感想 |
ストーリーの本筋は1997年の香港返還にまつわる政治的な駆け引きというか謀略だ。1982年に北京を訪問したサッチャーは香港返還について「絶対にイヤだ」と言っていたのに何故、二年後にあっさりと香港を返還する気になったのか?。何故、殆ど無条件に近い形で香港が返還されたのか?。
この謎を中心に物語りは進んでゆく。元々、この手の話には弱いので愉しんで読めた。だが、途中が長すぎる。物語のスケールが大きいので致し方ないのかもしれないが、登場人物の掘り下げが今一歩だった。目の付け所は非常に良いし、巧いと思うのだが、何かが欠けているという印象。だが、これがデビュー作との事なので後を期待したい作家ではある。
香港にまつわる現代史の謎やイギリス外交の裏の部分などに興味を持たれている方は愉しめると思う。
この作家は高村薫女史と比較される事が多いのだが、ただ女性である以外に共通項はないと思うんだよね。この二人は書こうとしている事が全く違うのに、女性で視野の広い作品を書くというだけで同じ土俵に乗せるのは如何なものか?。きっと某F評論家あたりが言い出した事だろうな。こいつだいっ嫌いな評論家なんだよね。誰か判るだろうか?。
追記・・・この本は某Pさんの薦めで読みました。彼女はワタクシの好みを熟知しているので厚い本ばかりを薦めてくれる。ハードカバーで二段組、438pもあります。
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