感想 |
読了するのにかなり苦戦しました(笑)。正直に白状すると〜1度目に本を手に取ったときは50ページくらい読んだところで投げ出しちゃったんですよね。なぜ、途中で断念したかというと・・・。主人公の弁護士資格を持ったSF作家のエヴァンは6歳の甥ルークを預かって育てているんですよね。彼女がなぜルークを預かっているのかというと、母親が息子を置いて失踪したからなんだけど、その母親は新興宗教(というかカルト教団)に熱中していて、それで子を置いて出奔しちゃっているわけです。で、そのカルト教団ってのが酷い団体でして、エイズで亡くなった人の葬儀にプラカードを持って現れては、死者を愚弄するような行動を取ったりするんだよね。プラカードには”エイズは売春婦を救う”とか”エイズーー神聖売女(ばいた)ホイホイ”などという宗教とは程遠い愚劣な言葉が書かれていて、葬儀を邪魔しに現れたカルト信者たちは、口々に売女だの売春婦だの同性愛者はハノイへ帰れなどと叫ぶんだけど・・・もうこの場面だけでうんざりしてしまって、先を読む気になれなかったんだよね。で、その日は読み進むのを断念して寝たんだけど、タイムリーに翌日!。活字中毒者仲間のLさまが先に本作を読了されてまして「最後はものすごい大アクションシーン。まるでダイハードのようで・・・」と仰ったのですよね。ワタクシは正直言って反省しました。活字中毒だと名乗りつつまだまだ修行が足らんのだと思い知りまして、再度挑戦し、なんとか読了にこぎ着けた次第です(汗)。ですがね〜〜〜反省して読んだんだけどほんとに苦しい物語でした(爆)。なんせね、酷い展開が続くんだよね。教団とルークの実母は、ルークを自分たち教団の下に置くために強硬手段をとるんですよね。書類を捏造し監護権を主張してみたり、エヴァンの家に不法侵入してみたりやりたい放題、そんでもってバイオテロまで目論んでいるんだけど、主人公のエヴァンは弁護士でありながら何の手立ても打てず、ただただ受身なんですよね。バイオテロの証拠まで掴んでおきながら何の手立ても講じず、ただ走り回っているだけでして、こういうじれったい展開のミステリが苦手なワタクシは、ラスト寸前まで苦戦しました。読んでいて、何のために主人公が弁護士なんだ?!と腹立たしかったんですが、今考えると怒りつつ読んでいたという事は作者が巧いから?(笑)。
ラストシーンはまるで映画のような展開で、ラスト50〜60ページだけは楽しんで読めたんですけど〜本作は645ページもある物語なわけで・・・物語の1割しか・・・以下自粛。それと、本作はホラー界の帝王スティーヴン・キング氏の熱烈な推薦があって、米国で販売される運びになり、それが切っ掛けでMWAのペーパーバック賞を獲ったという曰く付きの作品だったわけですが〜やっぱ「キング推薦作は9割5分危ない」というジンクスは生きていると実感しました(笑)。(お互い、危ないと分かっていながら、今度こそ良いんじゃないかって読んじゃうんですよね〜>Lさま(爆))。面白くないわけじゃないけど、この作品は翻訳ミステリ入門者には鬼門です。翻訳ミステリ巧者にしか登れない険しい山々物語です(ゑ?)。次はこの主人公の物語じゃなくて、新シリーズの方を読んでみたいです、ハイ。
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