誘拐


ジェイムズ・グリッパンド(JAMES GRIPPANDO)作家略歴&著作の感想
作家名 ジェイムズ・グリッパンド(JAMES GRIPPANDO)
生年月日 1958年
生誕地  米国イリノイ州
処女作  『The Pardon』
デビュー年 1995年
公式サイト http://www.jamesgrippando.com/

作家略歴

1958年アメリカのイリノイ州生まれ。フロリダの代表的な法律事務所スティール・ヘクター・アンド・デイヴィスのマイアミ事務所の共同経営者で法廷弁護士を勤める。
(この作家、かなりの作品を上梓されているのですが邦訳は2作品しかないようです。)

著作リスト

☆Jack Swyteck Series
1. The Pardon (1994)
2. Beyond Suspicion (2002)
3. Last to Die (2003)
4. Hear No Evil (2004)
5. Got the Look (2006)
6. When Darkness Falls (2007)
7. Last Call (2008)

☆Novels(シリーズ外)
The Informant (1996)
The Abduction (1998)『誘拐(小学館)』
Found Money (1998)『汚れた遺産(小学館)』
Under Cover of Darkness (2000)
A King's Ransom (2001)
Leapholes (2006)
Lying with Strangers (2007)
Born to Run (2008)
Intent to Kill (2008)

誘拐
(THE ABDUCTION)
小学館ソフトカバー 初版2003年2月20日
あらすじ  アメリカで大統領選挙の最中に、対立候補である共和党のリンカーン・ハウの孫娘が何者かに誘拐された。民主党から推されて立候補した女性司法長官アリスンは司法の責任者として捜査の第一線に立とうとするが双方からけん制され反対される。だが、彼女もまた8年前に養女を誘拐され、その事件も解決しないままだった。対立候補の陰謀か、はたまた自陣党内の内輪もめに端を発した事件か?。孤立しながら捜査を続行する彼女が探り当てた真相とは・・・。

 
感想  誘拐物ですが、誘拐が物語の中心に据えられている政治物とでも言えばいいのかなぁ。
大統領選挙に出ている女性候補者アリスンは、8年前に生後4ヶ月の女の子を誘拐されており、その子は今もって行方不明。で、選挙の真っ只中で、今度はアリスンの対立候補の孫娘が誘拐されてしまうわけです。で、対立候補の陰謀なのか、普通の営利誘拐なのか分からぬまま、刻々と選挙日に近づいて行き・・・といった展開です。誘拐物として見るならオチの部分の詰めが甘いなと思うんですが、大統領選挙をネタにした政治物として見るならよく出来た物語だと思います。冒頭部分は、過去に我が子を誘拐されたアリスンが立ち直り現在に至るまでに焦点が当たっているのでちょっと退屈なのですが、相手候補の孫娘が誘拐された時点からはグイグイ読ませる勢いがあります。普通の誘拐物なら『誰が?』という謎だけで進んでいくけれども、政治が絡んだことによって『誰が?なぜ?何のために?』と謎が複雑になっているのですよね。そんでもって、8年前の誘拐事件も現在に絡んできて・・・これ以上はネタバレになるので書けませんが。それと、この誘拐事件の捜査の指揮を執るFBI捜査官エイブラムズが好いんですよね。この切れ者のFBI捜査官は捜査の過程で大統領候補者であるアリスンにほのかな恋心を抱くのですが、相手は大統領になろうかという女性で、そんでもって旦那がいるという状況なので巧く行きっこないんですが、この二人の関係というか描写がいいんですよ(笑)。政治物、誘拐物でありながらR系も含むので、大統領選挙なんか興味ないわーって方でも大丈夫だと思います。
民主党候補のアリスンが大統領になれば女性初だし、共和党の候補が大統領になれば黒人初の大統領というこの物語は1998年の作品なんだけど、現在の米国とダブります。それに、共和党の黒人候補者が軍人上がりの人物で、年齢といい外観といいコリン・パウエルを連想させるんですよね。誘拐された子供たちの安否と、大統領になるのはどっちかという興味に加え、身代金受け渡しの場面でのハラハラドキドキで一気読みできました。



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