血と肉を分けた者 (FLESH AND BLOOD) |
講談社 文庫 |
初版2006年5月15日 |
あらすじ |
抑圧された生活の果てに16歳の少女を殺した少年が、13年ぶりに仮釈放された。彼を逮捕した元警部のエルダーは、事件当時に失踪し、今も見つかっていない少女の捜査を再開。だが感受性の強い少年は新生活に馴染めず、また姿を消してしまった。あまりに厳しい社会の現実と脆すぎる家族の絆。CWA賞受賞作(シルバーダガー賞)。
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感想 |
イギリスミステリらしい作品です。謎もあるにはあるんですけど謎解き重視の作品じゃないのですよね。
16歳の少年シェーンが親兄弟から受ける虐待から逃れるために家出、そして生まれて初めて自分に親切にしてくれる人に出会う。が!その親切な青年アランは16歳の少女を拉致、監禁、強姦、挙句の果てに殺してしまうのだよね。で、一部始終を見ていたシェーンも共犯として逮捕され13年間、投獄されてしまう。二人を逮捕した元刑事は事件当時に失踪したまま行方知れずの少女の事が忘れられないでいるんだけど、シェーンの仮釈放を切っ掛けに、再調査をはじめる・・・という展開です。主人公のフランク・エルダーは刑事を引退して田舎に引っ込んでいるのですよね。妻に浮気されて別居中の一人身。だもんで、昔解決できなかった少女失踪事件を再調査しはじめるのです。まぁ、ストーリーはよくある話しなんだけど、この作家が巧いなぁと思うのは謎解き重視で終わらない事でしょうか。書いちゃうとネタバレになるので書けませんが、ハッピーエンドで終わらないトコがイギリス作品らしくて良いですね(笑)。他人に自信を持って薦められる作品じゃないけど(癖が強いので)、ワタクシは愉しんで読めましたデス。
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