キリング・フロアー/反撃/警鐘/前夜


リー・チャイルド(LEE CHILD)作家略歴&著作の感想
作家名 リー・チャイルド(LEE CHILD)
生年月日 1954年
生誕地  イングランド コヴェントリー
処女作  キリング・フロアー(KILLING FLOOR)
デビュー年 1997年
公式サイト http://www.leechild.com/


作家略歴

1954年イングランド中部の工業都市で生まれる。’97年、アメリカの田舎町を舞台にした『キリング・フロアー(上)(下)』(講談社文庫)でデビュー、アンソニー賞最優秀処女長編賞を受賞。ニュー・ハードボイルドの旗手としてその後も活躍中。(未確認情報ですがワーナーに映画化権が売れているようです。作者が仰るにはここ一、二年で映画化されるだろうとの事。作者は今のところジャック・リーチャー以外の物を書くつもりは無く、一年に1冊のリーチャー物を上梓していくつもりだそうです。それとリーチャーのファンサイトも存在しています。
詳しくは作者のインタビュー記事をご覧下さい。

(*ブログにも推薦文(?)を書いてますので、リーチャー シリーズを未読の方、どうぞ〜♪)

リー・チャイルド著作リスト Jack Reacherシリーズ

1. Killing Floor (1997)『キリング・フロアー(講談社)』*バリー賞最優秀処女長編賞を受賞
2. Die Trying (1998)『反撃(講談社)』
3. Tripwire (1999)『警鐘(講談社)』
4. The Visitor (2000)
aka Running Blind
5. Echo Burning (2001)
6. Without Fail (2002)
7. Persuader (2003)
8. The Enemy (2004)『前夜(講談社)』 *2005年、英国バリー賞最優秀長編賞を受賞
9. One Shot (2005)
10. The Hard Way (2006)
11. Bad Luck and Trouble (2007)
12. Nothing To Lose (2008)
13. Gone Tomorrow (2009)

Lee Child Collection: Killing Floor / Die Trying / Tripwire (omnibus) (2002)
Lee Child Collection 2: Running Blind / Echo Burning / Without Fail (omnibus) (2004)


キリング・フロアー
(KILLING FLOOR)
講談社 文庫上下巻 初版2000年7月15日
あらすじ  なんの変哲もない、ジョージアの田舎町。偶然そこを通りかかった元軍人のリーチャーは、身に覚えのない殺人容疑で刑務所にぶちこまれる。監房では危うく殺されかかった。誰かの指示なのか?。アンソニー賞受賞。

 
感想  いやーーーっ!文句なしに楽しめました。ジャンルはハードボイルドというか冒険小説とヒーローモノの融合って感じでしょうか。
 ジャック・リーチャーは目的もなく各地を流浪する退役軍人で、たまたま通り掛った田舎町に立ち寄る事にするが、食堂で食事をしているとき、いきなり地元の警察に逮捕される。容疑は殺人事件。たまたま立ち寄った場所で殺人事件に巻き込まれ、投獄され、その獄内で命を狙われるがなんとか窮地を凌ぐ。で、やっと容疑が晴れ、釈放されたかと思ったら、殺人事件の被害者が自分の●だった事を知るリーチャー。自ら事件を調査し始め・・・という展開です。よくある巻き込まれ型のストーリーなのですが、展開が非常に速いので、物語に入り込めるのですよね。それに、主人公が良いんですよ〜。スーパーマン風というか無敵なんですよね。この主人公の出てくる作品をまだまだ読みたいなぁ〜と思わせる人物造詣に二重丸です。難しい展開は無いし、純粋に活劇を楽しみたいって方にお薦めです。駄作を読んだ後の気付け薬に最高です(笑)。 作家名INDEXホームへ戻る



反撃
(DIE TRYING)
講談社 文庫上下巻 初版2003年2月15日
あらすじ  元米国軍人ジャック・リーチャーは、シカゴで片脚の不自由な女性ホリーに手を貸した。その刹那、銃を持った男たちに急襲され、2人は車に押し込まれる。誘拐犯の狙いは明らかにホリーだ。FBIとはいえ新任の内勤捜査官に過ぎない彼女は、なぜさらわれたのか・・・。

 
感想  今回もひょんなことから事件に巻き込まれるジャック・リーチャー。展開がね、そんなに簡単に大掛かりな事件に巻き込まれるなんて出来すぎっって感はありますが、面白ければそれで良いのだっ(笑)。文句なしに楽しめるのだっ。
 クリーニング店の前を通り掛ったリーチャーは足の不自由な女性を目に留める。で、彼女に手を貸そうと荷物を持ってやった瞬間に銃を持った男たちに囲まれ、車のトランクに入れられ、女性と共に拉致される。誘拐犯の狙いは明らかに女性・・・というストーリーです。リーチャーは手錠くらい簡単に外してしまえるので、逃げようと思えば逃げられるんだけど、女性を置いては逃げられない。で、敵と対峙する事になるんだけど、相変わらず展開が速くてあっという間に読了と相成りました(笑)。何でこんなにこのシリーズが面白いのか自分でも謎なんだけど、アメリカ色が濃いっていうのがその原因かもしれません。銃を扱わせれば右に出るものがいない、腕力も体力もある、生き残る為の知恵も勇気もある、体格でもだれにも負けないという主人公が、強きアメリカの復活を望むアメリカ人に受けているのも分かる気がします。スーパーマンの映画を見ていて楽しいってのと感覚が似ていますかね。痛快な作品を読みたいって方にお薦めです。 作家名INDEXホームへ戻る



警鐘
(TRIPWIRE)
講談社 文庫上下巻 初版2006年2月15日
あらすじ  ジャック・リーチャー…家族も友人もなく、仕事も住所も、車すら持たない男。あるのは鍛え抜かれた頭と躯。フロリダでプール掘りをしていた彼を、私立探偵が探しに来た。誰の依頼で?何のために?そして、探偵の急死。真相を知るために向かったNYで待っていたのは、謎の過去を持つ殺人鬼だった。

 
感想  フロリダに落ち着いて日銭を稼ぎ生活していたリーチャーを、ある男が探しに来た。彼は私立探偵だったのだが、誰の依頼なのか何が目的なのか分からないリーチャーは、その探偵に自分がリーチャーだと名乗らずにいた。だが、その探偵以外の男たちも自分を捜している事を知るリーチャーが謎を探ろうと動き出したら、探偵が殺されているのを発見し・・・というストーリー展開です。今回も巻き込まれ型のミステリなのですが(Thriller?)今回はリーチャーが過去に関係した軍部の上司に巻き込まれる内容なのですよね。なので、リーチャーが軍にいた頃のエピソードが満載で、非常に愉しめました。今回のストーリーも荒唐無稽というか乱暴な展開というか、突っ込みどころは満載なんだけど〜でも、そんな瑕を忘れさせるほど主人公が魅力的です(笑)。それに終わり方がちょっと今までと違ったのですよね〜(ネタバレになるので書きませんが)。次回作でリーチャーが何処にいるのか、誰といるのか、非常に気になります。
なぜ、このシリーズをこんなに気に入っているのか自分でも謎なんだけど、早く次回作が読みたいっ読ませてくれっって思わせる作品です(笑)。訳者の小林宏明さんは仕事が遅いようだけど(失礼)、ぜひとも他の仕事を放ってでも、さっさと次回作の訳に取り掛かって欲しいもんです。作家が一年に1冊上梓しているんだから、せめて一年に一冊は翻訳本を出して欲しいですよね。お願いします>講談社さま
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前夜
(The Enemy)
講談社文庫上下巻 初版2009年5月15日
あらすじ  ベルリンの壁が崩壊し、世界が冷戦終結に向けて動き始めた一九八九年暮れ、機甲師団の将軍が死体で発見された。場所はうらぶれたモーテル。重要な会議に向かう途中、なぜ片道五〇〇キロの寄り道をしてそんな所に行ったのか?続いて彼の妻が遠い自宅で、デルタ隊員が基地内で惨殺される。英国バリー賞最優秀長編賞受賞作。

 
感想  本作『前夜』はシリーズの番外編ともいえる内容です。というのも〜主人公のジャック・リーチャーがまだ軍人だった過去が描かれているのですよね。シリーズの中でちょこちょこ語られる軍人だったリーチャーの姿が知られて、ファンにはうれしいサービス作品でした(笑)。シリーズを未読の方でも問題なく読めるけれど、やっぱり初期作品を読まれてからの方が数倍、楽しめるんじゃなかろうかという作品です。
ベルリンの壁が崩壊し東西の冷戦も終結間近という1990年の元日。軍警務官ジャック・リーチャー少佐の元へ一本の電話が入る。電話は民間の警官からのもので、うらぶれたモーテルの一室でアメリカ陸軍の少将の死体が発見されたという。リーチャー少佐は現地へ赴くが死体に不審な点はなく性交中の心臓発作による死亡に見えたのだが、部屋には相手の女性の姿も手がかりもない上に少将が持っていたと思われる私物が見つからない。事件に疑問を抱いたリーチャーが捜査をしようとするが、直属の上司から執拗な圧力を受け・・・という展開です。軍の中での事件が物語の核となるので、軍人ばっか出てくるミステリは嫌いって方にはお勧めし難いんですが、主人公にホレて本シリーズを読まれている方には、身悶えするような(?)展開が続きます。シリーズ第1作で死んでしまった○○も登場しますし、リーチャーの母親も登場しますのでジャック・リーチャーとは何ものぞ?という謎に答えてくれるような内容です。(シリーズの初期作品では主人公の身長やらがフィートで表されていたのですが、警鐘からかな、メートルで書かれていて、フィートやポンドにピンとこない日本人には読み易くなっています。前から思っていたんですけど、重さや長さだけは原文に忠実じゃなくメートルやキロに直しても良いんじゃないかと思っているので、好感が持てる訳文でした。が、訳が遅いのか、もう邦訳しないのか謎ですが〜 「警鐘」の自作「The Visitor 」は2000年の作品なんですよね。これ、無視されたまま終わるのでしょうか???。



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