マーク・ミルズ(MARK MILLS)作家略歴&著作の感想 |
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作家名 | マーク・ミルズ(MARK MILLS) |
生年月日 | ???年 |
生誕地 | ??? |
処女作 | 『アマガンセット』 |
デビュー年 | 2004年 |
公式サイト |
アマガンセット (Amagansett) |
ヴィレッジブックス文庫上下巻 | 初版2007年6月20日 |
あらすじ | かつては捕鯨でにぎわった風光明媚なアメリカ東海岸の保養地アマガンセット。二度の大戦の傷も癒えぬ頃、その波打ち際で、ひとりの若く美しい女性の溺死体が網にかかった。遺体の身元は隆盛をきわめるウォーレス家の末娘リリアンとわかったが、他殺なのか自殺なのかすらはっきりしない。副署長のホリスは粘り強く捜査を続ける。そうこうするうち、死体の発見者である孤高の漁師コンラッドが、リリアンのことを探っているのが発覚した。コンラッドの目的は何なのか?リリアンの死の真相は?。
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感想 | 大変に美しい物語でした。本作はミステリではあるのだけれど、どっちかというとコテコテのミステリファン向けというよりは、ミステリでも奥行きのある物語を好まれるタイプの方や、普段はミステリを読まれない方向けでしょうか。翻訳本を読みなれている方(展開がまどろっこしくても平気な方)向けなのかもしれません(笑)。 で、物語の内容はというと・・・1947年。かつて捕鯨で賑わった米国東海岸の保養地アマガンセットで、漁師のコンバットは親友と魚網を引き上げていたのだが、上がった網の中には若く美しい女性の溺死体が。死んだ女性は保養地に住む大金持ちの末娘と判明するが自殺なのか事故なのか、それとも他殺なのか不明。だけど、コンバットは殺人事件なのではないかと秘密裏に調査を始めるが・・・という展開です。実は、このコンバットと死んだ女性は恋人関係にあったんですよね。だもんで、コンバットは事件の真相を追うんだけど、犯人は誰だ?というだけで物語りは進まないんですよね。このアマガンセットという土地の歴史や、土地にヨーロッパから移民でやって来た人々のこと、そしてコンバットの一族がバスクからアメリカに渡りアマガンセットに落ち着くまでの歴史やら、まぁここまで書き込むか?!ってほど物語は深く描かれているんですよね。この、コンバットは父も兄も亡くなっているんだけど、その亡くなった理由やらも事細かに描写されていて、その描写があるからこそ恋人を失い孤独なコンバットが胸に迫るというか、まぁ一言で言うと作者が巧いんですよ(笑)。一人の女性が死んだという事件だけで600ページほども読者を惹きつける作者の手腕には唸るものがあります。作者が元は映画の脚本を手掛けていらっしゃる方なのが理由かもしれませんが、読んでいて情景が頭に浮かんでくるんですよね。もう1冊、読んでみたいと思わせる作家です。 余談ですが、なぜか読んでいてアン・クリーヴス著『大鴉の啼く冬』を思い出してました。たった一人の女性の死だけで物語が完結するというところが似ているのか、はたまた描かれていた土地の美しさからなのか不明ですが〜ひょっとすると作者が両者とも英国人なのが原因かもですね(笑)。あ!両方とも多視点で物語が語られるのでその辺が似て見えたのかも?!。 |