雨の牙




バリー・アイスラー(Barry Eisler) 作家略歴&著作の感想
作家名 バリー・アイスラー(Barry Eisler)
生年月日 19??年
生誕地 
処女作  雨の牙(RAIN FALL)
デビュー年 2002年
公式サイト http://www.barryeisler.com/index.htm

作家略歴

1989年にコーネル大学法学部を卒業した後に、バリー・アイスラーは米国国務省に3年間勤める。その後、民間会社へ入社。その間、日本に滞在し日本語が堪能なのだそうな。現在はサンフランシスコに在住でフルタイムで執筆されている。頻繁に来日されているらしい。公式サイトのメーリングリストに登録すると来日予定や日本での活動などを教えてくれる。公式サイトには、作者が日本でよく行く飲み屋やレストランの紹介などもある。
幼い頃、いじめられた事があり高校生でレスリングを、大学時代から柔道を始め、日本にいる間に講道館へ通いつめ黒帯の腕前に。(詳しくはインタビュー記事をどうぞ)
 処女作の『雨の牙』は10ヶ国で翻訳された。面白いのは、英語で書かれた処女作なのに本国アメリカよりも日本での上梓が先だった事。映画化権を購入したのはアクション俳優のジェット・リーだそうな。

雨の牙
(RAIN FALL)
ソニーマガジンズ(ヴィレッジブックス) 文庫初版2002年1月20日
あらすじ  山手線の車内で男は突然くずおれ、絶命した。それを見届けて、ジョン・レインは電車を降りた―作戦完了。日米ハーフの男レインは、東京で幾度も政治がらみの暗殺を手がけてきた凄腕の殺し屋だった。ある夜、彼は美貌のピアニストみどりと出会い、心を奪われる。意外にも、彼女はレインが山手線で殺した男の娘だった。しかし、やがてレインが依頼されたのはみどりの暗殺。彼女を救う唯一の手段は、政界に潜む依頼主の謀略をレイン自ら暴くことだった!。

 
感想  ジャンルはサスペンス物というか謀略物?、または冒険小説でしょうか?。
 アメリカ人が描く東京が舞台の作品だというのであまり期待しないで読んだのですが愉しめました。何の前知識もなく読んだなら日本人が書いたと勘違いしたかもです。この作家は日本を良く知っていますね。驚きました。
 日米ハーフの殺し屋ジョン・レインが美人ピアニストと出会うのですが、彼女はレインが殺した男の娘だったんですよね。娘はある情報を隠していると疑われ警察、CIA、とある政党から同時に狙われていると知ったレインは彼女を守る為に謀略の渦中に飛び込む・・・というストーリーです。ストーリーはちょっとムリクリな所もあるけれど、描写の巧さで一気読み出来ました。外人が描く日本が舞台の作品は、描写がねちっこい上に突拍子も無い事が書かれている事が多いけれどこの作家は巧いですよ。短い文章で日本の文化を的確に描写するんですよね。例えば日本のラブホテルの事を『ツインベットは、ラブホテルでは聖書と同じくらい場違いだ』と説明するワケですよ。巧いと思いませんか?(笑)。全編に亘って情景描写が優れているので楽に読み進めました。
一つ気になった事は主人公のトラウマについてでしょうか。この主人公のジョン・レインもベトナム帰還兵なのですよね。アメリカ人の抱える苦悩=人種問題&ベトナム戦争という図式にはちょっと飽きてきました。



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