横山秀夫 作家紹介&作品紹介 |
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作家名 | 横山 秀夫 | |
生年月日 | 昭和32年(1957年) | |
生誕地 | 東京 | |
処女作 | ルパンの消息(サントリーミステリー大賞佳作 | |
デビュー年 | 平成3年 |
クライマーズ・ハイ | 文芸春秋社 | 初版:2003年8月25日 |
あらすじ | 群馬県の地方紙、北関東新聞の社会部に籍を置く悠木和雅は、同僚の元クライマー、安西に誘われ、谷川岳に屹立する衝立岩に挑む予定でいた。出発日の夜、御巣鷹山に日航ジャンボ機が墜落、約束を果たせなくなる一人で出発したはずの安西もまた、山とは無関係の歓楽街で倒れ、意識が戻らない。未曾有の巨大事故、社内の確執、親子関係の苦悩・・・。 |
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感想 | 物語は事故から17年後、悠木が安西の息子と衝立山に挑むところから始まります。過去と現在が交互に語られていく形式です。 警察小説で一世を風靡する著者初の企業物とでも、評せばいいのでしょうか?著者自身が記者であった頃に遭遇した「大事故」を材にするまで17年の月日を要した事に、うなずける程リアルな描写です。メディアの病巣にメスを入れつつも、社内の確執、家族関係の苦悩も。横山氏らしい内容でした。 生々しい・・・これが感想です。 (ハッキリ言ってミステリ色は薄いです。が、面白いです) ![]() ![]() |
出口のない海 ('96年、マガジン ノベルス ドキュメント『出口の無い海』として刊行された作品を全面改稿) |
講談社 ハードカバー | 初版2004年8月9日 |
あらすじ | 甲子園の優勝投手は、なぜ、自ら「人間兵器」となることを選んだのか。人間魚雷「回天」海の特攻兵器。脱出装置なし。 甲子園の優勝投手・並木浩二は大学入学後、ヒジを故障。新しい変化球の完成に復活をかけていたが、日米開戦を機に、並木の夢は時代にのみ込まれていく。死ぬための訓練。出撃。回天搭乗。しかし彼は「魔球」を諦めなかった。 |
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感想 | この作品はミステリでもないしサスペンスでもない普通小説です。個人的な感想ですが横山秀夫氏は警察小説等のミステリが出発点だったけれど本作や『クライマーズ ハイ』のような普通小説の方が横山氏らしい気がします。 で、感想です。扱われている題材の好き嫌いはあるだろうけれど、相変わらず巧い。何でこの人の文章はこんなに読み易いのでしょうかね?。文筆業に携わる人間が書く文章にしては細切れ過ぎるとは思うけれど、横山氏はその手法を巧く生かし読み易い作品に仕上げてしまう。その点では満足でした。オヤジ系小説の旗手(?)となった横山氏ですがこのまま浪花節(?)を書き続けて欲しいものです。ただ一つ、物足りないなと思ったのは人物造詣でしょうか。扱われている題材の重さや悲惨さを伝える為にはもっと登場人物について書き込んで欲しかった気がします。横山氏の長編は一段組300p前後と短いんですよね。(その上、講談社のハードは行間が広いので文字数が少ないっ)いつかはハードカバー二段組上下本に挑んで欲しいなぁ(笑)。 余談・・・アマ○ンに書いてあるカスタマーレビューを読んで驚きました。戦争小説として読んだなら福○晴敏氏の作品の方が楽しめると数人の方が書いていらしたのですよね。福○氏と横山氏では目指しているものが全く違うのに同じ土俵に載せられた両作家は驚いている事でしょう。 本作は某Pさん宅より我が家にやって来ました。あんがと♥。 |