ショック 卵子提供
 
早川文庫 不明
あらすじ この作家はすでに21作も邦訳されているので、ご存知の方も多いと思いますが医学サスペンス物です。 今度の主題は卵子提供。ハーバード大生の彼女達は1回で45000$という礼金につられて卵子提供をする(合わせて、9万$)。 その後、自分達の卵子はどのように利用されたのか気になって不妊治療クリニックへと潜入・・・というストーリーです。
 
感想 先に断っておくと、この作家の過去の著作は全作読んでいるんだよね。医学ミステリー全般が好きっていう事もある けど、ありえそうなストーリーや未知の遺伝子治療などについて書かれていて結構楽しめたんですよね。映画「アウトブレイク」の原作者だからご存知の方も多いだろう。 それが・・・本作”ショック”ではこちらが”ショック”を受けた。まず、設定が不味い。金に釣られて卵子提供をした女の子 二人が、自分の卵子はどうなったのかと研究所に忍び込むわけだが、これ自体に納得が行かない。立派なマンションに住み旅行まで 愉しんでその後いきなり「善意の人」に豹変し、研究所の悪を暴こうとするなんて、読んでいる方は『けっ、いまさら何だよ』って感じだ。 だからこの二人が追われるシーンがあってもはらはらもしない。
この本を読んでいて怒りよりも悲しみの方が大きかった。『あぁ、クックも老いたんだなぁ』と感じたのだ。 自分の好きな作家が枯れてゆくのを目にする事ほど悲しい事は無い。
  追記・・・この本はまだ手元にあります。だって全巻揃っているので捨て難いんだよね・・。