女刑事の死

ロス・トーマス 作家紹介&作品紹介
    
作家名 ロス・トーマス(Ross Thomas)
生年月日 1926年
没年月日1995年
生誕地  アメリカ・オクラホマ州オクラホマシティー
処女作  冷戦交換ゲーム
デビュー年 1966年
公式サイト


作家紹介

某略小説、冒険小説、犯罪小説の巨匠作家。
1966年 『冷戦交換ゲーム』でMWA最優秀新人賞を受賞
1984年 『女刑事の死』でMWA長篇賞を受賞

オクラホマ大学卒業後、兵役に就き第二次世界大戦でフィリピンに従軍した経歴を持つ。ジャーナリスト、編集者、政府の広報担当官 としてアジア、アフリカに赴任した。後、選挙活動の戦略家として選挙参謀を務めた経験もある。この経験を生かし冷戦時代の 東西ドイツを舞台とした作品などのように(冷戦交換ゲーム)、謀略的な背景を絡ませた作品が多い。
複雑な人間関係や凝りに凝ったプロットが持ち味。ストーリーに派手さは無いが、複雑に張り巡らされた伏線はロス・トーマスにしか 書き得ない作品だと言えるだろう。日本でも邦訳された数は決して少なくないのだが、何故か日本人受けしなかった作家でもある。 ミステリファンへと言うよりは冒険小説、謀略小説がお好きな方にお薦めしたい作家だ。オリバー・ブリーク名義で元新聞記者 セント・アイヴズを主人公とする5作品も発表されているが日本で翻訳されているのかは不明。映画化されたようだが詳細は不明。
余談・・・プロットが凝っているので『詰め込みすぎ』とか『難しい』と評されたようだが、後期は日本でも人気を博した。1995年没。



女刑事の死
Briarpatch
早川ミステリアスプレス文庫 初版1995年9月20日
あらすじ 刑事だった妹が、自動車に爆発物を仕掛けられて殺された。誰が何のためにやったのか? 上院の調査監視分科委員会で顧問を務める兄のベンジャミンは、真相を探る為に帰郷する。分科委員会から請けた重要な使命を 遂行しつつ、彼は事件の調査を始める。やがて、妹にまつわる数々の謎が浮かび上がる。ロス・トーマスにしか書き得ない異色の サスペンス。(アメリカ探偵作家クラブ賞受賞作)

 
感想 とっても不思議な構成の作品です。とにかく難しい(笑)。こういう人をプロットが巧いと 言うのだろうなと感心するほどです。あらゆる登場人物の事を丁寧に書き込んであるので途中で誰が主人公か、無事に話がまとまるのか、 ドキドキ心配しながら読みました。複雑に絡み合った人間関係が解き明かされていく様は、まさに職人芸です。 妹が轟音と共に爆殺されたと連絡を受けた兄が、犯人を追うだけでも充分にストーリーとして成立しそうなのに、 2つ3つと同時進行する伏線!(ホントにこの作家巧いです)。殺された妹の死の謎を追うというサスペンスフルな部分と トーマスお得意の謀略的な背景を絡ませるというトーマスらしい不思議なミステリーでした。ですが、好き嫌いがはっきり分かれそうな作品です。 読み手によっては詰め込みすぎだと思われる方もいそうです。私自身は、作者に引きずりまわされる事に快感を覚えるので、楽しめました。 「ミステリなんて単純なストーリーだ」と侮っている方にお薦めの一冊です。この作品はロス・トーマスの作品の中で最もミステリ色が 濃い作品なので張り巡らされた伏線に身悶えするような方にお薦めしたいです。



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