天使の悪夢


マイケル・フレイズ(H Michael Frase)作家略歴&著作の感想
作家名 マイケル・フレイズ(H Michael Frase)
生年月日 ???年
生誕地  ???
処女作  Fatal Gift (1996)『天使の悪夢』
デビュー年 1996年
公式サイト

作家略歴

テネシー州在住のプロ・カメラマン。多くの政府機関、法執行機関のコンサルタントを務める。『天使の悪夢』が1997年のバリー賞・最優秀処女長篇賞にノミネートされた 。

       Novels(判る範囲で著作リスト)

Fatal Gift (1996)『天使の悪夢』
The Last Good-bye (1998)


天使の悪夢
(Fatal Gift)
講談社文庫 初版2004年7月15日
あらすじ  テネシー州ナッシュヴィルのステーキハウスに勤める美人ウェイトレス、ケイシー。店長からセクハラを受け頭にきた彼女は、彼を殴りつけて店を飛び出す。気分転換にドライブするケイシーだったが、どことも知れぬ田舎道で車がパンク。助けを求めようとした彼女は、偶然恐ろしい殺人現場を目撃してしまうはめに。

 
感想  活字中毒者仲間の某Fさまの日記に触発されて読んでみたのですが、良い方に予想を裏切る展開の作品で一気読み致しました。元々、巻き込まれ型のスリラーが好きなので手にしたんですが、この作品はただのスリラーじゃなかったんですよね。途中から正統派ミステリとB級ミステリの際どい壁際を歩き出すというか〜バカミスっぽくなっていくんですが、物語の背後にはマフィアや政界まで絡んでいるという納得出来るオチのある設定で、処女作という割には良く出来た作品でした。で、物語はというと・・・
 ウェイトレスのケイシーは、上司からセクハラを受け続けているのに我慢出来なくなり、店長を缶詰で殴打。そのまま店を飛び出しオンボロホンダ車で車も通らず民家もない田舎町をドライブ。が、そんな時に限って車のトラブルで走行不能となり、徒歩で助けを求めるため、真っ暗な夜道を歩くハメになるケイシー。歩けど歩けど民家は見つからず車も見えず絶望していたケイシーにどこからか男女の話し声が聞こえて来た。この人声に向かえば助かると希望を持ったケイシーが、闇の中を手探り足探りで声のする方向に近寄るのだが、目にした光景は異様だった。男は女を林檎の木の根元に跪かせ、そんでもってその場で性交が始まったのだ。本能的に身を隠していたケイシーは、直後に恐ろしい場面を目撃する。女を犯した男はショットガンを手にし女の顔を吹っ飛ばしたのだ。男はその場に女を埋め去って行き、ケイシーは必死で自分の車まで戻りなんとか車を動かして自宅に。で、テレビでドナという社交界で有名な女性が行方不明だというニュースを目にしてびっくり。その女性はケイシーが目撃した顔を吹っ飛ばされた女性だった・・・という展開です。ここまでだと普通の巻込まれ型ミステリなんですが、ここから物語が一転します。面白いんだけどこれ以上突っ込んで書くのはルール違反。だもんで伏字にしますので、ネタバレでもいいやと思われる方のみ*から*までコピペして読まれてください。
ケイシーは殺された女性ドナの行方不明を報じるニュースを見る度に、警察に行方不明ではなくて殺人事件なんだと告げたくなるんだけど、自身が残忍な犯人に付け狙われる事を恐れ通報出来ずに葛藤するんですよね。が、ここで、ドナの姉とテレビ局から合わせて5万ドルの懸賞金が出る事に。懸賞金が欲しい、そんでもってドナを助けてあげられなかったという自責の念もあるケイシーは、超能力者のふりをしてドナの死体発見に手を貸すことに。が、ドナを殺した男は雇われの殺し屋で、ケイシーはマフィアから狙われることに。
殺された女性ドナは政財界の大物やマフィアと付き合いのある奔放な女性で〜このドナは有力者を家に引っ張り込んでは電話での会話を盗聴し、情報を得て財を増やしていたんですよね。その盗聴したテープが元でマフィアの雇った殺し屋に処刑されたわけなんだけど、ドナが殺された後もテープは発見されず、マフィアと政界の黒幕は狙いをケイシーに・・・という二転する物語です。超能力者を騙って懸賞金を手に入れるなんてあまりにもバカバカしい展開だけど、不思議と違和感なく読めたのは、事件の起こる背景がしっかり描かれたいたお陰かもしれません。題名が最悪で「R系読者を釣ろう」という下心がミエミエですが、題名の割には良く出来た物語でした。次作を読みたいけど、この作家 二作品を書いてから筆を絶っておられるようですね。成長しそうな予感があるのに残念です。



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