アンデシュ・ルースルンド&ベリエ・ヘルストレム作家略歴&著作の感想 |
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作家名 | アンデシュ・ルースルンド&ベリエ・ヘルストレム(共著) | 処女作 | 『制裁』 |
デビュー年 | 2004年 |
公式サイト | http://www.roslund-hellstrom.se/ |
制裁 (ODJURET) |
ランダムハウス講談社文庫 | 初版2007年7月1日 |
あらすじ | スウェーデンのとある町。
古いアパートの地下室で、二人の少女の死体が発見された。
凄惨な強姦殺人事件に人々は震え上がるが、ほどなく犯人は逮捕された。
それから四年後―。
作家のフレドリックは、テレビのニュースに映った脱走犯の顔を見てパニックに陥った。
娘を幼稚園に送ったときに入口で挨拶を交わした男だったのだ!娘の無事を必死に願うフレドリックだったが…。 グラスニッケル賞最優秀北欧犯罪小説賞受賞作。 |
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感想 | 幼い女の子二人が連続幼児暴行殺害犯にかどわかされ無人の地下室に連れ込まれ、強姦され殺される場面から物語は始まります。そんで、この事件の犯人はあっけなく捕まり投獄されるのだけど・・・4年後、犯人はあっけなく脱獄してしまうのですよね。で、新たな標的を狙う脱獄犯はとある保育園前で子供を物色し、一人の女の子の連れ去りに成功してしまい・・・という展開です。この作品、ミステリじゃありません。何のジャンルかと問われたらスリラーでしょうか?。でも、スリラーというよりは社会派小説といった方がピッタリくるような気がします。久々に良質の社会派小説を読みました(笑)。 子供を狙った卑劣な犯罪を描いただけならただのスリラーで終わっていたと思うのですが、この事件だけで終わらないのですよね。スウェーデンの司法制度や刑務所内の問題なんかが物語りに大きく関係していて、フィクションを読んでいるのだという事を忘れるほど、物語内にのめり込んで読みました。この犯人を捕らえた警察官、そして脱獄犯に娘を連れ去られたお父さんなどなど、魅力ある登場人物達が、事件を機に憎しみの連鎖に巻き込まれていくんだけど〜あぁ〜感想が難しい。書くとネタバレになっちゃうんですよ(笑)。 これ!お薦め作品です。今年、今まで読んだ作品の中でで一番 心に残っています。子供のいないワタクシにも考えさせられる内容だったので、お子さんをお持ちの方には苦しい内容だと思います。ハッピーエンドじゃ無いし、救いも無い物語だけど・・・騙されたと思って読んでみて下さい。そんで、薦めて下さった某Lさま!有難う御座いました。 ![]() ![]() |
ボックス21 (BOX21) |
ランダムハウス講談社文庫 | 初版2009年4月10日 |
あらすじ | ストックホルムにあるアパートの一室で、鞭打たれて意識を失った売春婦が発見された。リトアニアから連れてこられたという売春婦は、すぐに病院に搬送され、彼女を連れてきたポン引きも国に強制送還され、事件は簡単に片付いたかに見えた。だが、病院で目覚めた売春婦の予想外の行動が、単純だったはずの事件を、スウェーデンの闇をえぐる大事件へと発展させてゆく…。
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感想 | ストックホルムにあるアパートの一室で鞭打たれ顔も体もずたずたに暴行され意識を失った売春婦が発見される。その部屋にいたポン引きの男はリトアニア外交官パスポートを振りかざし、外交特権をたてに警官の突入も売春婦の引渡しも拒んだが、強制突入した警官隊は売春婦を保護し病院へ搬送。リトアニア外交官と名乗るポン引きも強制送還され事件は終わったかに見えた。が、病院で目覚めた売春婦は仲間の売春婦の手を借り武器を調達。5人の医師を人質に病院へ立てこもり・・・という展開の物語です。この作品は、面白いと単純に言えるような内容の作品ではないのですが、作者の巧さには驚きます。前作では幼児を狙った性犯罪がらみの殺人事件が物語りとなっていたのですが、本作では旧ソ連や東欧から売られて来て強制売春が描かれていまして、ショッキングな内容と意外な物語の動きで、これ以上 可哀想な登場人物たちを見たくないと思いつつも一気読みさせられてしまいました。母国から騙されて連れて来られ3年もの間、客を取らされた売春婦たちの描写は痛々しく、どう贔屓目に見ても他人に軽々しくお勧めできるような内容ではないのですが、ドラマチックな筋立てや丹念に書き込まれた人物たちなどお勧めできる点も多いので、トライしてみる価値ある作品だと思います。(救いのある作品を読まれたい方には、正直言ってこの作家はお勧め出来ません(笑)) |