優しすぎて、怖い/暗闇でささやく声/二度失われた娘

ジョイ・フィールディング 作家紹介&作品紹介
    
作家名 ジョイ・フィールディング(JOY・FIELDING)  
生年月日
生誕地  カナダ トロント  
処女作  kiss Mommy Goodbuy
デビュー年 1980年
公式サイト http://www.joyfielding.com/

作家紹介

  カナダ・トロント在住のサスペンスミステリー作家。ロサンゼルスにも三年間、住んでいたことがあり本人曰く”アメリカ人気質も解る”のだそうです。フロリダに別荘を持ちトロントと行き来しているそう。
日本でもなぜか、人気のある作家です。(題名の付けかたが上手いんですよね、原題とかけ離れた題名もあるので、訳者が上手いのでしょう)
  初めての執筆は8歳で出版社に送ったらしいのですが断られたそうな。
ミステリーから遠ざかっていた(恋愛物も執筆する)作者ですが、喜ばしい事に最近は初心に立ち返りミステリーを執筆しているようです。というか元々は恋愛小説をかいていたようですが。

  心理サスペンスを得意とする作家で、日本で翻訳されているものは殆どがサスペンス物です。 大体、一年に一冊のペースで新作が発表されます。
日本の版元は文春文庫です。優しすぎて、怖い/秘密なら、言わないで/泣くのは後にして/ 私のかけらを、見つけて/グランド・アベニュー/暗闇でささやく声/二度失われた娘 以上7作品です。
(『子供たちが誘拐された』 という本(ハードカバー)が新潮から出ていたが、現在絶版。捜してまで読むほどの出来じゃないので、入手出来ない方は無視して良いと思われます)
注・こてこての推理小説(トリックがある)をお好みの方にはお薦めしませんが、どんでん返しの好きな方にはピッタリです。 

2005年5月・・・最新刊の『二度失われた娘』を購入したのですが・・・驚く事に初期作品は全て絶版になっているようです。カバーに書かれている初期作品の題名が消えているっっっ。かなり売れたので入手は簡単だと思います、急がれよ!。


優しすぎて、怖い 文春文庫 初版1994年5月
あらすじ 晩春の午後、ジェーンはミルクと卵を買いに出かけ、自分が誰だかわからなくなった。名前も家もわからない。そして服には血が、ポケットには現金一万ドルと走り書きのメモ。やっと連れ帰られた家をわが家と思おうとしても、男を夫と信じこもうとしても、何かそぐわない。どうして皆がこんなに優しいのだ?それに、どうして日に日に体調が?
 
感想 私が個人的に大好きなジャンルである『記憶喪失物』なのだよね。むふふ。

ある日、街中で「私は誰?ここはどこ?このポケットの大金は何?このメモ用紙はなんだろ?えっ?!服に血がついている?!」となったら怖いですよね。洋服に血が付いている上に大金まで持っているので、事件に巻き込まれた事は間違いない。 だが、記憶を失くしているので自分が加害者なのか被害者なのかも判らない。警察には頼れない。で、いきなり現われた男が 「貴方の夫です」と言い、彼女を家に連れ帰る。お洒落で立派な邸宅で、夫と名乗る男は小児科医だ。 あまりにも優しくされ違和感を感じる。彼女は体の不調を感じ始めるのだが、彼女の夫が毎日処方している薬の所為だと直感する。 どうも旦那がおかしいと思うのだが、周りの人間から見るとおかしいのは記憶を失くした主人公の方で四面楚歌状態・・・というお話です。 じわじわと現われてくる不思議な恐怖感があります。これね、呼んで頂かないと面白さは分かりません。書いちゃうとネタバレになるし♪。幸せな結婚生活を送られていて、退屈だわーという方や 血生臭いミステリはイヤという方、最後に驚きたいという方にお奨めです。
あ!それとこの作家のウリなのですが登場人物が少ないんですよ。カタカナの名前を覚えるのが苦手な方にも是非、お奨めしたい作品です。
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暗闇でささやく声 文春文庫 初版:2003年5月10日
あらすじ 「あたし、アリソンです」。無邪気な笑顔で現れた新しい借家人は、40才で一人暮らしのテリー・ペインターにとって、たちまち家族同然の存在になった。
 ある日、ふとしたことからアリソンの日記を目にしてしまうテリーは、愕然とする。日記には「ついにやった。とうとう此処にやってきた」と書かれていたのだ。何が目的なのか?様々な不審な出来事に翻弄されるテリー。衝撃の結末の後にじわじわと広がる悲しみと驚き・・・サスペンスミステリーです。 

 
感想 おもしろかったぁーーーーーっ♪♪♪ 久々にフィールディングらしい作品だった。この作家の持ち味である「どんでん返し」は健在!。
ひとりぼっちの主人公が、借家人に気を許しながらも、自らの内でささやく警告の声に揺れ動くさまなどは、さすがはサスペンスの女王と呼ばれることはあるなぁーと感心。一緒に「ハラハラドキドキ」。  そのまま主人公が、騙されて終わるだけなら「馬鹿な女の物語」なのですが、サスペンスなのでこれでは終わらない。そこからのもう一歩に驚愕と悲しみがない交ぜになり、不思議な読後感を味わえた。表現し難いのですが”ヒッチコック”を連想させる匂いがある。  面白さを書いてしまうとネタバレに繋がってしまうけれど、あえてヒントを出すなら全篇「一人称」で書かれている・・・これ以上はネタバレになるので言えない。 (登場人物がたったの、7人です!”カタカナの名前は覚えるのが面倒だ”という方にお薦めです)
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二度失われた娘
(LOST)
文芸春秋社 文庫 初版2005年4月10日
あらすじ  ある日、女優志願の長女は有名な映画監督のオーディションに出掛け、そのまま姿を消した。両親が離婚した時、父親と暮らすことを一度は選んだ彼女。最愛の娘の行方を求めて、ひとり走りまわるシンディを「再びあの子を失ってしまうのか」という悪夢が、フラッシュバックのごとく襲う。

 
感想  これをミステリと呼んで良いのか悩むけど、これも一種のミステリなんでしょうね?。という事で、ミステリだと思って読まれない方が無難です(笑)。限りなく普通小説に近い作品です。
 主人公のシンディー・カーヴァーは離婚歴のある女性。別れた夫との間に二人の成人した娘がいるのだが、長女のジュリアとは長い間、別々に暮らしていた。その、別れて暮らしていた長女ジュリアは、父親に引き取られていたのだが、父親の再婚を期にシンディの元へ戻ってくる事に。そしてある朝、映画のオーディションに出掛けたまま忽然と姿を消すジュリア・・・というストーリーです。
幼い頃から父親っ子だった長女は父親との生活を望み、母親を捨てて父の元へ走る。それがトラウマになっている母親シンディは、帰って来た娘を見て「やっと自分の娘を取り返した」と安堵するんですよね。ところが安心した矢先に娘が失踪してしまう。一体どこへ行ったのか?娘は無事なのか?何が原因か?と錯乱する母親の様子が全体に描かれているのですが、この作家はこういうのは巧いんですよね。もともとミステリ作家というよりは、サスペンス(THRILLER)作家といった雰囲気の作家でしたが、この作品でますますミステリから遠ざかったような気がします(笑)。再度、繰り返しますが、謎解きを重視される方にはお勧めしません。フィールディングのファンの方だったら、楽しめると思いますよ♪。





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