法人類学者デイヴィッド・ハンター


サイモン・ベケット(Simon Beckett)作家略歴&著作の感想
作家名 サイモン・ベケット(Simon Beckett)
生年月日 1968年
生誕地  イギリス・シェフィールド生まれ
処女作  『Fine Lines』(←不確定情報。ミステリ外?)
デビュー年 1994年
公式サイト http://www.simonbeckett.com/English/home.php

作家略歴

1968年、イギリス・シェフィールド生まれ。大学卒業後ジャーナリストとなり、タイムズ紙、デイリー・テレグラフ紙、オブザーバー紙などイギリス一流の新聞等に寄稿している。同時に執筆活動もおこなっていたが、2006年、取材で訪れたアメリカの「死体農場」での衝撃的な体験を元にミステリーに初挑戦。そのミステリー・デビュー作にあたる『法人類学者デイヴィッド・ハンター』は、英国推理作家協会の最優秀長編賞(ダガー賞)にノミネートされたほか、世界20か国で100万部を売るベストセラーとなった。現在はシェフィールドに住みながら、デイヴィッド・ハンターのシリーズを書きつづけている 。

わかる範囲で著作リスト
*Dr David Hunter(法人類学者デイヴィッド・ハンター シリーズ)
1. The Chemistry of Death (2006)『法人類学者デイヴィッド・ハンター』
2. Written in Bone (2007)
3. Whispers of the Dead (2009)

*Novels(シリーズ外)
Fine Lines (1994)
Animals (1995)
Where There's Smoke (1997)
Owning Jacob (1998)


法人類学者デイヴィッド・ハンター
(The Chemistry of Death)
ヴィレッジブックス文庫 初版2009年2月20日
あらすじ  人は死後4分で肉体が腐敗しはじめる。そしてバクテリアや蝿のご馳走となり骨と化す。そうした死体を発見現場の状況も含めて検分し、身元や死に至った状況を推測するのが法人類学者と呼ばれる人たちだ。ハンターもそのひとり。3年前にイギリスの片田舎マナムにやってきて医師をしているが、実は世界各地で数々の事件を解決に導いてきたエキスパートだった。しかし、過去を捨て、静かに暮らすことを望んでやってきた村で腐乱死体の発見が相次ぎ、やむをえず捜査に協力することになる。専門知識を駆使した鋭い推理で、犯人像は絞られてゆくが…。イギリス発、科学捜査ミステリー。

 
感想  一見、牧歌的に見える小さな田舎町を舞台にした英国らしいミステリですが、扱われている内容は最先端を行く法人類学でして、英国物が苦手な方もそうでない方もイケると思われます。それと、久々に一人称で語られる物語を読んだので大変に読み易く感じました(笑)。たまにこういうオーソドックスな語りのミステリを読むと新鮮に感じられます。物語はいたってシンプルで、内容はというと・・・。
主人公のデイヴィッド・ハンターは、白骨死体や損傷の激しい遺体に残された僅かな物証から性別や年齢、死亡時期などを割り出す法人類学者だったのだが、今はノーフォークの片田舎の町医者として生きていた。デイヴィッドは数年前に妻子を交通事故で失っており、その事故を境に死体と向き合う事が出来なくなり過去を封印し田舎町の診療所で職を得たのだ。が、その町で女性が腐乱死体で見つかるという事件が起き、デイヴィッドは否応なく捜査に手を貸すことになり・・・という展開です。よそ者を嫌う閉鎖的な町で医者として献身的に働いて来たデイヴィッドですが、事件を境に、自身が未だ村人たちから見れば旅行者となんら変わらないんだという事実に愕然とするんだけど、理不尽な死を迎えた被害者のため、捜査を進めて行く過程は読み応えがあります。ただ・・・一人称で描かれているので、巧者な読み手なら犯人が容易に知れてしまうと思われます。なので、どちらかというと謎解きを重視されない方向けかもしれません。ワタクシは十分に楽しめました。主人公が魅力的でしたので、次作も読んでみたいなと思います。
ヴィレッジブックスはシリーズ物の1作目だけを邦訳し残りは邦訳されないって事が多いので、是非とも2作目も邦訳される事を祈ってます。



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