血まみれの月

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ジェイムズ エルロイ(JAMES ELLROY)作家略歴&著作の感想
作家名 ジェイムズ エルロイ(JAMES ELLROY)
生年月日 1948年
生誕地  ロサンジェルス
処女作  レクイエム(Brown's Requiem)
デビュー年 1981年
公式サイト http://www.ellroy.com/index.html

作家略歴

 1948年にロサンジェルスに生まれる。彼の母親は看護婦さんで、父親は会計士だったそうな。両親が1954年に離婚し、母親に引き取られたエルロイはエルモンテ(低所得者が多く住む場所らしい)へ引っ越す。このエルモンテで、エルロイが10歳の時に母親が殺害され、事件は迷宮入りとなる。母親の死後、エルロイは父親に引き取られる。FAIRFAXの高校へ進学するが、ナチズムに傾倒していたエルロイは学校を騒がせ、放校処分となる。その後、軍隊に入るが、軍の生活に耐え切れなかったエルロイは、どもりのフリをして軍の精神科医を欺き、見事、除隊処分を勝ち取る。17才のときに父親も死亡。18歳くらいからアルコール・ドラッグ・窃盗とお定まりのコースを辿り刑務所へ。1980年、30歳で処女小説を著し、作家デビューを果す。チャンドラーやロス・マクドナルドをひたすら読んだ以外では特別な勉強はしていないという変わった経歴を持つ。現在はカンザスシティに住んでいる。

管理人より・・・兎に角、好みが割れる作家だと思います。ノワール以外でも秀作が多いので、まずは読んでみて♪。

血まみれの月
(BLOOD ON THE MOON)
扶桑社 文庫 初版1990年7月25日
あらすじ  その孤独な殺人者は内なる妄念に衝き動かされ、次々と若い女を惨殺していた。ある時は路上で。またある時は被害者の部屋で。"詩人"と呼ばれるその男はいつも彼の最愛の女性を殺すのだった―。一方この殺人者を追い求めるロイド・ホプキンズはロス市警強盗殺人課の部長刑事。仲間から"ブレーン(頭脳)"と呼ばれる天才肌で、異常なほどの正義感をもつ男だった。そのホプキンズの直感が犯人は一種の天才であると告げていた。天才対天才の闘いが始まった直後、ホプキンズに市警の上層部から圧力がかかった。上司からも部下からも見放され、〈静かな狂気〉と化したホプキンズは、ひとりロサンジェルスの街を駆けめぐり、〈激しい狂気〉である"詩人"を追いつめる。ロイド・ホプキンズ・シリーズ第1弾。

 
感想  読みたい本が手元に無いという危機的状況を打開すべく(大袈裟な)本棚を漁ったら、出てきたのがこれ『血まみれの月』です。エルロイとの出逢いとなった記念すべき作品です。
 今読むと『若いなぁ』って印象ですが、荒削りだからこそ受けるショックというか感動は他の作品では味わえないかも。初めてこの作品を読んだ時に、精神を病んだ犯人や、その犯人を追う精神を病んだ刑事(自分ではまともだと思っている)の人物造詣よりも、このキャラクターを描くエルロイ自身を恐ろしく感じたのを鮮烈に覚えています。なんかね、作家が抱えている心の闇というか狂気みたいなものが、登場人物を通して透けて見えるのですよね。ゴッホの絵を見て怖いと感じる私は、同質の怖さをエルロイにも見たのです。エルロイ作品を初めて読んでみようと思われる方に是非、お勧めしたい作品です。(小説作法とかが気になる方にはお勧めしませんが(笑))



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