ラブラバキルショット


エルモア・レナード(ELMORE LEONARD)作家略歴&著作の感想
作家名 エルモア・レナード(ELMORE LEONARD)
生年月日 1925年10月11日
生誕地  アメリカ・ニューオーリンズ州
処女作 
デビュー年
公式サイト http://www.elmoreleonard.com/


ラブラバ
(La BRAVA)
早川書房 単行本 初版1985年7月
あらすじ マイアミビーチには、不思議な連中が集まってくる。―元シークレットサービスの捜査官で現在は写真家のジョー・ラブラバは、一人の女性と知り合った。彼女の名はジーン・ショー、かつて少年の頃のラブラバが夢中になった銀幕のスターだ。だが、彼女の周囲には奇妙な男たちが出没する。沼沢地帯から来た大男のならず者、キューバの刑務所を脱出してきた殺人犯。―やがて、一枚の脅迫状が届き、男と女と悪党が織りなす、金と欲望の犯罪ドラマがスタートした!ベストセラー作家レナードの代表的傑作。アメリカ探偵作家クラブ最優秀長篇賞受賞。

 
感想  白状いたしますと、実は・・・本作がレナードの作品との出会いとなります(滝汗。
ワタクシ 本を選ぶ時の基準は、まず好きな作家の作品を買うんですよね。で次は、今買わなかったら二度と出会えないだろうという売れそうにない本から順に買うわけです。で〜エルモア・レナードみたいな大御所作家はいつでも買えるし読めるさ〜と避けていたのですが大御所作家といえど安心していられない事が判明。活字中毒者仲間のNさまがレナードが良かったと仰るので、ではワタクシも読もうと探したら殆どが絶版で慌てて手にした次第です。で、最初に読む作品に『ラブラバ』を選んだのは、題名が短い=作者は内容に自信があるからシンプルな題名にしたんじゃなかろうかと読んだワケですが〜〜〜これを第一作目に選んで正解でした。もうね、モロ好みの作風です。ストーリーはシンプル。元銀幕のスターの財産を狙った悪党共の犯罪を阻止せんとする元シークレットサービスの主人公ラブラバ・・・これだけです(笑)。もちろん これだけで話が終わるはずはないんだけども、なんてったって雰囲気が良いのですよね〜。読みながらワクワクする感じが、作風も筆致も似ていないんだけど、なぜかビル・プロンジーニを髣髴とさせるというか・・・きっと、この時代を扱った作品やこの時代特有の(?)フィルムノワールっぽい感じがワタクシの好みなのかもしれません。多分、プロット重視派の読者には寄り道が多いストーリー展開がお気に召さないかもしれません。が!ワタクシはこの寄り道する展開が好きなのですよね(笑)。(物語の大筋は簡単でシンプルなんだけれども人物造詣や描写に筆を割いているのを『寄り道する』と言っているのですが雰囲気は伝わりますよね?(汗))ラストも簡単には終わらず、そうだなぁ〜例えるならパトリシア・ハイスミスやマーガレット・ミラー風のオチが用意されています。大御所作家だと、古い作家だと避けていらっしゃる方がいらしたなら、ぜひ手にとって欲しい作品です。
(Nさま、きっかけを下さって有難う御座いました♥) 作家名INDEXホームへ戻る



キルショット
(KILLSHOT)
文芸春秋社単行本 初版1992年9月25日
あらすじ  ピストルを頭に突きつけられてニッチもサッチもいかなくなったとき、そいつは言った。「なあ、ちょっと言わせてもらっていいか?」「なんだ?」「まさにあんたみてえな男を、おれは捜してたんだよ」プロの殺し屋“ブラックバード”と銀行強盗マニアのリッチー、変なとりあわせの変てこな出会い。そんな二人が“普通の夫婦”と妙なかかわりあいをもって…。

 
感想  いやぁ〜参ったなぁ〜〜、ほんと巧い作家です。なんで、こんなに簡単なストーリーをこんな風に描けるのかなぁ〜と素直に感動します。何に驚くかって言うと、この作品に出てくる登場人物全員がわたしの嫌いなタイプなんですよね(笑)。ブラックバードという殺し屋は粗野で短絡的で嫌いだし、もう一人の悪党リッチーはアンポンタンで気に入らないやつがいたら撃ち殺して終わりって感じで大嫌いなタイプの登場人物。で〜その上、主人公の田舎町に住む普通の奥さん、この人も犯罪者に命を狙われているからと証人保護プログラム下に入り逃げ隠れしているというのに簡単に自分の居所を晒したりするバカ女で嫌いだし、夫もマッチョを自慢にしているけれど後先考えない男で嫌いなタイプ・・・ってな感じでやなやつばかり出てくるんですよ。ですが、それでも面白く読めるって作者の腕以外の何物でもないでしょう?!(笑)。
ただ、万人にお奨め出来る作品じゃないと思います。たまたま出会った悪党二人が強盗に入り、その強盗には失敗して逃げ去るんだけれど、たまたまその場に居合わせた夫婦者に顔を見られたからと執拗に追いかけまわし始末しようとするというストーリーが、殺そうとする理由やなんかに根拠がないというか・・・犯行の動機が弱いから最後まで物語にリアリティが感じられないのですよね。ですが、それ故に犯行の根拠にはなりえない理由で人殺しを続ける悪党二人の悪さ怖さは十分に描かれているともいえます。もし〜初めてレナードの作品を読んでみようと思われていて作品を探されているのなら、本作は避けた方が良いかもですね。

一言・・・レナードを読んでいて、なぜかプロンジーニを思い出すと感想に書いたのだけれど、理由が判明。訳者さんが一緒ですよ(笑)。



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