失踪家族


リンウッド・バークレイ(Linwood Barclay)作家略歴&著作の感想
作家名 リンウッド・バークレイ(Linwood Barclay)
生年月日 ???年
生誕地  アメリカ生まれ、カナダ育ち
処女作  『Mike Harris Made Me Eat My Dog (1998)』
デビュー年 1998年
公式サイト http://www.linwoodbarclay.com/

作家略歴

トロント在住。新聞社に勤務するかたわら、1990年代にノンフィクション作家として活躍。2004年にミステリ作家としてのキャリアをスタートさせ、2007年に出版された『失踪家族』で、一躍国際的な注目を集める。その後も意欲的な創作活動を続けている 。
Series Zack Walker
1. Bad Move (2004)
2. Bad Guys (2005)
3. Lone Wolf (2006)
4. Stone Rain (2007)

Novels (シリーズ外単発作品)
Mike Harris Made Me Eat My Dog (1998)
No Time for Goodbye (2007)『失踪家族』
Too Close to Home (2008)
Fear the Worst (2009)
Never Look Away (2010)
Clouded Vision (2011)
The Accident (2012)

Non fiction
Father Knows Zilch: A Guide for Dumbfounded Dads (1996)
This House Is Nuts: Surviving the Absurdities of Everyday Life (1998)
Last Resort: A Memoir of Cottage Country (2001)


失踪家族
(No Time for Goodbye)
高山祥子/訳
ヴィレッジブックス文庫 初版2010年8月10日
あらすじ  ある日突然、14歳のシンシアだけを残して両親と兄、一家全員が姿を消した。それから25年、シンシアはわたしと結婚しつつましくも平和な家庭を築いていた。しかし、心の傷が癒されることはなく、彼女はいまも真実を求め続けている。そんななか、あるテレビ番組に出演したことを機に不可解な出来事が起こりはじめ、関係者が次々と殺される。はたして25年前の失踪事件と関係があるのか?シンシアとの関係が危ぶまれるなか、わたしは家族を守るべく立ち上がったが、そこに浮かびあがってきたのはシンシアの人生を翻弄してきた驚愕の事実だった…。

 
感想  物語の半ばまで誰も死なないのですよね。死人も出ないし、25年前の一家失踪事件も失踪なのか殺人事件なのか定かではないまま物語は進んで行くのです。でも妙に怖いんですよね(笑)。真相が知れない怖さというのを味わえたというか〜だもんで、主人公とその家族に感情移入出来てなかなかに楽しめました。で、物語はというと・・・。
 14歳のシンシアがある朝目覚めたら、家の中はしーんと静まりかえっていた。両親と弟はシンシア一人を残し、失踪してしまったのだ。シンシアが飲酒した上に門限を破って帰宅し、父親に『死んでしまえ』と悪態を吐いた翌朝に家族は消えたのである。様々な憶測が飛び交うが、25年後の今も真相は解からないままだった。家族がどうなったのかどうしても真相を知りたいシンシアは事件を紹介するテレビ番組に出演するのだが、それを切っ掛けに不思議な事件が起き始め・・・という展開です。訳者さんの後書きでは主人公は一人残された長女のシンシアと書かれていますが、実際の主人公はシンシアの旦那です。物語の語り手はシンシアの旦那のテリーなのですが、このテリーの側から語られるからこそ、怖さを感じたのですよね。テリーが描写するシンシアは「ひょっとすると精神が病んでいるのじゃないか?被害妄想じゃないか?」と思われる場面ばっかなのですよね。読者からすると、テレビ出演後に続く不可解な事件の全てがシンシアの妄想なんじゃないか?っと見えちゃうのですよね(笑)。結末はそう物珍しいものではないけども、物珍しくない筋立てだからこそ、楽しめたのは作者の筆力なんじゃないかな?と思います。作風もアメリカ生まれ(カナダ育ち)の方が書いたという感じはしませんで、どっちかというと西欧風というか、いや、北欧の作家っぽいというか。ま、評価は割れるかもしれませんが〜お奨めです。



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