殺人者の顔


ヘニング・マンケル(HENNING MANKELL)作家略歴&著作の感想
作家名 ヘニング・マンケル(HENNING MANKELL)
生年月日 1948年
生誕地  スウェーデン ストックホルム生まれ
処女作  『Bergsprangaren(Rock Blaster』)
デビュー年 1973年
公式サイト http://www.henningmankell.com/


殺人者の顔
(Mordare utan ansikte(Faceless Killers))
創元推理文庫 初版2001年1月26日
あらすじ  雪の予感がする早朝、小さな村から異変を告げる急報が入った。駆けつけた刑事を待っていたのは、凄惨な光景だった。無惨な傷を負って男は死亡、虫の息だった女も「外国の」と言い残して息をひきとる。地方の片隅で静かに暮らしていた老夫婦を、誰がかくも残虐に殺したのか?イースタ署の面々が必死の捜査を開始する。

 
感想  久々に良質の警察小説を読んだという気がします。良質の警察小説というくらいですから、当然 地味にコツコツと捜査し真相に辿り着く刑事たちの捜査過程が書かれているのですが、いまどきの警察小説にありがちな派手さや受け狙いがこれっぽっちも無いんですよね。なので、非常に暗い地味な展開が続きます。好みじゃないと仰る方も多いだろうけど〜派手さをそぎ落とした警察小説もたまには好いですぞ(笑)。
で〜物語は・・・主人公のクルト・ヴァランダーは嫁と娘に出て行かれ、仕事一本やりの寂しい生活を送っている。犯罪捜査に掛けてはベテランなのだが、家庭の崩壊や父親の介護問題などで悩みも多く酒に頼る始末。で、孤独な身で激増する凶悪犯罪に立ち向かうのが辛くなって来ていた頃、老夫婦が残虐に拷問の末殺害されるという事件の捜査指揮を執ることになるヴァランダー。虫の息だった老女が『外国の』と言い残したダイイングメッセージだけが手がかりという難事件。田舎町の金も持たない老夫婦を殺した犯人は誰?なぜ老夫婦が狙われたのか?・・・という展開でです。ストーリーだけ見ると本格推理物みたいでしょう?(笑)。暗く重苦しい空を感じさせるスウェーデンの風景と、マンケルの重厚な筆が相まって英国や米国の小説に無い不思議な味のある作品です。



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