ガサガサ・ガール


ナオミ・ヒラハラ(Naomi Hirahara)作家略歴&著作の感想
作家名 ナオミ・ヒラハラ(Naomi Hirahara)
生年月日
生誕地  アメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルス郡パサデナ (Pasadena)
処女作  『Distinguished Asian American Business Leaders (ノンフィクション)』
デビュー年 2002年
公式サイト http://www.naomihirahara.com/

作家略歴

 南カリフォルニア在住。スタンフォード大学国際関係学部卒。日系人向け新聞記者を経て、ノンフィクション作品を発表。小説家として『Summer of the Big Bachi』でデビュー。『スネークスキン三味線』(小学館文庫より近刊予定)で2007年度MWA(アメリカ探偵作家クラブ賞)を受賞 。

Series Mas Arai(日系人庭師マス・アライ シリーズ
1. Summer of the Big Bachi (2004)
2. Gasa-Gasa Girl (2005)『ガサガサ・ガール』
3. Snakeskin Shamisen (2006)『スネークスキン三味線』Best Original Paperback賞受賞作
4. Blood Hina (2010)

Novels(シリーズ外単発作品)
1001 Cranes (2008)

Non fiction
Distinguished Asian American Business Leaders (2002)


ガサガサ・ガール
(GASA−GASA GIRL)
富永和子/訳
小学館文庫 初版2008年2月11日
あらすじ  ニューヨークで再建中の日本庭園がたった一晩でめちゃくちゃに荒らされた―。その池の底に沈められていたのは、富豪オーウチ・シルクの社長。原因は金銭トラブル?一族の確執?派手だった女性関係のもつれ?ちょっとでも目を離すと何をしでかすかわからない“ガサガサ・ガール”マリと、その父で日系人庭師のマス・アライが不可解な謎に迫る。事件現場に落ちていた、白いクチナシの花に込められたメッセージとは何なのか…。アメリカ探偵作家クラブ賞受賞作家が描くコミカルサスペンス「庭師マス・アライ事件簿」シリーズ、第一弾。

 
感想  謎解き以外の部分が面白いです(笑)。作者が日系人(3世)でいらっしゃるのですよね。それで、ご自分のお父様をモデルにされたのか、主人公のおじいちゃんマス・アライが日系二世なんですよね。だもんで、日系人の目から見たアメリカが描かれているわけですが〜日本人なら何でもないことでも(例えば擬声語や擬態語)世界的に見ると珍しいこともいっぱいあるのだな〜と再認識させられました(笑)。題に使われている「ガサガサ」という言葉も、言われてみたら不思議な言葉ですよね。日系人が、外から日本を&日本語を見ると、こんな風に見えているのだなと新鮮に驚きました。
で、物語はというと・・・ロサンゼルス在住の庭師であるマス・アライが、疎遠になっていた娘から「父さんの助けが必要」と乞われ、ニューヨークへ向かうが、娘とその旦那(庭師)が手掛けていた庭園の修復作業現場で殺人事件が起こり、その死体の第一発見者がマス・アライで・・・という展開です。ミステリ味は薄いので(?)本格的な謎解きを期待される方には不向きかもしれません。が、人物造形が好いのですよね。主人公のマスは第二次世界大戦勃発前に日本に帰国した過去を持つのですが、彼は広島で被爆した被爆者という設定なのですよね。ヒラハラ女史の実父のイサム(勇)氏もカリフォルニアで生まれたのだけれど、戦争が原因で日本に帰国し被爆されたそうなので、戦争によって運命を変えさせられた日系人を作中で描きたかったのでしょうが、モデルが実際にいらっしゃるお陰か大変にリアルに感じました。戦時中、日本語を話す日本人=スパイだとみなされたのが元で、日本語を捨てた日系人がいるという件はウッっと来るものが。日系人が主人公ってのも希少(?)ですし、日系人が書いたミステリってのは初だったかも?。お奨め作です〜。(余談・・・マス・アライは娘さんとの間に確執があるという設定なのですが〜作中でその説明はないんですよね。この辺りの書き込みが少なくて、ちと寂しかったのですが、多分きっと処女作で描かれている?。処女作も邦訳される事を待ちたいと思います)



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