象牙色の嘲笑

ロス・マクドナルド(Ross・Macdonald)作家紹介&作品紹介
作家名 ロス・マクドナルド
生年月日 1915年
没年 1983年
生誕地  アメリカ カリフォルニア
処女作  暗いトンネル(ケネス・ミラー名で発表)
デビュー年 1944年
公式サイト

作家紹介

1964年、「さむけ」で英国推理作家協会で(CWA)シルバー賞受賞。
1965年、「ドルの向こう側」でCWAゴールド賞を受賞。
1965年、アメリカ探偵作家クラブ(MWA)会長に就任。
1974年、MWAグランドマスター賞(巨匠賞)を受賞。

名前をころころ変えられている。初期は本名の『ケネス・ミラー』を使い、アーチャーシリーズ『動く標的』でジョン・マクドナルドなる筆名を使い、その後『人の死に行く道』を発表時にジョン・ロス・マクドナルドとなり、その後更に『運命』発表時にロス・マクドナルドとなり現在に至っている。
私がこの作家を読んでみる気になったのは巨匠マーガレット・ミラーの旦那さんだと知ったからだった。大好きな作家の旦那さんはどんな作品を書くのだろうと読んでみたら・・・虜になった。
マクドナルドはファンの間で”ハードボイルドか?それとも推理小説か”と議論されるらしいが、私はそのどちらにも収まりきれない作家だと思っている。 マーガレットの影響を受けたのか定かではないが、他の同時代の作家には見られない心理洞察や感受性があるからだ。マーガレットとの共通項だと思う。ロス作品の特徴は卓抜した文章と完璧に紡ぎ上げられたプロットと心理描写だろうか。この夫妻は二人とも作家としては幸せだったが私生活で数々の災難に遭遇したそうだ。娘さんが誘拐されその後、亡くなられ、ロスは精神を病んで闘病されたりと色々あったらしい。その所為か後期の作品は神経症的な雰囲気が色濃く出ている気がする。

象牙色の嘲笑 早川文庫 文庫初版1976年5月31日
あらすじ 私立探偵リュウ・アーチャーは、ユーナ・ランキンと称する女の依頼で行方をくらました黒人女ルーシーの足跡を追った。あっけなくルーシーはみつかり、アーチャーの仕事は片付いたのだが・・・。
何故か彼はルーシーをそのまま放っておく気にはなれなかった。彼女の類い希な美貌と毅然たる態度が、何かを底に秘めているように思えてならなかったのだ。そして事件はおきた。ルーシーがホテルの一室で刺殺されたのだ。巨匠マクドナルドの初期代表作。
 
感想 この作品は1952年に発表されたものです。アーチャーシリーズ初期の代表作です。
ほとんど全ての登場人物が暗い過去を引きずりながら生きている。難解な事件を解く鍵は過去にあるわけですが、マクドナルド独特の手法によって描かれた人種問題には唸りました。当時の世相を反映されたのでしょうが、後期のマクドナルド作品には感じられないリアリズムがあると思います。 とにかくテンポの良い作品ですので、一気読み出来るでしょう。