処刑6日前

本のコーナー入り口ホームへ戻る




ジョナサン・ラティマー 作家略歴&著作の感想
    
作家名 ジョナサン・ラティマー(Jonathan Latimer)
生年月日 1906年
没年月日1983年
生誕地  アメリカ シカゴ
処女作  処刑6日前(HEADED FOR A HEARSE)
デビュー年 1935年
公式サイト


ジョナサン・ラティマー 作家略歴


ジョナサン・ラティマーは1906年、シカゴに生まれた。1929年、ノックス・カレッジ哲学科を卒業後、ハースト系の新聞記者になったが、後にシカゴ・トリビューン紙に移った。『処刑6日前』と『モルグの女』を発表して大成功を収めるや、あっさり記者生活を辞めてフロリダに移住。その後はハリウッドに関係してシナリオ・ライターとなる。晩年はハリウッドを離れ、La Jolla, Californiaに住んでいたそうな。

管理人の個人的感想
ジョナサン・ラティマーはハメットの影響を受けて作家になったハードボイルド作家ですが、単純なハードボイルド作家じゃありません。本格物に近いというか、謎解きの要素が濃い作品が多いのです。著作は数が少ない上に殆どが絶版ですが、捜してでも読む価値があると思います。

処刑6日前
(HEADED FOR A HEARSE)
東京創元社 文庫 初版1965年3月5日
あらすじ 別居中の妻を殺した罪で処刑を一週間後に控えた男が死刑囚監房の中で絶望から立ち上がった。自分でも自分以外の犯人が考えられない密室殺人の真犯人を獄中から突き止めようというのだ。弁護士、私立探偵、友人などの協力で一週間足らずの日限をきられた必死の再調査が開始する。一日一時間が電気椅子へ近づいていく焦燥のうちに、有力な証拠や証人が、謎の黒い手によって次々と消されていく。

 
感想  ●●年ぶりに読んでみました。管理人がはじめて出逢った『タイムリミット物』になります。いま読んでも感動しますね。1935年発表の作品ですが今でも充分通用します。
処刑六日前になって『俺は妻など殺していない。無実の罪で処刑なんて嫌だ』と真犯人探しを決意する死刑囚ウェストランドは、有名な刑事弁護士と探偵二名(クレーン&ウィリアムズ)を雇い事件を洗い直そうとするが、関係者が一人、また一人と消えて・・・というストーリーです。本作はハードボイルドでありながら本格物の要素もあるんですよね。殺された妻宅の家の鍵は二本しかない。一本は妻が持ち、一本はウェストランドが持っていた。殺された妻の部屋は外から鍵が掛けられ、密室なワケですよ(死体発見時に家の中に鍵があった)。この密室の謎をクリアしないとウェストランドが犯人じゃないと証明できないだなんてまるで本格物みたいでしょう(笑)。というか詳しくは書けないけど『フーダニット』&『ハウダニット』&『ホワイダニット』と三要素が絡み合い結末の謎解きまで一気読み出来ます。でも文章などは正真正銘のハードボイルド作品で不思議な味わいがあるんですよねぇ。アイリッシュの『幻の女』とよく比べられる『処刑6日前』ですが、シチュエーションが似ているだけのような気がします。あちらはどちらかというとサスペンス作品でこちらはハードボイルドと本格物の融合といった感じです。
本作は絶版の上、希少本です。見かけられたら是非、読んでみて下さいませ。しかし1930年代ってミステリの黄金期ですね。



作家名INDEXホームへ戻る