図書館館長ジョーダン・ポティート シリーズ 図書館の死体

シリーズ外作品パニック!




ジェフ・アボット(Jeff Abbott)作家略歴&著作の感想
作家名 ジェフ・アボット(Jeff Abbott)
生年月日 1963年
生誕地  アメリカ テキサス州ダラス
処女作  図書館の死体(Do Unto Others)
デビュー年 1994年
公式サイト http://www.jeffabbott.com/

作家略歴

 テキサス州ダラス生まれでオースチン、ダラスで育つ。Rice大学を卒業。フルタイムの作家になる前は、小さな政府機関のクリエイティブ・ディレクターやハイテク会社のマーケティングの仕事などをしていた。現在は彼の妻と2人の息子と共にオースチン在住。
『図書館の死体』でアガサ賞、マカヴィティ賞の最優秀処女長編賞をダブル受賞している。その後の作品でも、MWAのエドガー賞に三回、アンソニー賞に二回ノミネートされ順調に作家活動を続けている(2005年春現在)。著作は米国、カナダ、日本、イギリス、アイルランド、オーストラリア、ニュージーランド、チェコ共和国などで上梓されている。
ジェフ・アボットのお気に入り作家はジョンD.マクドナルド、パトリシア・ハイスミス、エリック・アンブラー、グレアム・グリーン、チャールズ・ディケンズだそうな。(詳しくは作家公式サイトでどうぞ♪。Q&Aコーナーが楽しいですよ)


図書館の死体
(Do Unto Others)
早川文庫
(元はミステリアスプレス文庫)
初版1997年
あらすじ  ジョーダン・ポティートは大都会での生活を捨て、生まれ故郷のテキサス州ミラボーで図書館館長を務めている。だが、のんびりした田園生活の夢は無惨にも打ち砕かれた。蔵書の検閲をめぐり、この町きってのお固いクリスチャン、ミス・ベータ・ハーチャーと激しく口論してしまったのだ。しかもその翌日、こともあろうに図書館内で彼女の死体を発見したジョーダンは、最重要容疑者となってしまう。警察は、彼女の死体から、聖書の一節が書かれた不可解なメモを発見する。まるでベータ・ハーチャーは、この町全体を死に至らしめようと計画していたかのようだった…。

 
感想  この作品は、アガサ賞、マカヴィティ賞の最優秀処女長編賞を受賞しています。賞の名前を見ての通り、コージーミステリです。
 とにかく楽しいミステリーです。舞台が図書館なので、ディケンズ、チャンドラー、デイビット・ブリン、グレッグ・ベアなど沢山の作家名が文中に登場します。活字中毒者はニヤニヤしてしまうと思います。物語は多くの謎を含んだまま、クライマックスへと向かって行くのですが、最後にはちょっと意表をつかれます。文体も柔らかいし(訳者のお陰?)ユーモアがいっぱい詰まっていて、ニヤニヤしながら読みすすむといった感じです。心優しくハンサムな主人公(長身・ブロンド・長身・緑色の目)なんて、出来過ぎの感はあるけれど、これが処女作なら御の字でしょう。管理人の一番のお気に入りシーンは、SFオタクに口止めをするところ。主人公のセリフ「もし、喋ったらSFの新刊注文を減らすよ。ブリン、ベアの新刊はなしだぞ!」こう言われたSFオタクは、麻薬の供給を絶たれる事を恐れる中毒患者のようにうなずくのです。暗いミステリーに飽き飽きしている方にお薦めします。(この著作は早川のミステリアスプレス文庫から出ていました。が、ミステリアスプレス文庫が廃刊になったので、新しい装丁で出版されるようです(2005/3発売予定)。命が助かって良かったね♪)。 作家名INDEXホームへ戻る



パニック!
(PANIC)
ヴィレッジブックス文庫 初版2008年7月20日
あらすじ  「今すぐ家に帰ってきて!」――新進気鋭の映像作家エヴァンはある朝、母から緊急の電話を受け取った。慌てて実家に行くと、そこには無残な姿の母の死体が……。自らも銃を突きつけられ殺されかかるが、からくも脱出、そこからエヴァンの信じられない逃避行が始まった!次から次へと現れる味方をなのる怪しい人々。行く先々で待ち受ける罠。行方不明の父の不可解な電話、恋人の裏切り、そして優しかった母のあやしい過去などが次々とエヴァンに降りかかる!この大いなるトラブルを彼は乗り切れるのか?。

 
感想  母親から帰って来いという連絡を受けて、実家に帰った主人公エヴァンは母親の死体を発見。エヴァンも、実家で銃を持った謎の二人組から殺されそうになるが、もう一人のライフルを持った謎の男に助けられ辛くも脱出。普通の生活を送っていた普通の男エヴァンがなぜか命を狙われ逃げ惑う。追ってくる男達は何者なのか?助けてくれた男の正体は?エヴァンは生き残れるのか?・・・といった物語なんですが〜非常に驚きました。本作は今までアボットが書いていたコージーミステリではなくて、サスペンス、スリラー、というか冒険小説なんですよね(笑)。よくある巻き込まれ型のスリラーなんだけど、追われている理由も、追っている一味の正体も、なぜ母親が殺されたのかも、主人公も読者も分からないまま進んでいくので面白いといえば面白いんですが、アボットの図書館シリーズ風な明るさを求められた方にはどうかなぁ〜。評価が割れると思います。物語は冒頭からかっ飛ばすように進んで行くので、飽きずに読めましたし、作者の新ジャンルへ挑戦するんだという意欲みたいなものが見えて好感をもてました。が・・・物語のオチがちょっとね〜。20年前ならなるほどと読めたかもしれないけどミレニアムを迎えた今、このオチはちょっと苦しいかもです(笑)。評価は割れるでしょうが、一気読み出来るのでアボットファンの方、お試しくださいませ。



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