パトリシア・J・マクドナルド 作家紹介&作品紹介 |
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作家名 | パトリシア・マクドナルド(パトリシア・ジーン・マクドナルド) |
生年月日 | 1949年 |
現住所 | アメリカ ニュージャージー州ケープ・メイ |
処女作 | 十三年目の殺人(THE UNFORGIVEN) |
デビュー年 | 1981年 |
十三年目の殺人 (THE UNFORGIVEN) 2005.1.16読了 |
ケイブンシャ文庫 | 初版1984年11月15日 |
あらすじ | 愛人殺人の罪で12年の刑期を終えたマギー・フレーザーが安住の地と決めた町。だが誰も知らないその町で誰かが彼女を待ち受けていた。許されないマギーの過去。それは永遠に終わりの無い悪夢に似て彼女の生活や生命を脅かし始めた。12年前の謎の殺人事件の真相は?・・・。
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感想 | この作品は非常に面白かったです。これが処女作と聞いて驚きます。『ベビーシッター殺人事件』よりはるかに出来が良いのにこっちの方が絶版とは・・・。マイナーな版元から出ているから仕方が無いのかなぁ。 12年の服役を終えたマギーは、とある出版社の社長に仕事を約束されて離島へ渡ります。で、会社へ出向くのですが社長は長期不在。仕方なく事務の仕事をこなしながら社長の帰りを待つのですが、マギーの過去が明るみに出そうな事件が続発する。マギーが作ったパイの中には硝子が混入していて食べた子供は病院へ。そして島民はマギーを犯罪者扱い。そんな中、マギーと付き合い始めたばかりの男が忽然と姿を消し、マギーは殺人者だと疑われる・・・というストーリーです。ジャンルはサスペンスかな?。心理サスペンスでしょうか。 凄く巧いなと思ったのはプロット。ムリクリな箇所が無い、破綻が無いんですよね。『偶然に渡った島で事件が起こるなんて不自然だな』と思いつつ読んでいたのですが、その疑問も途中で氷解しました。作者は充分に考えた上でこの作品を著したのだなぁと思うほど結末が鮮やかです。よそ者を受け入れない離島の島民感情の描写や、無実の罪ながら12年も服役し心に傷を負った主人公マギーの心理描写もなかなかだし、サスペンス作品でもプロットや人物造詣は重要だと思われる方に特にお勧めです。 管理人より一言・・・訳者が男性です。で、上梓されたのが1984年にしては会話文の訳が古臭いのですよね。例えば『わたしを恥ずかしめたい理由でもおありだったの?』と、こんな感じなんですよね。訳を気にされる方にはお勧めしません。それと、この本は希少本のようです。NET古書店でもあまり見かけないので入手は困難だと思います・・・。 ![]() ![]() |
ベビーシッター殺人事件 (Lost Innocents) |
集英社文庫 | 初版2002年1月25日 |
あらすじ | 公園から突然消えた10代のベビーシッターと、生後6か月の赤ん坊。ベビーシッターの死体は森の中で発見されるが、依然として赤ん坊は行方不明のまま。目撃者の証言から、高校教師のダグが容疑者としてあげられる。彼は警察署長の娘へのセクハラで訴えられていた。心を痛めるダグの妻マディ。唯一の頼りは神父ニックの存在だったが…。
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感想 | 本の売り文句に『驚くべき結末で大評判』と書かれていましたがそうでもありませんでした。ただし内容は楽しめました。1冊しか読んでいないのでなんとも言えないけれど、甘いなと思うのは主人公以外の人物造詣でしょうか。プロットに凝った分だけ人物造詣も良ければもっと楽しめたでしょう。ミステリというかサスペンスなのですが最後の読後感が良いので惨い話は読みたくないという方にお勧めしたいです。ほんのちょっとロマンス(?)が欲しいという方にもお勧めです。 余談・・・訳者は中井京子さんですが・・・この題名はあんまりじゃないの?。もうちょっと捻って欲しかった。原題のままの方が余程売れそうな気がするけどな。今時『〜〜殺人事件』とか書いてあってもトラミスファンか本格ファンしか買わないぞ。版元・集英社のセンスを疑う題名・・・。 |