フリント


ポール・エディ(PAUL EDDY)作家略歴&著作の感想
作家名 ポール・エディ(PAUL EDDY)
生年月日 1944年
生誕地  イギリス
処女作  『フリント』
デビュー年 2001年
公式サイト

フリント
(FLINT)
新潮社文庫 上下巻 初版2003年2月1日
あらすじ  ロンドン警視庁のグレイス・フリントは、覆面捜査を専らとする女性捜査官。だが、金融犯罪の大立者フランク・ハーリングらの逮捕に失敗し瀕死の重傷を負う。顔面の再建手術などにほぼ1年を費やし、復帰したフリントを迎えた周囲の反応は複雑だった。だが、マイアミで手がけた囮捜査で、彼女は姿を消したハーリングの手がかりを見出し、単身、危険な賭けに出る決意を固めた…。

 
感想  久々に純粋な英国産冒険小説を読んだなぁ〜って思います。最初、冒険小説とは知らずに読んでいたので嬉しい驚きでした。が!難しいストーリーでは無いんですけど、読者に集中を強いる展開が中盤まで続きますし、それこそ英国らしい作品なので、読みなれた方向けかもしれません(笑)。
 主人公のグレイス・フリントは囮捜査官で金融犯罪者のハーリングを逮捕する為、潜入捜査をしていたのだが〜囮捜査官である事がなぜか犯人側にバレて、顔面の骨という骨を砕かれ瀕死の重傷を負う。そしてハーリングは逃げおおせてしまう。そして一年後、外科医の集団がフリントの顔面復元に成功し、彼女は職場復帰。新たなる囮捜査の現場へ潜入するが、そこで自分の顔をめちゃめちゃにしたハーリングの手掛かりを掴むフリントは忽然と姿を消し・・・という展開です。でね、ココからがややこしいのですよ(笑)。フリントが姿を消した後、ロンドン警視庁側(MI5&FBI)は必死でフリントの行方を追う、というか生死さえも分からないので手掛かりを探すんですよね。で、1章毎に現在と過去とが交互に描かれるのですよね。(現在形と過去形とが入り乱れるわけです!)フリントが姿を隠すに至った理由が(過去)描かれ、フリントを探す現在が描かれ〜この展開が変わるというか描かれている時間が変わるのに脳を追いつかせるのが結構大変で、必死で読み進みました(笑)。ホンの数行を流し読みしただけで展開が分からなくなるという意味で難しい作品だといえるのかもしれません。脇役の造形も手が込んでいるし、これで処女作なのなら上出来だと思います。女性が主人公の冒険小説ってのも珍しいですよね。私は楽しんで読了致しました♪が〜まどろっこしい英国小説が苦手な方は合わないかも〜。
それと訳者さんについて。この訳は芹澤恵さんがされていて、この訳者さんのファンな私は喜んだのですが〜作品が芹澤さん向きじゃなかった様に感じます。芹澤氏の訳は切ない文章を書かれる作家さんや、詩的な文章を紡がれる作家さんに向いていると思うんですけど〜。



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