社交好きの女/殺人のすすめ
誰の罪でもなく/


レジナルド・ヒル(Reginald Hill)作家略歴&著作の感想
作家名 レジナルド・ヒル(Reginald Hill)
生年月日 1936年
生誕地  英国
処女作  『A Clubrable Woman』(社交好きな女)
デビュー年 1970年
公式サイト http://www.randomhouse.com/features/reghill/

作家略歴

1936年英国生まれ。ドンカスター教育大学英文科の専任講師を務めていた1970年に『社交好きの女』で作家デビュー。1981年にフルタイムの作家となる。1990年には『骨と沈黙』でCWA賞のゴールド・ダガー賞を受賞した。その後も、精力的に超大作を発表しつづけている 。
ダルジール警視シリーズのみの著作リスト(自分のための著作リストのため、とりあえず(汗))
Series Dalziel and Pascoe(ダルジール警視シリーズ)
1. A Clubbable Woman (1970)『社交好きの女』
2. An Advancement of Learning (1971)『殺人のすすめ』
3. Ruling Passion (1973)
4. An April Shroud (1975)
5. A Pinch of Snuff (1978)
6. A Killing Kindness (1980)
7. Deadheads (1983)
8. Exit Lines (1984)
9. Child's Play (1986)
10. Under World (1988)
11. Bones and Silence (1990)
12. One Small Step (1990)
13. Recalled to Life (1992)
14. Pictures of Perfection (1994)
15. The Wood Beyond (1995)
16. Asking For The Moon (1996)
17. On Beulah Height (1998)
18. Arms and the Women (1999)
19. Dialogues Of The Dead (2001)
20. Death's Jest Book (2002)
21. Good Morning, Midnight (2004)
22. Death Comes for the Fat Man (2007)
aka The Death of Dalziel
23. A Cure for All Diseases (2008)
aka The Price of Butcher's Meat
24. Midnight Fugue (2009)
For Love Nor Money (2005)
Secrets of the Dead (2005)
The Last National Serviceman (2007)

ダルジール警視シリーズ
社交好きの女
(A Clubrable Woman)
早川HPB 初版1982年3月10日
あらすじ  サム・コナンが意識をなくしたのはラグビーの試合で頭を強く打ったせいだった。家に帰り着くまでは何でもなかった。相変わらずテレビの前に座り込んで返事もしない妻のメアリーに声をかけた後、急に気分が悪くなった。二階へ上がり寝室に入った途端、頭の中が回りだし、そのままベッドへ倒れこんで・・・。そして4時間後。コナンは電話を握り締め震えていた。客間の椅子に、メアリーが事切れて横たわっていることを警察に知らせるために・・・。メアリーの死因は頭蓋骨骨折。何者かの手で額に金属製の凶器を打ち込まれたのだ。容疑は当然、夫のコナンに向けられた。花形ラグビー選手コナンとラグビークラブの花メアリーの結婚生活も、二十年近くを経たいまでは完全に冷え切っていた。そして、犯行時間に階上で気を失っていたという主張はあまりにも弱かった。

 
感想  じつは・・・レジナルド・ヒル作品を読むのは10代後半以来でして(笑) 。当時、イギリス新本格作家と称されていたヒルを読んでみたんですが、その面白さにピンと来ず、それでそれ以来近寄ってなかったのです。が、先日。本屋で『ダルジールの死』という題名の新刊を見まして、このシリーズが未だに邦訳され続けていたことに驚きまして、それで今一度手にしてみた次第です。で、感想ですが、なかなかに今風なミステリで本作が1970年に書かれた作品だとは思えませんでした。妻が死ねば疑われるのは夫で、ダルジールとパスコーも夫の周辺を探り出すんだけど、見た目とは裏腹に健康的なラグビークラブにも裏表があり、コナン家の隣人たちにもそれぞれに秘密があり、この当時の作品としては被害者とその家族の深いところまで描写されているなと驚きつつ読み進みました。閉鎖的なスポーツクラブとその会員たちを物語の核に据えたというのに、ヒルの巧さを感じる作品です。 作家名INDEXホームへ戻る



殺人のすすめ
(An Advancement of Learning)
早川書房HPB 初版1980年8月25日
あらすじ  巨大なシャベル付きのクレーン車は大学の一角を占める美しい庭園にはいかにも似合わなかった。生え揃った芝生を掘り返しながら進み、怪物の口のような掴み機が、今外されたばかりのブロンズの裸身像の台座を呑む。5年前にオーストリアで雪崩にあって行方不明になった前学長ミス・ガーリングを記念したものだった。多くの教職員と学生が見守る中、クレーンは台座を引き上げた・・・その時、土くれとともに落ちてきたものがあった。地上に落ちたそれは虚ろな目で歯をむいて笑う頭蓋骨だった。大学には白骨死体などなくても充分すぎる問題があった。学校の拡張計画、講師と女子学生のスキャンダル、そして学生たちの反抗と道徳的退廃。

 
感想  わりと面白かったです(笑) 。大学内で白骨死体が見つかり、ダルジール警視とパスコー部長刑事は必死で死体の身元を突き止めようとするんだけど、じつは白骨死体は5年前にオーストリアで死んだはずの前学長で、なぜ学長の白骨死体が学校にあったのか?他殺なら誰が犯人か?というシンプルなストーリーの物語です。1作目、2作目と続けて読んで来たわけですが、両作品とも閉鎖的な集落で起こる殺人事件で、この目の付け所に作者の巧さを感じます。大学構内での事件といっても、生徒も教授連もみな大学の敷地内に住んでいるので、小さな村といっても良いような環境で起こる事件なんですよね。それを捜査するダルジールとパスコーが妙に人間臭くて、クラシックなミステリを今風に変えてます。謎解きに関してはちょっと・・・な部分もありますが〜概ね楽しました。この作風がどんな風に変わっていくのか(変わらないのかも?)興味があるので、ちびちびと読み進んで行きたいと思ってます。 作家名INDEXホームへ戻る



私立探偵ジョー・シックススミス シリーズ
誰の罪でもなく
BORN GUILTY
早川PB 初版1997年11月20日
あらすじ  いつもまずいときにまずい場所に居合わせ、金にならない厄介な事件ばかりを抱え込んでしまう私立探偵のシックススミス。例によって今夜も、合唱団の練習をこっそり抜け出した途端に死体が入った段ボール箱に蹴躓き、犬猿の仲の警官からは犯人扱いされ、口うるさい叔母からは大目玉を食らう始末。おまけにナチの戦犯容疑をかけられた老人にまつわる騒動や、女性教師のセクハラ疑惑まで巻き込まれ・・・怪事件、難事件の連続に自慢の強運ももはやこれまで?。シリーズ第2弾。

 
感想  ダルジール物から攻めていこうと思っていたのに(ダルジール物だって2作品しか読み終わっていないのに(汗))他のシリーズに手が出てしまったのは、ただ単に訳者さんが、今は亡き三川基好さんだったから。三川氏の訳なら間違いないぞという確固たる自信の元、読み始めたのですが、やっぱり期待は裏切られず楽しめました。ワタクシの想像とは違ってコージーミステリでして、最初から最後までユーモアいっぱいでホノボノした雰囲気のまま物語は進んでいくのですが、作者が巧いのでしょうね。読み終わって物語を振り返ってみるとまさに本格ミステリだったという、後から作者の巧さを思い知らされるという作品です。それと主人公が好いんですよね。アフリカ系イギリス人で、黒人であるが故に差別されたりといった場面が描写されているんだけど、その差別にあっても底抜けに明るい性格とユーモアと人の善さで、さらっと乗り切る主人公には好感が持てます。多少、都合よく行き過ぎだなと思う場面も無きにしも非ず・・・ですが、また逢いたいなと思わせてくれる主人公と脇役陣でした。 そして、彼の訳なしにここまで楽しめたかどうか疑問に思うほど、三川訳が光ってます。



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