リチャード・ペック(Richard Peck)作家略歴&著作の感想 |
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作家名 | リチャード・ペック(Richard Peck) |
生年月日 | 1934年 |
生誕地 | イリノイ州インディケーター |
処女作 | |
デビュー年 | ???年 |
公式サイト |
シカゴより怖い町 (A Long Way from Chicago) 斎藤倫子/訳 |
東京創元社単行本 | 初版2001年2月28日 |
あらすじ | 大柄なうえに型破りな性格。そんなおばあちゃんを訪ねたあの夏、死ぬほどつまらないと思っていた田舎町で生まれてはじめて死体を見ようとは!わたしたち兄妹はシカゴの都会っ子で祖母の豪胆ぶりに、すっかり怯えた。それでも来年になると、また列車に乗りこむ。「おばあちゃんは、わたしたちのいいお手本とは言えないと思うんだけど」なにが起こるかわからないから、おもしろい。銃はぶっぱなす、大ボラはふく、法は無視する、牛乳瓶にネズミをいれる…毎年毎年、いったいなんのために?ニューベリー賞次席、全米図書賞児童書部門最終候補となった、感動のベストセラー。
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感想 | 面白いので、どうぞ児童書だからとしり込みせずに読んで欲しい。ただそれだけです・・・が、そういうわけにもいかないのでちょっとだけ。シリーズ第1作の本作のみ、短編集(連作短編集)になっております。1929年から1935年までの夏、ジョーイ少年と妹のメアリ・アリスは二人きりでイリノイ州中部の田舎町に住むおばあちゃんの家にお泊りに行かされていたのですよね。そのおばあちゃんの家で暮らした様子が描かれているのですが、秀逸です。お奨めします。
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シカゴより好きな町 (A Year Down Yonder) 斎藤倫子/訳 |
東京創元社単行本 | 初版2003年9月10日 |
あらすじ | 銃をぶっぱなすおばあちゃんが帰ってきた!不況のために家を失ったおかげで15歳のメアリ・アリスは田舎の祖母の家にやっかいになるはめに昔のように兄のジョーイと一緒ではない夏休みの一週間だけ、我慢すればすむってわけでもないあんなおばあちゃんといったいどうやって暮らせというの…途方にくれつつ、すこし大人びた少女は豪胆な祖母とどう渡り合うのかそして、転校生との恋のゆくえは?『シカゴよりこわい町』に続くニューベリー賞受賞のハートウォーミングなヤングアダルト小説。
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感想 | ストーリーが良いんですよね。ニヤニヤしてしまうようなシーンの連続なのですが、その当時の文化や風潮みたいなものが作品の中にしっかりと描きこまれているところがとくに好い。で、物語はというと、1937年の大不況で父親が失業してしまい、子供部屋のあるようなアパートを借りることが出来なくなったため、一人 おばーちゃんの家にやっかいになる娘のメアリ・アリスが主人公です。大不況の中でもめげず逞しく生きていくダウデルばーさんを見ているだけでも楽しいのですが、無愛想だけど正義を貫く祖母の良さを理解出来るメアリも良いし〜両者とも素晴らしいキャラです。感想なんか読まずに、本を手にして欲しいと心から思います。 作中でおばーちゃんが孫に通販で靴を買ってあげるというシーンがあるのですよね。その買い物シーンが面白かったんだけど、当時は、足の裏の足形を紙に写して、そんでそれを注文書に同封しサイズを決めてもらっていたらしいのですよね。このシーン以外でも当時は普通だった事が今では驚く事だらけで、そういう意味でも一読の価値ありと言えると思います。なんせ、楽しいんですよね。お奨めです。 ![]() ![]() |
シカゴよりとんでもない町 (A Season of Gifts) 斎藤倫子/訳 |
東京創元社単行本 | 初版2010年11月30日 |
あらすじ | 新任の牧師一家のおとなりさんは、九十に手が届こうというのにかくしゃくとしているダウデル夫人。近所づきあいはしないし、教会にもいかず、気難しいうえに、なんと武装までしている!魔女のように巨大な鍋でアップルバターを作り、スイカ泥棒に向けては銃をぶっぱなす。そして夏が過ぎ、収穫の秋も終わり、クリスマスの季節がやってきた。だが、クリスマスといえど、ダウデル夫人のたくましい腕から逃れられるものではなかった…豪傑おばあちゃんまだまだ健在。奇想天外にして、心温まる、ニューベリー賞オナー、ニューベリー賞を連続受賞した、傑作シリーズ第三弾。
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感想 | ニューベリー賞とは何ぞや?という好奇心で手にしたのですが〜読んで本当に良かったなと感動中です(笑)。本作は、児童書なんですよね。(ワタクシが子供の頃はジュヴナイルと呼んでおりましたが、今はヤングアダルト?)児童書なのですが、子供だけに読ませるのは惜しいほど、時代が描きこまれている大人びた作品(?)です。というか、子供にはこの奥深さは解からないかもしれません(笑)。で、その内容はというと・・・描かれているのは1958年。牧師一家がイリノイ州の田舎町に赴任する事になるのですが、その一家の隣家のダウデル夫人というおばーさんが一風変わった人なんですよ。そのダウデル夫人と一家の交流を長男の語りで(一人称で)綴られるわけですが、これこそがフィクションだ、物語ってのはこうでなくちゃねっと叫びたくなる作品です。登場人物の良さは勿論ですし、ストーリーも心が温まる上に笑える傑作なんですが〜それ以上に良いのが、描かれているイリノイ州の一州民(?)の暮らしぶり。童話作家のターシャ・チューダーが古き良きアメリカの暮らしを守り、スローライフを実践されて、それが日本でも反響を呼びましたけど、あの生活に共感を持てる方ならきっと楽しめるんじゃないかなと思います。ほのぼのした作品ながら、戦争の影というか怖さみたいなものもしっかりと書き込まれており、作者の筆力は並々ならぬものがあります。子供向けですけど、訳は手抜なく美しい日本語で著されています。是非、子供さんと一緒に読んで欲しいと思います。お奨めです。 |