事故死で亡くした過去を持つというトラウマ持ち刑事のマイク・ボルト。で、いけ好かないトムの語りと(一人称)、ボルトの場面とが(3人称)交互に入れ替わり、物語は進んで行くのですが、多少のムリクリ感はありますが、一気に読める作品に仕上がっています。処女作を「勢いに任せてドドドーっと書いたというような若書きが目立つ作品」と評しましたが、このドドドーっという感じは作者の特徴みたいですね(笑)。冒頭から動きのある作品なので、翻訳本のモタモタする部分が苦手な方にお勧めです。 |