ロバート・K.タネンボーム(Robert K Tanenbaum)作家略歴&著作の感想 |
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作家名 | ロバート・K.タネンボーム(Robert K Tanenbaum) |
生年月日 | ???年 |
生誕地 | ??? |
処女作 | ??? |
デビュー年 | ???年 |
公式サイト |
検事補カープの怒り (No Lesser Plea) |
二見書房文庫 | 初版1988年5月25日 |
あらすじ | 混沌の1960年代が終わったばかりのニューヨークでは強盗、殺人、強姦等の凶悪犯罪が日常茶飯事化していた。今日も、イタリア人経営の酒店が武装強盗に襲われて店主と息子が射殺されたが、まもなくこの犯行を手伝った麻薬中毒者の証言から、主犯のマンデウィル・ルイスが浮かび上がる。徹底した悪の権化をどこまでも追及しようとする若き検事補ロジャー・カープの執念と捜査を阻む刑事裁判機構の内部を赤裸々に描く・・・。
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感想 | 最新刊から逆に読んで行っているわけですが、この作品でやっとマルレーネ・チャンピが片目を失った理由が分かりました。作品を逆から読んでしまったので、どうしても驚きや喜びが減ってしまった感はありますが、それでも十二分に楽しめる出来です。描かれているのは1070年代のニューヨークで、非白人層による犯罪の増加、犯罪の増加に対処しきれない警察と司法という、当時であるならば興味深い内容なので〜出来ることなら出版当時に読みたかったというのが本音です。
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断罪 (Immoral Certainty) |
講談社 文庫 | 初版1999年11月15日 |
あらすじ | 「どうだい、すてきな人形が欲しいかい」男は少女に囁いた。そして翌日、無残な子供の死体がゴミ袋の中から見つかる。法と正義の守護者カープの薫陶を受けた女性検事補チャンピは、この憎むべき犯人を必死に追っていた。’70年代ニューヨークを舞台に、ふたりの検事補の活躍を描く興奮のリーガル・スリラー。
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感想 | 先に読んだ『さりげない殺人者』と比べると、締めがちょっと甘いかなと思わせますが〜なかなかに楽しめた作品です。で、内容はというと・・・ 1979年3月の夜。ニューヨークのクイーンズをパトロール中の警官が、二階の窓から大きなポリ袋を持った男が這い出してきたところを発見し職務質問を行う。男は警官の尋問によどみなく答えるが、袋の中身が盗品だとばれた途端に豹変。警官にナイフで切りつけ逃走を計るがもう一人の警官が犯人を取り押さえる。犯人の名前はフィーリクス・タイで、後にさらに重罪を犯すことに・・・。時を同じくして、ゴミ袋に入れられ捨てられた幼女の死体が見つかる。当初、在り来たりな家庭内での虐待事件と見られたので女性検事補であるマルレーネが担当することになるが、同じような事件が数件起こっている事を知ったマルレーネは独自に捜査を始めようとする。一方、マルレーネの上司であり恋人であるカープはギャングの抗争事件に関わっていた。ギャング同士の殺し合いには冷淡なカープだが、今回はギャングの一掃に向けて闘志を燃やしており・・・という展開です。冒頭で出てくる窃盗犯の男が、実はこの物語の核に絡んでくる男でして、ラストではギャングの抗争とフィーリクス・タイの犯罪とマルレーネの追う幼児虐待事件とが絡み合うというなかなかに込んだ筋立てとなっています。読み始めた当初は、物語に一貫性がないように見えて「作者は欲張り過ぎだな、立て込んだ事件は、どうやって収まるのだろうか?」と危惧したのですが、終盤で事件と事件が繋がってきまして(謎)杞憂でした(笑)。筋立ては良いのは勿論のこと、登場人物一人一人が味のあるシリーズなので、シリーズを通して読まれる方が楽しめるかと思われます。この作品でも、マルレーネがどうして片目を失ったのかという謎は分かりませんでしたので、シリーズ第1作も追いたいと思います。 ![]() ![]() |
さりげない殺人者 (Reversible Error) |
講談社文庫 | 初版2005年1月15日 |
あらすじ | 麻薬王がまた射殺された。三ヵ月にマンハッタンで六人。焦る捜査陣は、遂に発見した凶器の銃と目撃者に賭ける。だが犯人は警官、おまけに黒幕がいるらしく苦悩は深まるばかり。のさばるレイプ魔も犯行をエスカレートさせる一方…。富と権力、犯罪と腐敗の中心に検事補カープとマルレーネの人気コンビが迫る。
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感想 | 表紙の装丁が黒い背景に赤と白の字だけで、装丁のシンプルさに惹かれて買ったのですが〜当たりでした(笑)。この作品はシリーズ物の4作目で、その内の2作品はすでに邦訳されているそうなのですよね。面白い作品を危うく見逃すところでした。で、物語はというと・・・ 1970年代後半、ニューヨークでの年間殺人件数は(まだ6月だというのに)800を超え、地区検察局及び刑事裁判所は迅速な事件処理を最大の使命としてフル回転していた。検事補ブッチ・カープは悪戦苦闘していた。そんな中 麻薬ディーラーの連続殺人事件が発生。連続とはいえ手口はバラバラで一定のパターンが見えないのだが、それがかえっておかしいとNY市警のフルトン警部補が捜査に当たる。事件解決に向けNY地区検察局でも主席検事の対策チームを設置しカープもそのメンバーとなる。が、ある刑事の口からフルトンが汚職警官だといううわさが飛び出し・・・。そして、カープの部下でもあり婚約者もあるマルレーネは頻発するレイプ事件の分析に当たっていた。パンティストッキングを使った連続レイプ犯の存在が浮上するものの、ストッキングが使われたというだけは連続犯の証明にはならず、警察は腰を上げてくれない。マルレーネは必至でレイプ犯を上げようとするが、ある問題が浮上。管理職であるカープとマルレーネが結婚するならば規定により同じ課では働けいとういう通告を受けたのだ。結婚=解職という難題にぶつかり・・・・という展開です。この作品の何が面白いって、このマルレーネが好いんですよね(笑)。謎の過去を持った女性で(過去に、狂信的な悪魔崇拝者の集団にさらわれ、さまざまな倒錯した儀式の主役をあてがわれレイプされた挙句、子供を狙う殺人鬼におもちゃとして供されたという過去を持つ女性で、もうこの謎の過去だけで興味津々なわけですよ(笑)。(マルレーネはこの事件で犯人を殺したらしい)そんでね、主人公のカープとマルレーネもそうだけど、出てくる登場人物たちがみな普通なんですよね。やることなすこと乱暴で荒っぽいんだけど正義感あふれる刑事たちや、出世や権力に揺さぶられる検事局の人間たちが非常に人間味にあふれていて、普通の警察小説にはない味があります。物語もよく出来ていて、麻薬ディーラーの連続殺人事件と警察内部の問題、そんでもってレイプ犯の追跡とてんこ盛りの内容で進んで行きます。これ、シリーズの最初から読んでいたなら2倍3倍と楽しめただろうなと残念です。過去作品も追いかけます〜♪。(ところで・・・本国ではかなり上梓されていて人気シリーズのようなんですが、日本では3作が邦訳されたきり止ってますね。どこか引き継いでくれないもんでしょうか?。これ良い線行っているとおもうんですけどね〜売れなかったのか?!(汗)) |