一年でいちばん暗い夕暮れに (The Darkest Evening of the Year) |
早川書房文庫 |
初版2010年1月20日 |
あらすじ |
ドッグ・レスキューとして虐げられた犬の救護に情熱を傾けるエイミーは、その夜、恋人のブライアンとともに不思議なゴールデン・レトリーバーを助けた。同じ夜、ある邪悪な男女が、長年追い続けた獲物を捕える罠をついに完成させようとしていた。因縁で結ばれた二組の男女の運命の岐路に、突如現われた黄金の犬が起こす奇跡とは?。
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感想 |
物語は、主人公のエイミーと(ゴールデンレトリバー保護組織の運営者)その彼氏ブライアンが、とある家に向かうところから始まります。その家の主婦ジャネットから、夫が酔って暴れており犬が危ないという急報を受けたためエイミーと彼氏は現場に駆け付けたのですが、その場で目にした光景に憤ったエイミーは犬の保護だけで帰らないんですよね。警察を呼び、夫を逮捕させ、犬だけじゃなくジャネットと子供も保護するわけです。自身が捨て子で修道院で育ったという過去を持つエイミーは弱い者が虐げられている場面を見ると放っておけない性質なわけです。で、彼女は運命の犬と出逢う事になったのですが〜この時保護した犬は不思議な能力を持っていたのですよね。この「不思議な」って部分が、ミステリという範疇からちょっと外れているので、純粋なスリラーやミステリを求めてある方には不向きかも知れません。が〜この犬とエイミーの関係が好いんですよね(笑)。犬好きならきっと涙ぐむ場面が多いんじゃないかと思います。(ワタクシも数度、涙ぐみました(笑))エイミーの保護活動と並行して描かれていく謎の1組の男女が、後半でエイミーとブライアンに深く関係している事が解かる辺りはさすがクーンツだなという筆運び(?)なので、不思議系混じりでも平気な方にはお奨めです。
ワタクシ・・・この本を読んでいてなぜ、犬のレスキューをするのに犬種を選ぶ必要があるのか?なぜ、レトリーバーでもゴールデンに絞られるのか?が不思議だったのですが〜犬種を絞った方が引き取り手を見つけ易いのだそうです。ゴールデンレトリバーを飼っていてその犬種に愛情を抱いており、ゴールデンならもう1頭飼っても良いなと思っている場合、ゴールデンだけ抱えている保護団体があれば話が早いのだそうです。それに捨てられたり虐待されたりする犬の数は全てのレスキュー団体の資本を合わせてもはるかに上回っているため、どこも犬種を一つに絞らざるを得ないのだそうです。そう言われれば、なるほどと納得できました。もちろん雑種の里親さんを探すシェルターも存在するそうです。こんな風に、アメリカにおけるドッグ・レスキューや悪徳ブリーダーについてもページを割かれて描かれているので、そういうのに興味のある方にもお奨めです。
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