大きな枝が折れる時/モンスター/マーダー・プラン

ジョナサン・ケラーマン 作家紹介&作品紹介
    
作家名 ジョナサン・ケラーマン(JONATHAN KELLERMAN)
生年月日 1949年
生誕地  アメリカ ニューヨーク(後、ロサンジェルス)
処女作  大きな枝が折れる時(WHEN BOCGH BREAKS)
デビュー年 1985年
公式サイト       

作家略歴

  臨床心理学を学び博士号を取得、小児科病院で子供の精神医学に携わった経歴を持つ作家さんです。   奥様もミステリー作家です。(フェイ・ケラーマン・大学の同級生だった)ご夫婦共にユダヤ系アメリカ人です。   日本での評価はフェイ・ケラーマンの方が高そうです。『ジョナサンの”デラウェアシリーズ”の主人公が嫌な男で嫌い』等の感想を良く聞きます。私個人は非常に気に入っているシリーズなのですが、はっきり言えば万人受けしないミステリーなのでしょう・・・。   幼児虐待や子供のトラウマといった社会問題を、精神科医(カウンセラー)の見た目で描いた「アレックス・デラウェア シリーズ」が代表作です。(ゲイの刑事も登場します♪)   他にイスラエルを舞台にユダヤ人警部を描いた”殺人劇場”(確か、絶版です・・新潮文庫)等のシリーズ外もあります。(講談社文庫からもシリーズ外が出ている)
  24の言語に翻訳され世界中で2000万部以上も出版されている。ケネス・ミラー(ロス・マクドナルドの別名)、ジョナサン・ラティマー、ダシール・ハメットのファンらしい。ノンフィクションの著作もあるが日本では未訳。

 ”大きな枝が折れる時”(扶桑社)でMWA最優秀新人賞を受賞。(この時はまだ病院に勤務していたらしい)”歪んだ果実””グラス・キャニオン”も扶桑社から出ています。少女ホリーの埋もれた怒り/プライベート・アイ/デヴィルズ・ワルツ/悪い愛/トラウマパラダイスの針/クリニック(新潮文庫)モンスター(講談社文庫) 以上がアレックスシリーズです。(新潮から出ていた文庫で初期のものは全て絶版(涙)。かなり売れたので古本屋さんで楽に入手できると思います)


大きな枝が折れる時
(WHEN BOCGH BREAKS)
扶桑社 文庫 初版1989年9月25日
あらすじ 精神科医とその彼女が惨殺された。殺人を目撃した少女は混乱し、怯え何も話す事が出来ない。小児専門臨床心理医アレックスの元を訪れた親友マイロ刑事は助力を求める。しぶしぶ手を貸すアレックスが巻き込まれる事件の真実とは? 

 
感想 この人の著作を初めて読んだ時はまさに”ぶったまげた”でした。   アメリカが深刻な小児虐待問題を抱えている事はニュース等で知っていたのですが、ミステリーの世界に出てくるほどポピュラーな事なのかと、正直驚きました。あまりのリアルさに驚愕したのですが、著者が本当の”臨床医学”の専門家と知り頷けました。今ではこの”幼児虐待”をテーマにした本は腐るほどあるので目新しさは無くなりましたが・・・。
  内容は非常に重いです。読後感も良いとは言えません。が、この主人公と脇役陣のキャラクターの良さでかなり救われた気がします。内容は重いけれど、作者の語り口が上手いのか、さくさく読める事は、請合います。小児精神医学の薀蓄がいたるところに出てきます。薀蓄好きの方にお薦めしたい!この作品は、シリーズ化されています。扶桑社文庫から3冊出ています。続きは新潮から出ていたのですが現在、絶版・・・新潮って絶版にするの早すぎ・・・・・(怒)  作家名INDEXホームへ戻る 




モンスター
(MONSTER)
講談社 文庫 初版2005年3月15日
あらすじ  喉が切り裂かれ、眼を切り刻まれた女性の死体が発見された。被害者はカリフォルニア州のはずれにある病院の心理医。刑事マイロとともに病院に向かったアレックスは、外部から隔絶され、外出することもできない患者が、殺人を予言していたことを知る――。

 
感想  殺人を犯した精神病患者を収容する州立病院スタークウェザーを訪れるアレックスとLA市警刑事マイロ。この病院へ勤務していた女医クレアが喉を切り裂かれ、眼をズタズタにされた姿で見つかった殺人事件の調査に出向いたのだが、クレアの同僚から奇怪な証言を得る。16年前、子供を含む5人を惨殺した『モンスター』と呼ばれる患者がクレアの死の前日に、彼女の死を予言していたというのだ・・・というストーリーです。
 このシリーズの初期はネオハードボイルドっぽい作風だったのですが、本作では完全なるサイコ・サスペンスに変身していて驚きました(笑)。前作、前々作の『クリニック』『パラダイスの針』の出来が、あまり良くなかったので期待しないで読んだのが良かったのか(?)本作は充分に楽しめる出来でした。ただ一つ残念だったのは臨床心理医アレックスと精神病患者との交わりが少なかった事。今までの作品ではアレックスと患者との心の交流みたいなものが丹念に描かれていたお陰で感情移入し易かったのですが、本作にはそれが無い。ジャンルがサイコだという事を考えると致し方ないのかもしれないけども。次回作では期待したいですね。ってか、次回作も翻訳して頂けるのでしょうね???>講談社様。その上12作目の『SURVIVAL OF THE FITTEST(1997)』を飛ばして上梓されちゃー、困るんですよね。お願いしますよっ(懇願。 作家名INDEXホームへ戻る

マーダー・プラン
(DR.DEATH)
講談社 文庫上下巻 初版2006年3月15日
あらすじ  医師メイトは、安楽死の幇助をしていることから「ドクター死(デス)」という異名で知られていた。その彼が、自らが考案した「死の装置」の上で発見された。それも、体を切り裂かれ、血を抜かれた無残な状態で…。LA市警の敏腕刑事マイロは、親友で臨床心理医のアレックスとともに殺人犯を追いはじめるが―。

 
感想  うーーん。正直に言って期待はずれでした(汗。
 安楽死の幇助を行っていた医師メイトが惨殺されるのですよね。でその医師は、体中を切り刻まれ性器を切り取られ、無残な姿で発見されるのですよね。殺人の方法は惨くて派手なんですが〜冒頭の突入部の入り方がイタダケナイのですよ。最初っからマイロとアレックスで延々と事件について語り合いプロファイリングをするんだけど、読者にはその事件の背景が見えないからイライラする。そんでもって、安楽死の幇助をやっていた医師だから、容疑者は山のようにいるワケですよね。で!この容疑者群の中に犯人がいるのかと思ったら、今度はFBIが登場し、新たなる容疑者が浮上。読んでいるこちらは頭が混乱です(笑)。容疑者は山ほどいるのにどうやって物語を進めて行くのだろうかと読み進んでいくと〜掟破りな終わり方をします(怒)。私はケラーマンが好きで今までの作品を全て読んでいますが、本作の出来は『殺人劇場』とどっこいどっこいですね。次作に期待します。


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