横溝正史読本回想の江戸川乱歩

小林 信彦 作家紹介&作品紹介
作家名 小林 信彦  
生年月日 昭和七年 
生誕地  東京生まれ  
処女作 
デビュー年 *****


作家略歴

  昭和七年生まれの戦後派で、昭和34年から数年間、海外ミステリー専門誌の「ヒッチコック・マガジン」の編集長をつとめた。映画から推理小説まで幅広い知識の持ち主で著作のジャンルも多岐に亘る。ユーモアミステリーから評論、エッセイ、対談集など著作は多いのだが、その殆どが入手困難だ。





横溝正史読本 角川文庫

初版:昭和54年 1月 5日

内容 横溝ファンはもとより、戦前の探偵小説について関心を持つ人にとってこの上なく楽しい読物だ。
  この本の中心をなす対談「横溝正史の秘密」では編集者の小林氏自身が聞き手を買って出ている。対談には横溝夫人も登場される。現在、この本は絶版だ。装丁に二種類あり初版の赤い背表紙のものは高値で取引されている(持っているのに知らなかった・・・)。古本屋で定価300円の文庫が1万5千円〜二万円程度(だがブツが無いのだ)、オークションでも1万五千円近い価格で落札されていた・・・。横溝ファン、小林ファン以外でも探されている方も多いだろう。兎に角、贅沢な内容なのだ!。対談中に出てくる作家名の豪華さに驚かれるだろう。戦前の探偵小説史、探偵文壇裏面史の貴重な資料でもある。対談の第四部では欧米の本格推理小説に対する熱い想いが語られている。横溝&小林氏のクリスティー&ヴァンダイン&クイーン&ドイル評は必見。乱歩氏、坂口氏、高木氏の横溝評だよ。なんて贅沢なんだろう♪。復刊される事を切に願う。

     
目次 序にかえて 横溝正史 

横溝正史の秘密 横溝正史&小林信彦 (対談)
第一部 「新青年」編集長時代から喀血まで・・・谷崎潤一郎と宇野浩二/「新青年」昭和初年モダニズムの震源地/「新青年」院外団のこと/編集長はくたびれる/「探偵小説」への道/喀血のあとさき

第二部 自作を語る・・・金田一耕介の創造『本陣殺人事件』と『蝶々殺人事件』/『獄門島』打ち明け話/『八つ墓村』と『犬神家の一族』『悪魔の手毬唄』と『仮面舞踏会』発端からおどろおどろしい新作を・・・

  第三部同時代作家の回想・・・探偵小説のことはじめ・・・雨村・不木・乱歩/大衆文学の想像力・・・介山・史郎・不忘・甲賀三郎・浜尾四郎・大下宇陀児・海野十三・夢野久作・小栗虫太郎・久生十蘭・木々国太郎・戦後の角田喜久雄・坂口安吾・高木彬光・鮎川哲也。

第四部クリスティーの死と英米の作家たち・・・最初のホームズ物は翻案だった/『カーテン』とリアリズムの問題/S・Sヴァンダイン、エラリー・クイーン、E ・Sガードナー/探偵小説=伏線の文学/クリスティーと名探偵の条件/英国人代表としてのクリスティー

資料 1探偵茶話<エッセイ>横溝正史

資料 2作品評
『本陣殺人事件』を評す・・・江戸川乱歩
『蝶々殺人事件』について(推理小説論)・・・坂口 安吾
『獄門島』について・・・高木 彬光

年譜・・・島崎 博
初出一覧
あとがきにかえて・・・小林 信彦
解説・・・権田 萬治

          
装丁
この本のカバーは赤色なのですが下の本のカバーを見て頂けると分るとおり 普通、横溝氏のカバーは黒なんですよね。初版のみ赤色のカバーで後、黒になったらしいです。なので希少なのだそうな。

回想の江戸川乱歩

文春文庫 文庫初版1997年5月10日
目次 江戸川乱歩邸応接間の図(小林泰彦)
対談・もう一人の江戸川乱歩(小林信彦&泰彦)
エッセイ・回想の江戸川乱歩(小林信彦)
小説・半巨人の回想(小林信彦)
江戸川乱歩略年譜
あとがき
文庫版のためのあとがき
解説・坪内祐三


 
感想  小林信彦氏は江戸川乱歩氏に見出されて雑誌の編集をはじめる。その過程で見た『江戸川乱歩像』が小林信彦氏と弟・泰彦氏の対談という形で回想されるのだが非常に面白い。信彦氏と泰彦氏の対談の中では江戸川乱歩だけでは無く、松本清張や横溝正史など、色々な作家のエピソードが満載で楽しめる本だ。
江戸川乱歩氏が私財を投じて探偵小説の発展に貢献されたのは有名だが、雑誌『宝石』が潰れかけた時に自分の金を出し、その上編集にまで携わっていたというのは初耳だった。こういう裏話が満載で推理小説ファンにはたまらない内容だろう。
私の持っている本は文春文庫だが、光文社から復刊されているらしい。資料的な価値も高い本なので小林氏のファンの方や江戸川乱歩のファンの方にお勧めの一冊だ。



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