女性署長ハマー
  
講談社文庫 初版2001年12月15日
あらすじ バージニア州警察署長ジュディー・ハマーは、苦悩していた。トラック運転手を惨殺し略奪を 繰り返す強盗団が横行していたのだ。その上、州職員の女性が惨殺され、バラバラ死体で発見された。
 
感想 ファンの方は読まずにとばしてください。

 これ程の駄作は10年に一冊出会えるか否か!というくらいの希少本です。
まず、帯に書いてあった言葉にだまされました。「本格警察小説」「全米ベストセラー」というのは、いかに商売でも許されない誇大広告だ。 大体、題名は「ハマー」なのに、出てくるのは他の署員ばっかり。本格警察小説???実際は、コメディーです。一番驚いたのは登場人物に蟹や魚が出てくること。その上延々としゃべるんです・・・蟹や魚が・・・蟹や魚が喋る警察小説だと?!。
児童小説だろうがっっっ!!!。
犯罪小説で魚や蟹が出てくる本がどこにある?!?。ここにあるが・・・。
 元々、文章のヘタクソな作家だと思っていた。それでも検視官シリーズの初期は面白かった。作家の青さもご愛嬌だったのに。スカーペッタシリーズに人気があったのは、検死方法など科学的な捜査によって犯人にたどり着くことだった。いつしか、主人公の恋愛話に終始するようになり、マンネリになってきたら主人公の恋人を殺して話は終る。その後がこの作品とは・・・。 この作品以降、推理小説で売り上げの上位に入ることがなくなったのは、当然の結果でしょう。
世界中で売れまくったらしいので、もう儲からなくてもよくなったのかなぁ。 現在は「切り裂きジャックの検証本」や「お料理本」を出版しているコーンウェル。こんな本しか、書かないのだったら、お料理研究家にでも転身して欲しいと思う。

追記・・・この本は破り捨てました。
黒蝿
 
講談社文庫 2003年12月15日
あらすじ 意を決して、死刑囚監房を訪れたスカーペッタに、<狼男>が告げた衝撃の事実とは? 警察を辞めたマリーノ、信じる道を歩きはじめたルーシーも、それぞれ決死の覚悟を胸に行動を起こす。錯綜(さくそう)する謎、めくるめく急展開の果てに、驚愕の真相が待ち受ける! この結末の前では、すべての過去は伏線に過ぎない。(本のカバーより)
 
感想  上記の『ハマー』よりは幾分、マシですが駄作には変わりありません。マシといっても蟹やマスが喋らないだけの事で酷さは互角です。
 なんと言っても驚いたのは、過去のシリーズ作品で死んだはずの男(ベントン)が生き返っているのですよね。その男は死んだと見せかけておいて、実はFBIの証人保護プログラムにより生きていたっていうのですよ(涙)。その男が死んだ作品で伏線として読者に対し『実は生きているかもよ?!』という仕掛けがあったのなら許せますが、そういう伏線は全く張られていなかったのですよね。どう考えても『ストーリーが浮かばないや。ベントンでも生き返ればな。そうだ!生き返らせちゃおう♥』ってノリです。読んでいて痛いです。そこまでしてストーリーを作らないと本を掛けないほど逝きかけている作家だと 自ずから証明しているじゃないですか?!。それと、ストーリー以外にもっと酷いのは文章。この作品だけ、なぜか三人称で書かれているのですよね。ヘタクソな作家が三人称で、それもテレビカメラが切り替わるかのように視点を変えて書かれているので、読者にはさっぱりワケが分からない場面展開が続きます。なんの為にここで場面が変わるのか?といった細切れの場面展開に脳が沸騰するようでした。内容に付いて行けないので脳が沸騰するんだけど、それ以上に何を意図しているのか分からない苛立たしさで死にそうでした。

 講談社さん、こんな作品を上梓する余裕があるのなら、ビル・プロンジーニの新刊を出して下さい。お願いします。