唇を閉ざせ/ノー・セカンドチャンス/イノセント


ハーラン・コーベン(HARLAN COBEN)作家略歴&著作の感想
作家名 ハーラン・コーベン(HARLAN COBEN)
生年月日 1962年1月4日生まれ
生誕地  米国 ニュージャージー州
処女作  プレイ・デッド
デビュー年 1990年
公式サイト http://www.harlancoben.com/

作家略歴

米国ニュージャージー州生まれ。アマースト・カレッジを卒業後、旅行会社勤務を経て、1990年に『プレイ・デッド』で作家デビュー。’95年にスポーツ・エージェント、マイロン・ボライターが活躍する『沈黙のメッセージ』(早川書房)でアンソニー賞を受賞。一躍脚光を浴びる。その他、シェイマス賞、エドガー賞を受賞し、初のトリプル受賞作家となる。

唇を閉ざせ
(TELL NO ONE)
講談社 文庫 初版2002年10月15日
あらすじ  NYの若い小児科医ベックは、亡き妻エリザベスのことを思い続けていた。今から8年前、2人は連続殺人鬼キルロイに襲われ、彼だけが九死に一生を得たのだ。そんな彼のもとに1通の謎のメールが届く。そのメールには、ベックとエリザベスしか知らないはずの秘密が隠されていた。悪質ないたずらか、それとも!?

 
感想  この作家は掴みが良いですね(笑)。冒頭、死んだはずの妻からメールが届きます。彼女が生きていると信じたい主人公ベックが妻ともう一度逢うことだけを望み、謎を解いていこうとするのですが〜ベック夫妻が襲われた場所で二人の男の死体が見つかるのですよね。で、いつものパターンだけど警察が再調査を開始し、ベックは殺人犯と疑われ〜〜という展開です。妻が生きているのなら何故姿を現さないのか?なぜ、妻が誘拐された現場付近で他殺体が見つかったのか?ベックは謎の男たちに狙われているのだけれど、その相手は誰で目的はなんなのか?といった多くの謎が気になって一気読み出来ました。が!一つだけ気になる事が。私は『ノー セカンドチャンス』を先に読んだからそう思うのかもしれませんが、ニ作品ともパターンが一緒なのですよね。事件に巻き込まれ、妻や子供を殺された普通の男が警察に疑われ容疑者になってしまう。で、奪われた妻や子を取り戻すために我が身を捨ててでも取り戻そうとする、これはニ作品共に共通する内容ですよ。私は日を置かずに連続で読んだので気になったのかもしれませんが、コーベンの単発作品を読まれる方は日を置いて読まれた方が、より楽しめるかもしれません。 作家名INDEXホームへ戻る



ノー・セカンドチャンス
(NO SECOND CHANCE)
ランダムハウス講談社
文庫上下巻
初版2005年9月13日
あらすじ  病院で目覚めた医師のマークは、自分が自宅で撃たれ、重傷を負ったことを知った。さらに妻が殺害され、生後六ヶ月の娘も行方不明だと知ると、回復も待たずに退院し、子供を捜し出そうとした。そんなとき、娘を誘拐したという犯人から身代金要求の文書が届く。マークは自ら金の受け渡し場所に向かったが、娘は戻らなかった。その後、苦悩に満ちた一年半が過ぎた頃、再び犯人から身代金の要求が。娘は生きているのか・・・・?。

 
感想  いやぁ〜〜〜面白かったです〜♪。この作家のシリーズ物を随分前に読んだ記憶があったんですが、まぁ普通に面白かった程度の記憶しか残っていなかったのですよね。ですが『コーベンは最近、シリーズ外作品を著している』という情報を友人N様からいただき読んでみたんだけど大正解でした。この作家、シリーズ物を書いている時にはあまり感じなかったんだけど、巧いですよ(偉そうな(笑))。
 病室で目覚めた外科医マーク・サイドマンは自分が何者かに自宅で撃たれ瀕死の状態だったと知らされる。更にマークの妻は殺された上に(全裸で発見された)生後6ヶ月の愛娘タラが行方不明になっている事を知る。娘を探すため快復を待たずに退院したマークの元へ、妻の父親から電話が入る。誘拐犯から義父の元へ身代金を要求する電話が入ったというのだ。マークは自ら身代金を手に犯人と接触するが、身代金は奪われた上に娘は取り戻せなかった。何の手掛かりもなく捜査は行き詰るが、警察とFBIはマーク自身が犯人ではないかと疑っている。そして一年半後、二度目の身代金要求が・・・というストーリー展開です。妻が殺され夫が第一容疑者になるってのは良くあるパターンなのですが、そこから先が二転三転してコーベンらしい筋立てです。それと、何より娘を奪われた父親の苦悩が密に描かれていて、読んでいて苦しくなるほどでした。チョイと出てくる脇役まで念入りに人物造詣してあるし、手を抜かない作家なんだなぁ〜と嬉しい誤算でした。ネタバレになるので詳しくは書けないけど、ラストが勧善懲悪で終わらなかったのも読後の満足感に繋がっているのかもしれません。  作家名INDEXホームへ戻る



イノセント
(THE INNOCENT)
ランダムハウス講談社
文庫上下巻
初版2006年3月1日
あらすじ  きっかけは、携帯電話に送られてきた妻の浮気現場らしき画像。しかも発信元はなぜか妻自身の携帯電話だった。ごく普通の人生を歩んでいたマット。だが、大学生のときに誤って人を殺してしまい、四年間の刑務所生活を余儀なくされる。出所後は、法律事務所でパラリーガルとしてまじめに働き、結婚もし、平凡な幸せを取り戻しつつあった。待望の子供が生まれるというころ、彼の人生はふたたび大きく狂い始めた……。

 
感想  相変わらず似たようなストーリーなんですけど、楽しめました(笑)。今まで3作品のTHRILLERを読んできたんですが、どの物語も骨子は同じなんですよね。普通に生活している善良な男がひょんなことから事件に巻き込まれ〜というパターンは3作品とも一緒でした。まぁ、肉付けが巧い作家なので読ませるのですが、立て続けに連続で読むのは避けた方が良さそうです。私が不思議に思うのは、いつも似通ったストーリー展開なのに、なぜ再びこの作家を読みたくなるのか?って事なのですが、その理由は出だしの良さにあるのかもです。この作品も掴みが良くて、主人公がひょんな偶然から殺人を犯してしまうという場面から始まります。冒頭でグズグズする作品が苦手という方にお薦めですね。



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