感想 |
久々に警察小説らしい警察小説を読んだなというのが第一感想です(笑)。ただし、評価は読み手によって割れそうな作品です。物語はというと至って簡単で〜妊娠1ヶ月の若い女性が、世にも恐ろしい方法で惨殺され見つかる。で、その翌日にも若い女性が殺されるんですが、前と同じ殺害方法で妊娠1ヶ月目。犯行現場には7日で7人って犯行声明が残されていて・・・という展開です。なぜか犯人は主人公のニコ・シルスキー警視を敵対視していて、犯行現場に残されたメッセージはニコ宛に書かれているんですよね。で〜ニコと部下たちは必死で犯人に辿り着こうとするのだけれど、警察の努力は実を結ばず次々と無辜の市民が殺されていくんですよね。この後手後手に回る警官たちが苦悩している描写は胸が塞がります。なんたって殺し方がエグイんですよね。妊娠初期の女性の手足を縛り付け、鞭打ちし〜そんでもって無残に刺し殺されるんだけど、生きている内に乳房を切り取っちゃうんですよ。読んでいてゾゴゾゴ(博多弁?)しました(笑)。フランスのミステリってのはこういうサイコ色が濃い方が好まれるのでしょうかね?。で・・・読んでいて作風は全く違うのになぜか横山秀夫氏の警察小説を思い出していました。なぜかというと、たぶんきっと淡々と描かれているのが似て見えたのだと思います。淡々と描かれているからこそ、陰惨さが際立つのかもしれませんが。ただ、手放しでお勧め出来ないんだよねぇ。それはなぜかというと、人物描写が弱く感じるから。人間を書き込んでこそミステリだと思う私にはこの点がマイナス点ですが、平均点は超えていると思われます。ゾゴゾゴしたい方にはお勧めですけど(笑)。
ちょっと、書き方に趣向が凝らされています。「彼は彼女の後をつけていた」などという風に彼・彼女とぼかして描写されている場面が多く、実際に殺されてみるまで狙われている女性が誰なのか読者にはわからない様に書かれていて、読んでいてハラハラ致しました(笑)。途中、このだます様な書き方が煩わしくなったりもしましたので〜これも評価が割れるだろうと書いた一因です。
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