雪の狼/すべての罠/地獄の使徒


グレン・ミード(GLENN MEADE)作家略歴&著作の感想
作家名 グレン・ミード(GLENN MEADE)
生年月日 1957年
生誕地  アイルランド
処女作  Brandenburg(ブランデンブルクの誓約)
デビュー年 1994年
公式サイト

作家略歴

Glenn Meade is an Irish author. He was born in Finglas, Dublin in 1957. In the 1980s he wrote and directed a number of his own plays for the Strand Theatre in Dublin. He originally worked as a pilot trainer for Aer Lingus, before becoming a journalist for the Irish Times and Irish Independent. In 1994, he released his first novel, Brandenburg, which garnered much critical acclaim. Meade now writes full-time.
調べたのですが↑くらいしか分かりませんので後日 書き足します。

雪の狼
(SNOW WOLF)
二見書房文庫 初版1997年10月25日
あらすじ  40数年の歳月を経て今なお機密扱いされる合衆国の極秘作戦スノウ・ウルフとは?。冷戦のさなかの1953年、酷寒のソヴィエトにおいて、孤高の暗殺者スランスキー、薄幸の美女アンナ、CIA局員マッシーたちが、命を懸けて達成しようとしたものは何か?。

 
感想  物語はマッシーの息子が自宅地下室にて、亡き父の隠した極秘文書を発見するところから始まります。父は1953年にモスクワで自殺したことになっていたのだけれど〜その機密文書を見るとその年に父によって書かれたもので、自殺というのは本当のことなのか?と疑問が出てくる。で、父の勤めていたCIAに機密文書のコピーを持ち込み本当のことを話せと詰め寄るのですが、今でもこの件は極秘扱いで、絶対に秘密にするという確約の元でないと教えられないという。で、事件の生き残りというか生き証人の女性に会う事が出来、40年前の真相が明らかになり・・・というストーリーです。
父は40数年前に自殺して亡くなったはずだったのに実は違っていて、彼はソヴィエトでの極秘活動中に死んでいたのですよね。で〜その極秘活動というのはスターリン暗殺計画で〜これ以上はネタバレになるな(汗。なかなかに良く出来た冒険小説でした。ただ惜しいのは、なんとなく既視感があるのですよね〜。実は、父は戦時中に大それたことをやっていてという展開がいつかどこかで読んだ事がある様な気がして(笑)。例えていうなら初期のグレッグ・アイルズとアラン・フォルサムを足して2で割って、そんでもって荒く削ったような感じで、そう思わせる所が新しさがないというか・・・。ただし、巧いなと思わせるところは随所にあります。『すべてが罠』を読んだときも思ったけど、この作家は冒険小説のほうが合ってますね。辻褄が合わないと思うところもあるけれど、生き生きと描かれていて一気読み出来ました。ここまで3冊を読みましたけど、これが一番好い出来ですね。 作家名INDEXホームへ戻る

すべてが罠
(WEB OF DECEIT)
二見書房 文庫 初版2005年11月25日
あらすじ  嵐の夜、ジェファニーは自宅で母親を惨殺され、弟も一生治らない重症を負う。彼女も危うくレイプされそうになった。スイスにいたはずの父親もその夜以降行方を絶つ。2年後、父親の死体がスイスの氷河で氷漬けになって発見されたというニュースが寄せられた。彼女は急遽スイスに飛ぶが、それはなぜ彼女の家族が殺されたのか、長く隠されていた父の過去の暗い秘密とは何かを暴く旅だった。CIAは密かにニューヨークの警官ライアンに彼女の護衛を依頼する。

 
感想  ジェニファーの母は自宅で惨殺され弟は銃で撃たれ脊髄と脳を損傷、歩くことも喋る事も出来ない体になってしまう。ジェニファー本人もレイプされ殺されそうになるのだけれど命辛々で逃げおおせる。だが、ヨーロッパへ出張中の父が忽然と消息を立ち、ひょっとしてジェニファー家での惨殺事件の犯人なのでは?と囁かれる中・・・。二年後、スイスとイタリアの国境近くの氷河から父親の遺体が発見されたと報告を受ける。で〜遺体確認のためジェニファーは現地へ向かうがなぜか何物かに尾行されていた。で、借りていたレンタカーに細工をされ車は雪の積もる山道で走行不能になりあわや転落死。で、このときも死なずにすむんだけどマシンガンを持った二人組みに命を狙われ・・・という展開です。
 先に『地獄の使徒』を読んでしまったんだけど、「この作家、惜しいなぁ〜他の作品の出来はどうなんだろう?」という疑問が沸き本作を手にとった次第です。この作品はスリラーというよりは冒険小説で、この作家には向いている路線だと思います。でも、無理して読者を驚かせようという野望(?)はこの作品でもありまして、ちょっとやり過ぎの感もありますが概ね楽しめました。この作家が依然として気になるので、あと数冊は読んでみるつもりです〜。化けそうな予感のする作家です。(2007年10月20日読了) 作家名INDEXホームへ戻る



地獄の使徒
(THE DEVIL'S DISCIPLE)
二見書房 文庫上下巻 初版2007年6月
あらすじ  その男は、29人もの人間を残虐に殺した。死体はすべて内臓を抉 りだされたあと焼かれていた。"悪魔の使徒"と異名をとったその連続殺人犯の処 刑に、FBIのケイト・モランは立ち会う。やつはケイトの婚約者とその娘も手 にかけていた。"使徒"処刑からしばらくたって、やつの手口とそっくりの殺人事 件がアメリカ、パリで相次ぐ。"使徒"は甦ったのか? それとも模倣犯か? 不 可解な事件を解決すべく、ケイトは捜査に乗りだすが......

 
感想  悪魔の使徒と異名をとった連続殺人犯が捕まり死刑が執行される。ところが、その後も地獄の使徒の手口とそっくりの殺人事件がパリ・イスタンブール・アメリカと続き・・・。婚約者とその連れ子を地獄の使徒に殺されたFBI捜査官ケイト・モランは事件を解決すべく捜査に乗り出すのだが、次々と被害者は増え、ついにはケイトが狙われ・・・という展開です。
 で、感想。
面白いです。サスペンスというかホラーというか、まぁジャンルなんて何だっていいのです。面白いのですが、結末がね・・・ちょっとゴニョゴニョなんですよ(笑)。例えるなら〜メダル目前の演技なんだけど、ラストで高得点を得ようと無理して4回転ジャンプを飛んで、そのジャンプが3回転どまりだったスケーターって感じ(どんな感じ?!)です。短い文章を重ねることによって描写される情景はテンポがあって、そんでもって構成も筆力もある作家だと見受けられるのですが、ちょっと受けを狙いすぎて失敗したって印象です。どんでん返しを狙わずに普通に終わっていたなら、面白いお勧め作品だと言えたと思います。ですが・・・この作家自身に興味があるのですよね。構成の良いとこやテンポのある文章が気になるし、この作品以外は冒険小説を書いているらしいので、あと数冊は手にしてみたいと思います。化けてるんじゃないかな〜という予感がする作家です(笑)。



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