ヘレン・マクロイ(Helen McCloy)作家略歴&著作の感想 |
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作家名 | ヘレン・マクロイ(Helen Worrell Clarkson McCloy) |
生年月日 | 1904年 |
没年月日 | 1993年 |
生誕地 | 米国ニューヨーク |
処女作 | 『死の舞踏』 |
デビュー年 | 1938年 |
公式サイト |
殺す者と殺される者 (The Slayer and the Slain) |
東京創元社文庫 | 初版2009年12月25日 |
あらすじ | 小さな大学の心理学部で講師を務める主人公のヘンリーは、叔父の死亡通知と遺産相続の知らせを受け取った日、氷に足を滑らせ後頭部を強打。意識を失い治療を受ける。ほどなく意識が戻ると、転ぶ直前のことを思い出せないまでも、他に後遺症はなく済んだ。不慮の事故から回復したのを契機に、おじの遺産を相続し、大学の職を辞して亡母の故郷クリアウォーターへと移住したハリー(ヘンリー)・ディーン。思い出の残る小さな町で彼は新しい生活を始めた。人妻となった想い人と再会し、新生活を始めた彼の身辺で、異変が続発する。消えた運転免許証、差出人不明の手紙、謎の徘徊者…そしてついには、痛ましい事件が―。この町で、何が起きているのか?。
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感想 | 本作の発表年は1957年でして、半世紀も前の作品という事になります。で、その半世紀も前の作品がなぜ今頃、新訳で再版されているのかというと、2009年は版元の創元推理文庫の創刊50周年記念にあたるそうで、その記念として読者からの復刊リクエストを募ったところ、本作『殺す者と殺される者』が見事第三位を獲得。だもんで、復刊と相成ったそうです(ちなみに1位を獲得したのは同じくヘレン・マクロイの『幽霊の2/3』)が、なぜ珍しくも(ゑ?)ワタクシがこんなに古い作品を手に取ったかというと訳者さんが務台夏子さんだったから。古い作品を焼直すからといって、ら抜き言葉を使うような訳者さんが手掛けていたとしたら絶対に読んでいなかったと思います。で、感想はというと・・・ 意外にも面白かったです(笑) 。実は大昔にこの方の作品を読んだ事があったのですが、当時は有名作家だったからとりあえずカッコつけて読んだだけで、楽しめなかったという記憶しかなかったんですよね。今考えると幼過ぎて理解出来なかったんだと思います。というのも、謎解きのあるミステリではなくて、本作はサスペンスというか心理スリラーなんですよね。ネタバレになるので詳しくは書けませんが、作者の技巧だけで読ませるような作品なので、発表当時からするとかなり革新的なミステリだったと思われます。それと、ひとつ付け加えておきたいのはミステリを読み慣れてる方なら中盤で容易に謎が解ってしまいます。で、作者自身も物語の確信の部分を物語の7分目辺りで読者に明かすんですが、これは作者が意図的にやったんだと思うんですよね。作者は本作をただのミステリとは思っておらず、主人公を生身の苦悩する男として描くため、パズル色を途中で排除するという手法をとったんじゃないかなと思います。こういう確信犯的な手法の巧い作家というとパトリシア・ハイスミスやマーガレット・ミラーをすぐに思い出すけれど、両者に負けないくらい個性的な作風の作家さんですね。 最後に、ネタバレになるので警告し難いんですが、折原一氏のよく使うアノ手が苦手な方には鬼門だと思われます(謎。 |