感想 |
私には、本の事について話すチャット友が数人いて『今日、お暇ならやろうよ』とお誘いの赤紙 メールが来るのだ。
滅多に無い本について話すチャンスなのでおシッポふりふりで参加させて頂いている。するとある日友人Pさんが珍しく饒舌に会話しだした。
彼女は何でも読む雑食でどんなジャンルでも詳しい尊敬する活字中毒者だ。そのチャレンジャーの彼女がある本を読んで『驚愕』したので
是非、一度目を通せと言うのだ。
目を通せに引っかかる。
Pさんは通常、面白い本に出合った時は「面白いよ、これ」と率直に言うのに目を通せとは変だ。それに間違っても目を通さずに買うなと釘を刺すPさん。
興味津々。気になってしょうが無い。
で、読んでみたのだよね。読み始めたのだがいきなり冒頭の文章から引っかかる。通常、本を読むときは脳内で咀嚼
しながら読み進むのだが咀嚼どころか先に進めないほど変だ。
こんな日本語あるのかしら・・・。一部、引用したい。
1・遠く離れると横浜の巨大な遊園地ができた。
この文章を読んで情景が想像できないが私の読解力が弱いのだろうか?。
2・二人が向かった先は地元で有名なスーパーに足を踏み入れた
ノーコメント。
3・ランニング状態で足を止めた
ノーコメント
4・いかにも挙動不審な行動で
”挙動不審”自体が人の立ち居振る舞いを表す言葉なのでは・・・
5・もう一度首を右に左に素早く後ろへと回し、ぐるりと体を反転させた
版元はこの文章を読んで手を入れようと思わなかったのだろうか?。
6・〜してる
これは論外だ・・・。”している”と書くべきだろう。友達への手紙では無いぞ。千円もする本なのに。
7・『う、うん』『お、王子』『お、お前』『い、いや』『い、行こう』
ず〜っと”どもる”のだ。確かに普通の会話で、どもる事は多いが文章にした時に多用されるのは読み難くてしょうがない。
リアルさを求めてなのか描写が出来ないから多用するのか・・。
8・『話は飛ぶが』『話は戻るが』
・・・私の日記みたいだ・・・。
9・『・・・・・・』
文章中に『・・・』が多いのだよね。これを削ったら本の厚さが半分になるだろう。
Pさんは、この”日本語の崩壊”を言っていたのだとスグに合点が行った。
これでもプロの作家なのだろうかと思い、家に帰り着き調べると物凄く売れているし3冊の著作があるようだ。
作者は20そこそこの若者。
作家名は山○悠介氏。この本は24万部売れたそうだ。
この稚拙な文章でそれだけ売ったとは版元の営業戦略は素晴らしいのだろう。
拍手を送りたい。
作者のインタビューを下記に引用したい。
版元社員:まずは、山○さんが小説を書き始めたキッカケを教えてください。
山○: 実は、僕はそれほど本が好きだったわけではないんです。どちらかと言えば、読書は嫌いでした。本を出版しておいてこんなことを言うと
笑われるかもしれませんが、本当なんですよ。(言わなくても分かります。斑より)
特に書きたいことがあったわけでもないのに、なぜ小説を書き始めたか。漠然と、僕の中では「想像力を活かすこと」=「小説を書くこと」だったんです。
こんな動機だから、最初はまったく書けませんでしたね。
(今は違うんだろうか?・・・。こういう人間の事を博多弁でにあがっとーと言う)
これほど読んだ方の感想を聞いてみたいと思った作品は今までに無い。
○田ワールドを味わった事がある方いらっしゃいませんか?。
追記・・・この小説のストーリーを評する事はしない。何故なら日本語ではないし小説でもないので、評するに値しないからだ。
この本に、そしてこの作家に存在意義があるとするなら、若い世代で日本語を操れない人が増えているという証としてだけだろう。
国語の教科書にも使えると思う。間違い探しをするには持って来いの作品だ。
この作家個人には何の恨みも無いが、版元には憤りを感じる。これを販売した、世に送り出した版元『文芸社』は極刑に値する。
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