手嶋龍一(てしま りゅういち)作家略歴&著作の感想 |
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作家名 | 手嶋龍一(てしま りゅういち) |
生年月日 | 1949年 |
生誕地 | 北海道 |
処女作 | 『中ソ国境 国際政治の空白地帯』 (ノンフィクション) |
デビュー年 | 1986年 |
公式サイト | http://www.ryuichiteshima.com/ |
ウルトラ・ダラー (ULTRA DOLLAR) |
ハードカバー | 初版2006年3月1日 |
あらすじ | 拉致」衝撃の深層!昭和43年暮れ。東京・荒川に住む若い彫刻職人が、忽然と姿を消した。それから35年以上の月日が流れ、ついに全貌が明らかになる…。ダブリンに超精巧偽百ドル札あらわる!震源は「北」。前NHKワシントン支局長の著者が放つ衝撃のドキュメンタリー・ノベル。
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感想 | 小説家として見るなら、未熟というかまだまだ発展途上にある作家なんだなという印象です。今風(?)の冒険小説に習い、場面が映画のように切り替わるのですが〜その切り替えが唐突なのですよね。なので、読んでいて下手だなと思いはするのですが、ストーリーの面白さで読まされた、相殺されたといった感じです。それと、手嶋さんの文章には無駄な平仮名がないのですよね(笑)。なので、小説作法には不満があるけれど、読み易い作品でした。 主人公はイギリスBBS東京特派員のスティーブン・ブラッドレー(実は英国諜報部員)。彼は限りなく本物にちかい『ウルトラダラー』なる偽札が出現したとの情報を得て、米国財務省シークレット・サービスの捜査官コリンズに連絡を取り、調べを進めていく。一方、内閣官房副長官の高遠希恵は、スティーブンに、外務省アジア大洋州局長・瀧澤勲と面会することを勧める。震源は「北朝鮮」。 アジア・欧州・日本・アメリカを巻き込み物語は進む〜という展開です。昭和四十三年に東京・荒川で若い彫刻職人が忽然と消したのだけど、彼は偽ドル札を作る為に拉致されていたのですよね。拉致・通貨偽造・マネーロンダリング・兵器の密売が物語の中で交錯していくのですが、実際にあった事件が頭の中によぎり『これはフィクションだから』と自分に言い聞かせながら読みました(笑)。惜しいのは最後の終わり方。これは続編を書く気なんだろうなと思わせるのが気になりますが、処女作でこの出来なら御の字でしょうね。 |