聖なる少女たちの祈り (The Rosary Girls) |
集英社 文庫上下巻 |
初版2006年5月25日 |
あらすじ |
フィラデルフィア市警殺人課の刑事ケヴィンと新任の女性刑事ジェシカは、少女の遺体に息をのんだ。ロザリオをかけられた両手はドリルで穴をあけられ、鉄のボルトで固定。額には十字の跡―1年前に無実の男を犯人だと確信し、自殺に追い込んでしまったケヴィンは、静かに名誉回復を期していた。夫と別居し、3歳の娘と暮らすジェシカと二人でさっそく捜査を開始する。
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感想 |
不思議な雰囲気を持った作家ですね(笑)。アメリカ人作家なのですが〜イギリス人の書いたミステリっぽいのですよね。作者がイタリア系アメリカ人だしカトリックが物語の中心にあるので、その所為でヨーロッパっぽく感じるのかもですが。
ペンシルバニア州フィラデルフィアでカトリックスクールに通う女学生が一人、また一人と誘拐され無残な姿で発見される。少女たちの遺体の手にはロザリオが、そして少女たちの手は、掌に穴を開けボルトで留められていた。被害者に共通するのはカトリック教の学校へ通っていたという事だけで、手掛かりは無い。犯人は?・・・という展開です。最初の100pくらいは、良くあるサイコミステリって感じで退屈だったのですが〜これね、上巻の半ば辺りから面白くなっていきます。作品の冒頭は事件の無残さだけを書き連ねるといった感じなのですが上巻半ば辺りから主役の刑事たちの人物造詣が細やかになっていくのですよね。物語の中で刑事が人を殺す場面があって『乱暴な』と思いはしますが〜許せる範囲です(笑)。プロットに破綻も無いし、人物造詣も手馴れているし、次作も読んでみようと思わせる出来でした。
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