暗い森の少女/呼ぶ声/闇の惨劇/魔性の殺意/マンハッタン狩猟クラブ




ジョン・ソール(JOHN SAUL)作家略歴&著作の感想
作家名 ジョン・ソール(JOHN SAUL)
生年月日 1942年2月25日
生誕地  カリフォルニア州パサデナ
処女作  暗い森の少女
デビュー年 1977年
公式サイト http://www.johnsaul.com/

作家略歴

ジョン・ソールは1942年2月25日パサディナ(カリフォルニア州)で生まれた。1959年にホイッティア高校を卒業。いくつかの(?)大学に通い、人類学・教養課程・演劇を学ぶ(どうも中退されたようです)。様々な仕事を経て作家デビューを果たす。
(公式サイトに詳しい記述があります。訳に自信がありませんので詳しくはこちらをご覧下さい)


暗い森の少女
(SUFFER THE CHILDREN)
早川書房 文庫 初版1978年11月30日
あらすじ  コンジャー家の森には忌まわしい伝説があった。昔そこで当主が幼い愛娘を惨殺し、自らも命を絶ったというのだ。それから半世紀以上が過ぎた時、再び不可解な事件が起きた。同家の次女セーラが父ジャックに連れられて森へ行った後、精神に異常を来たしたのだ。果たして呪われた森で二人に何が起きたのか?。奇禍はそれに留まらず、長女エリザベスと同じ学校に通う子供達が次々と姿を消し始めた。

 
感想  ジャンルはホラーです。ホラーというか憑き物系というか(笑)。今までジョン・ソールのホラーを数冊読んできましたが、本作が一番面白かったです。処女作の方が後の作品より面白いというのは褒め言葉にはなりませんけど(汗。
 兎に角、救いのない物語です。幼児虐待、死体の損壊、動物虐待、憑依、先祖の怨霊・・・と何でもありの内容なのですが、それが淡々と書かれているので薄気味が悪いのですよね。海沿いの森の中の旧家で、父親が娘を強姦して殺し、自分も自殺するという事件が起こるのですよね。で、その100年後、その家系には夫婦と二人の娘が残っているワケですよ。で、その長女が100年前に殺された女の子と瓜ふたつで・・・というストーリーで、後は大体分かりますよね?。想像通りの展開を迎えるのですが、このグロさは凄いです。ホラーが平気な方やおどろおどろしい内容でも平気って方にはお勧めです。 作家名INDEXホームへ戻る



呼ぶ声
(SLEEPWALK)
扶桑社 文庫 初版1991年10月28日
あらすじ  ニューメキシコのモルディーダ・キャニオン近く、インディアン居留地にはさまれた小さな町ボレゴ。経営不振の石油会社が唯一の基幹産業の、このさびれた町で、深夜、女子高生が郊外の崖で転落死した。自殺か他殺か?彼女の死体を発見したボレゴ高校の生徒ジェドはその死に疑問を抱いた。つづいて石油会社の社主が交通事故死。だが、このささいな事件は町を覆う大異変の始まりでしかなったのだ―。

 
感想  これイタダケナイ出来でした(涙)。訳者の古沢嘉道氏のファンなので購入したのですが・・・訳者さんも作品を選べない時期があるのだろうなと・・・。なんかね、SFっぽいというか、医学サスペンス調というかソールらしくないストーリーなのですよね。インフルエンザの予防接種と見せかけて、実は別のモノを接種し、町の人間を操り人形のような感情を持たない人間に変えてしまい(詳しく書きたくない)・・・なんて、今時ロビン・クックしか使わないようなストーリー展開なのですよね。ホラーを期待されている方が手にされては危険です。 作家名INDEXホームへ戻る



闇の惨劇
(GUARDIAN)
扶桑社 文庫 初版1995年8月30日
あらすじ  別居中の夫のことで親友オードリーに相談を持ちかけようとしたメアリーアン。だが彼女はその際、逆にオードリー夫婦の事故死の知らせを聞いた。オードリーはアイダホ州シュガーローフで牧場を経営する夫と息子のジョーイと三人で暮らしており、彼女とは万一の時には相手の子供の面倒を見る約束をしていた。オードリーの元に急いだメアリーアンは、夫妻がジョーイの後見人として、彼女に資産を残していたことを知る。同時に彼女は、両親を亡くしたジョーイの不自然な態度に何かしら不安を感じていた…。

 
感想  うーーーん。感想が書き難いっっっ(苦笑)。はっきり言って面白くありません。管理人はB級ホラー好きなのですが、それでもこれはイタダケナイ出来でした。
ネタバレ感想です。未読の方はご注意下さい。*から*までをコピペして頂ければ読めますが、危険です。
* 資産家の夫婦が同じ日に事故死してしまい一人残された息子ジョーイ。資産家夫妻の友人であった主人公メアリーアンは、身寄りの無いジョーイの面倒を見るために自分の子供二人を連れて牧場へやって来る。が、その牧場の奥に広がる森で謎の生物に襲われ死人が出る。現場には謎の動物の毛が。そして、森に入って行く人間が次々と殺されていく。犯人は人間なのか?未知の生物なのか?というストーリーで、結末をばらしちゃうと、犯人は狼男だったんですよね・・・。それもね、刑務所に服役中に、刑期を短くしてあげるから実験に協力してと騙された男が政府の実験材料にされて、狼男にされちゃったって内容なのですよね。ほんでね、息子ジョーイが、実際にはこの狼男の子供で、その遺伝子を受け継いだが為に、狼男になって行くという馬鹿馬鹿しい内容で、読み終わって絶句致しました。超能力とか幽霊の方がまだ楽しめたと思うんだけど、狼男とはなんたるオチ?!。* 作家名INDEXホームへ戻る



魔性の殺意
(BLACK LIGHTNING)
扶桑社 文庫 初版1996年7月30日
あらすじ  全米を恐怖に陥れた連続猟奇殺人犯のクレイヴンが死刑を宣告されて二年が過ぎ、いよいよ死刑執行の日を迎えていた。彼の事件を追求してきた女性新聞記者アンも、処刑に立ち会うためコネチカットを訪問中だ。処刑の日の朝、クレイヴンに再会したアンは彼から不気味な予告を受ける。「自分が処刑された後、また全てが始まる」無罪を主張し続けてきたクレイヴンが呟いた最後の言葉をアンは黙って聞いていたが、丁度同じ頃シアトルではアンの夫グレンが心臓発作を起こし死の淵に瀕していた…。

 
感想  本作のジャンルはホラーとサイコサスペンスの融合といった感じでしょうか。ジョン・ソールの描く作品は、田舎を舞台にしたドロドロホラー(?)ばかりだと思っていたのでちょっと驚きました(笑)。
 連続猟奇殺人犯クレイヴンが死刑を宣告され、刑の執行を受ける。だが、事件は終わったと思ったのも束の間、新たなる猟奇殺人事件が起こる。クレイヴンは死んだはずなのに、全く同じ方法で殺された被害者がみつかったのだ。処刑されたクレイヴンは真の犯人では無かったのか?それとも共犯者がいたのかと焦る捜査陣&新聞記者アン。事件が気になるアンだが、家庭内にも気になる事が。クレイヴンが処刑された同日に心臓発作を起こし、死の淵から生還した夫グレンがまるで別人のようなのだ。真犯人は誰なのか?夫グレンの変化はなんなのか?・・・というストーリーです。
 あらすじを読んだだけで、ストーリーが見えてしまうので、これ以上書けないけど、まぁ普通の出来といった感じです。中途半端にホラーを混ぜずに『マンハッタン狩猟クラブ』みたいなサスペンスにするか、初期作品みたいなドロドロホラーに徹した方が良かったのかも。 作家名INDEXホームへ戻る



マンハッタン狩猟クラブ
(THE MANHATTAN HUNT CLUB)
文芸春秋社 文庫 初版2004年3月10日
あらすじ  世界一の大都会マンハッタンの地下――入り組んだ地下トンネルが、地上の街に匹敵する広さの迷宮を成す闇の世界。
 ニューヨークの地下鉄構内。地上の世界と 同じくらい広く、地上以上に錯綜し、永遠に 闇に閉ざされた迷宮。無実の罪で投獄直前の 青年ジェフを拉致した男たちは、彼をこの迷 宮で解放した。「地上へ逃げ出せば君の勝ち だ」と彼らは《ゲーム》の開始を告げる。負 ければ死――ジェフを追うのは重武装のハ ンターたちなのだ。異常殺人鬼とコンビを組 まされ、ジェフは決死の逃走を開始する。人 狩りの獲物となったジェフは、生きて地上へ 脱出することができるのか?

 
感想  管理人はアメリカの地下世界を描いたサスペンスやミステリが好きで、見つけたら、誰が書いていようと購入している。という事でこの本を購入したのでした。どこかに地下世界フェチがいませんか?(笑)。

 地下鉄構内で襲われている女性を助けようとしたジェフは、そのまま犯人と間違われ逮捕される。で、有罪判決を受けたジェフは拘置所から刑務所へ移送されようとしていたのだが、ジェフの乗った護送車が事故に遭い炎上する。事故現場に呆然と立ち尽くすジェフは、見知らぬ男に地下世界へと導かれるが、そこにはもう一人、監禁された囚人がいた。ジェフと囚人と二人でコンビを組み、逃げ延びれば生き残れるというゲームが始まる。追うのは完全武装した男たち。闇に閉ざされた迷路と化した地下世界から、無事に脱出出来るのか?というストーリーです。
 で、感想ですがストーリーがどうの、オチがどうのと言う前に純粋に愉しみました(笑)。閉所恐怖症、暗所恐怖症の私には、身悶えする場面の連続です。でね、主人公がコンビを組まされた囚人というのが、実は、男に異常な愛情を抱く猟奇殺人者なんですよね。(殺した相手に女装をさせて死姦するという精神異常者)主人公は完全武装した謎の集団に追われつつ、身近にも危険があるという二重の恐ろしさです(笑)。人狩りの場面は終盤だけなので、サスペンスというよりは冒険小説に近いかなぁって感じです。暗所恐怖症&閉所恐怖症の方にお薦め(?)の作品です。



作家名INDEXホームへ戻る