ピザマンの事件簿 デリバリーは命がけ


L・T・フォークス(L.T.Fawkes)作家略歴&著作の感想
作家名 L・T・フォークス(L.T.Fawkes)
生年月日 ???年
生誕地  ???(オハイオ在住らしい)
処女作  『Cold Slice』(『ピザマンの事件簿 デリバリーは命がけ』)
デビュー年 2003年
公式サイト

作家略歴

不思議な事に何のデータも公表されていないようです。インタビュー記事さえ見当たらず・・・なので、経歴は全く不明。判明しましたら書き足します(が、覆面作家のようなので、判らないままかも)。

Series Working Man's Mystery(働く男 テリー・サルツ シリーズ)
1. Cold Slice (2003)『ピザマンの事件簿 デリバリーは命がけ』
2. Lights Out (2004)
3. Early Eight (2004)

ピザマンの事件簿 デリバリーは命がけ
(Cold Slice)
ヴィレッジブックス文庫 初版2009年5月20日
あらすじ  テリーは刑務所から出てきたばかりの元大工。妻に捨てられ、金も家も仕事もない。友人ダニーの家の居候して暮らしていたが、近くのピザ<カーロ>リーの仕事につくことができた。テリーはここで、なんでも売っている町の何でも屋のバンプや、イケメンのグラフなどと知り合い、しだいに自分の生活を取り戻していく。しかし、ある晩、同僚で嫌われ者のウィットネスが店の駐車場で刺殺される。前科があることから容疑者にされるテリー。明らかにもっとあやしい容疑者がいるのにもかかわらず、一向に警察の捜査は進まない。業を煮やしたテリーたち<カーロ>の仲間たちは、自分たちで犯人探しを始めるのだが……。古き良きアメリカの雰囲気を残した心温まるミステリー。

 
感想  主人公のテリー・サルツは元大工で刑務所から出たばかり。彼はある晩、バーでべろべろになるまで飲んだくれ、店を破壊し人を殴って逮捕されムショにいれられていたのだ。で、刑期を終え出所したのは良いが、妻も職もトレーラーハウスも愛するトラックも全てを失っていた。彼の風貌はというと〜身長195センチ、26歳で、もさもさの黒い髪を革の靴紐で束ねている。作中でテリーの母親はアイルランド系だという記述があるので、たぶんアイルランドの血が色濃く出た風貌をしているのだと思われる(酒癖も)。そんな彼が出所後、何となく入ったピザ屋で求人広告が出ているのを見つける。で、店の経営者に自身が前科持ちである事を告げたのだが、何の問題もなく雇われる事になる。が、すぐさま問題が持ち上がる。ピザ屋の配達員の一人が首を掻っ切られて殺されたのだ。もちろん、警察は前科持ちのテリーを容疑者とみなし、即拘束・・・という展開の物語です。で、感想ですが〜なぜか分らないけど好きです!好みの作品です(笑)。まず、主人公とその友人たちが好いんですよね。刑務所を出たてで職も金も住む所もないテリーを家に来いよと受け入れた友人のダニーを筆頭に、ピザ屋のグラフ(イタリア系ハンサムボーイ)、バンプ(裏の職業を持つピザ屋の配達員)、プリンセスという綽名の白髪交じりのおばさんなどなど、出てくる登場人物全てが生き生きと描かれていて、謎解き以外の部分だけでも十分に満足できる作品でした。純粋にミステリとして見るなら、素人のテリーと友人たちが探偵ごっこをやっているというそれだけなので、謎解きを重視される方には薦めにくいけども、ワタクシは満足致しました。なんせ、訳者が鈴木恵さんなので安心して読めますぞ。そんでもって、是非、あと2作品の邦訳をお願いしたいです。
 誰かの作品に似たような匂いのするのがあったなぁ〜っと思いながら読んでいたのですが、それは誰かというとケン・ブルーウン(ブルーエン)!。文章は全く違うんだけど、雰囲気や人物造形が近いんですよね。作中で詩の朗読をする場面なんかも出てきましたし、ひょっとすると作者はアイルランド系アメリカ人で、主人公は作者が投影されているのかも?。そんで、作品のノリはというとスティーヴ・ホッケンスミスの荒野のホームズ物っぽい所もあります。両者のファンの方に特にお勧めです。



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