アーロン・エルキンズ(Aaron Elkins)感想ページ |
---|
作家名 | アーロン・エルキンズ(Aaron Elkins) |
生年月日 | 1935年 |
生誕地 | アメリカ ニューヨーク |
処女作 | 『Fellowship of Fear』(日本では未訳) |
デビュー年 | 1982年 | 作家公式サイト | http://www.aaronelkins.com/ |
古い骨 | 早川ミステリアス・プレス文庫 | 初版1989年1月15日 |
あらすじ | 老富豪が、北フランスの館に親族を呼び寄せた矢先に事故死した。数日後、館では第2次世界大戦中のものと思われる人骨が発見され、さらに親族の一人が毒で・・・。現実と過去の謎を解き明かす人類学者ギデオン・オリヴァーの本格推理。 |
|
感想 | スケルトン探偵「ギデオン・オリヴァー」シリーズの代表作です。 主人公は人類学者で本来の仕事は遺跡から出た骨を調べ、当時の人々の生前の身長、体重、年齢、性別、病歴 等を調べる事。その主人公がFBI捜査官ジョン・ロウの依頼を受けて骨を鑑定した時に、あまりにも見事に推理したのがきっかけで様々な事件に巻き込まれます。 この二人のコンビがとても良いのです!ホームズとワトソン君みたいで、お気に入りです。 人類学者が主人公だけれども、本格推理小説という印象です。作者自身が人類学の博士号を持っているので専門的な知識が随所にみられます。ロウが「解りやすく説明してくれ」という発言を度々してくれるので、素人にも安心♪(この辺がワトソンっぽいですよね) 嬉々として骨を鑑定しているシーンのギデオンは正に”変人探偵”でしょう。 ホームズを彷彿とさせます。 未読の方には是非一度読んで欲しいと思い、あえて代表作を取り上げてみました。布教とも言う・・・。 本作でMWA長編賞を受賞しています。 ![]() ![]() |
骨の島 (GOOD BLOOD) |
早川書房 HM文庫 | 初版2005年10月20日 |
あらすじ | イタリア貴族の当主ドメニコは姪に信じ難い言葉をかけた。「私の子を産んで欲しい」と。時は流れ、産まれた子は実業家として財を増やそうとする。だが、その矢先、一族の人間が誘拐され、更に前当主ドメニコの白骨死体が地中から発見された。調査を始めた人類学者ギデオンは、骨に隠された一族の数々の秘密を知る事になるが・・・。
|
|
感想 | 今回も旅行先で事件が起こり、その事件の調査を依頼されて事件に首を突っ込んでいくギデオン・オリヴァーというストーリーです。いつものパターンですな(笑)。ただし、本作は冒頭部分がちょっと違います。舞台になるイタリアの貴族の相続、世襲制にまつわる謎のようなものが冒頭で語られていて、実際にギデオンが登場して事件に関わってくるのは、なんと170Pを過ぎてからなのですよね。なので、導入部が非常に退屈でした。これね、このシリーズのファンならば充分楽しめる出来だと思いますが、シリーズを読んでいない方が本作から読み始めるのはお止しになった方が良かろうかと・・・ごにょごにょ(笑)。 版元へお願い・・・早川ミステリアス文庫がお終いになって、HM文庫から新刊を出してくれるのは有り難い。有り難いんだけど、初期作品で翻訳されていないのがあるでしょう?。あれを何としても読んでみたいのですよねぇ。なんとか未訳の初期作品を出して頂けませんでしょうかね?。ファンの方は、みな「最初はどうだったんだろう?」と思っているハズっ(笑)。 ![]() ![]() |
原始の骨 (Unnatural Selection) |
早川書房 文庫 | 初版2009年9月10日 |
あらすじ | ネアンデルタール人と現生人類の混血を示唆する太古の骨―この大発見の五周年記念行事に参加すべく骨の発掘されたジブラルタルを訪れたギデオン。だが喜ばしい記念行事の影には発掘現場での死亡事故をはじめ、不審な気配が漂っていた。彼自身まであわや事故死しかけ、発見に貢献した富豪が自室で焼死するに至り、ギデオンは疑いを深めるが…。一片の骨から先史時代と現代にまたがる謎を解く、スケルトン探偵。
|
|
感想 | 昔は作品が邦訳されるたびにすぐさま飛びついて買っていたんだけど、いつまでたっても邦訳されないというイライラを抱えている内に、いつしか手が伸びなくなったシリーズです。ですが、今回は久々に読んでみました。で、感想ですが〜前作よりかは随分と楽しめました。ギデオン・オリバーの垂れ流す薀蓄が大好きで、このシリーズを気に入っているワタクシにはおあつらえ向きと言える講釈の多い作品で、いつものようにオドロオドロしい場面もなく、気楽に読めました(笑)。そして、この作品の舞台が良いですね〜。今回はスペインの南端ジブラルタルが舞台で、行ってみたいなと思わせる描写の連続でした。ミステリとしてみるなら突込みどころは多いけど、このシリーズをそういう視点では見てませんのでね(笑)。古いお友達に会えたような気がする作品で楽しめました〜(初期作品で出て来ていた捜査官がどうなったのか気になるけども・・・)。邦訳の間がこれほど開かなかったらば、今でも必死で追いかけているシリーズだと思います。2年に1冊じゃ覚えておられんってば。
![]() ![]() |
騙す骨 (Skull Duggery) 青木久恵/訳 |
早川書房文庫 | 初版2010年11月25日 |
あらすじ | 妻ジュリーの親族に招かれメキシコの田舎を訪れたギデオン夫婦。だが平和なはずのその村で、不審な死体が二体も見つかっていた。銃創があるのに弾の出口も弾自体も見当たらないミイラ化死体と、小さな村なのに身元が全く不明の少女の白骨死体だ。村の警察署長の依頼で鑑定を試みたギデオンは次々と思わぬ事実を明らかにするが、それを喜ばぬ何者かが彼の命を狙い…一片の骨から迷宮入り寸前の謎を解くスケルトン探偵。
|
|
感想 | なんか、久々にスケルトンシリーズらしい作品を読んだなぁ〜って感動致しております(笑)。どこら辺に感動したのかというと、原点回帰したかのような懐かしい筋立てにだったのですが、物語はというと・・・ 妻ジュリーのいとこが支配人をしている欧米人向けリゾート施設エンカンターダ農場に招かれ再びメキシコ入りしたギデオン夫妻。農場のある村は久しく殺人事件など起こらない平和な町なのだが、ここ1年くらいの間にミイラ化した遺体と白骨死体が見つかっている。地元の医師の鑑定では何の情報も得られずほったらかされていた2遺体だが、村の警察署長から遺体を視てくれないかとギデオンが依頼された事から思わぬ事実が浮かび上がり・・・という展開です。面白いのは、前回にギデオン夫妻がメキシコ入りした時に出逢ったマルモレーホが再登場しているのですよね。マルモレーホが登場した『呪い』は1990年頃の作品なので、シリーズを続けて読んで来た読者向けのサービスだったのかもしれません。記憶力の悪いワタクシでも覚えているくらいインパクトのある登場人物だったので再登場となったのでしょうが、この辺りのファンサービスがにくいですね(笑)。そして、ミイラ化した遺体と白骨化した遺体を鑑定する時に出てくる蘊蓄がね〜これが良いんですよね。知的好奇心を刺激してくれた初期の作品を彷彿とさせてくれる展開に身悶えしながら読み進みました。ミステリとして見るならば、ギデオンの行く先々でなぜこうも頻繁に遺体が出てくるのか?とか突っ込み所は多々あるんですが、そんな瑕疵は気にならないくらい(?)楽しめました。昔読んでいたけど、最近は遠ざかっているという往年のファンの方に特にお勧めです。あ!それと、このシリーズは家の中に転がしておいても安全な(?)ミステリです。小学生でも高学年なら理解できる内容でしょうし、何より残忍な殺戮シーンが無いので子供さんと一緒に読めるミステリです。 |